6心配性の小さい少女

一気に3人がその声に反応し振り返る。

そこには少女がひとり、とても綺麗な桜色の

髪で、とても髪が長い少女。

そして、背が小さかった。

「あ、ごめんな。」

翼斗が少し戸惑いながらもしっかりと

髪飾りを渡すことができた。少女は少し

ニコッと笑顔がこぼれた。

それに3人は顔を赤らめた。

「あ、あのさ、君は誰?

なぜこの男子校にいるの?女子なのに。」

いきなり己紅采が質問をしたため、少女は

少しビクッと怖がり、戸惑っていた。

「ゆっくりでいいよ。落ち着いて?

別に、怪しいものではないから。大丈夫だよ」

「あ、ありがとう…ございます…えへへ」

翼斗がフォローをし、少女はなんとか

怖がらずに笑顔を見せる。

己紅采は申し訳なさそうな顔をしていた。

「己紅采は怖すぎるんだよーっ」

絆生は頭を痛そうにしながら、己紅采と腕を

組んでいた。それに己紅采は少し痛い表情を

していたが、我慢するしかなかった。

また怖がらせてしまうと思ったのだろう。

「えっと…私の名前はあか…あ、紅美 月星歌

(あかみ るいか)です。なぜここにいるの

かは言えませんが…。あ、あと、頭大丈夫

ですか?」

少女は息づまりながら名前を言った。

とても綺麗な名前だ。その上、絆生の頭の

ことも心配してくれる、とても優しい子だ。

「大丈夫大丈夫!少し痛むぐらいだし(笑)」

絆生は歯を出してニッコリ笑って見せた。

だが、月星歌は心配な顔を浮かべ、絆生に

そっと近づいた。近づいたあと、絆生の

前髪をそっと触り、少し上げた。

「やっぱり。無理はダメですよ?少し

腫れてるじゃないですか。もう少し

しゃがんでください。手当しますから。」

「え!?ちょ…///あ、ありがとう…っ///」

顔を赤くしながらしゃがみ、静かに手当を

されている絆生は、ずっと下を向いたままだ。

月星歌は手際良く手当をしている。

それを見ている翼斗と己紅采はちょっと

ムスッとした顔をしていた。

「これでよし。他に痛むところは

ありませんか?無理をせず言ってくださいね」

月星歌はにっこり笑顔を浮かべ、3人に

伝えた。3人の顔はもう湯気が出るかの

ような顔だった。


6 心配性の小さい少女 End

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