7寒さ+暖かい=鍵 1
「もう7時になりますよ?いいのですか?」
月星歌が時間を伝えると、3人はハッとした
顔をした。その時、己紅采がガクガク
震えだした。
「己紅采?どうしたの?」
「…鍵…あいてないんじゃない…?」
絆生と月星歌はポカンとしていた。だが、
翼斗も少し青ざめながら、「やべー…やばい
じゃん…」など、ずっと連行していた。
「あの、どういうこと…ですか?」
「俺もわかんねー。」
やはり2人はポカンとしていた。
翼斗がため息をつきながら2人に説明した。
「…あのな~…屋上や理科室。美術室とか…
そーゆーところ。7時になると、完全に
しまっちゃうんだよ。門も全部な。」
「え、ええええええええええええええ!?」
「か、神也くんはわかってたはずなのに…」
確かに絆生は翼斗と己紅采とは同じクラス。
7時になると全て鍵をかけられることぐらい
話を聞いていたらわかっていたはずだ。
絆生はおそらく、ボーっとしていたか、
寝ていたのだろう。
「あ、あの…鍵は持っていないんですか…?」
「ここに来る時はいつも鍵はあきっぱなんだ。
だから鍵は誰も持っていないんだよ。」
「持ってたとしてもせんせーってわけか。」
鍵は職員室にあり、ほとんど先生が管理を
しているか、生徒会が管理をしている。
己紅采も管理をしていたのだが、今日はその
当番ではない。そのため鍵を持って
いなかったのだ。
「…クシュンッ」
「大丈夫?月星歌ちゃん」
今は春。そのかわり今日寒波。肌寒い。
風もあり、月星歌の桜色の髪の毛が、とても
キラキラとなびいていたにも関わらず、
みんな半袖。さすがに少し寒いが、男子とは
違い、月星歌は細身の体型だった。
もろに寒さを感じるのだろう。
「だ、大丈夫ですよ。少し寒いだけですし…」
━━━━嘘だ…凄い震えてる…
月星歌は震えが止まらなかった。
ワイシャツは風を通しやすい。とてつもなく
寒い。3人に迷惑をかけたくないのだろうか。
震えているにも関わらず、わかりやすい
大嘘をついた。少し明るく見える
唇、顔は、真っ青だった。
フワッ
「嘘はついちゃダメだよ。これ、着てなよ。
俺は大丈夫だから。」
月星歌に着させたのは、翼斗のカーディガン
だった。とても綺麗な青色のカーディガン。
月星歌は「いいよ…」と断ろうとしたが、
翼斗は無理矢理でも着させ、ボタンをしめた。
「じゃぁ聞くけど、平熱は何度?」
「ふぇ?さ、35.2…です…」
「低っ!?!?」
考えていたにも関わらず、その言葉に
絆生と己紅采が声を揃えて言った。確かに
無理もない。35.2など、普通はありえない。
だが月星歌は体があまり強くない。むしろ
とても弱いのだ。
「ほらな。やっぱりだ。大きいかもしれない
けど、ちゃんと着なよ?」
「あ、ありが…とう…//」
少しニコッと微笑み、翼斗も少し微笑みを
こぼす。その時、己紅采がハッとして
少し大きな声で叫ぶような声で言った。
「そうです!!誰か、携帯を持って
いませんか!?」
7 寒さ+暖かい=鍵 1 End
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