2運命の人・涙が枯れるまで

「よっ!翼斗!」

「うわっ、お、驚かせんなよ。絆生(きずき)」

絆生、翼斗と同じクラスの男子生徒だ。

いつも明るく、いたずらが大好き。勉強は

できないけれど、運動が得意。

「あれ?元気ない?」

「あ、い、いや、別にふつーだけど?」

「そーか?ならいいんだけどさーっ」

━━━━いや、元気がないのはいつもだけど…

まずお前のテンションについてけねーって(笑)

翼斗はずっとそう思っていた。

いたずら好きの絆生には、ついていけないの

だろう。そう思いながらクスクス笑っていた。

「おはよう。暁くん。神也(かみや)くん。」

「おぉ…おはよう、己紅采(みくと)くぅん?

いい加減名前で…呼べぇぇぇぇぇえ!」

「ちょっ!?神也くん!?うわぁ!!」

「あーぁ…」

神也、本名、神也 絆生。そして、大人しく、

とても頭がいい己紅采。だが、彼女持ち

という噂が流れているが、本人は、違う。と

言っているらしい。

暁 翼斗、神也 絆生、仰木(おうぎ)己紅采。

この3人は仲が良くて、いつも一緒にいる。

己紅采は名前呼びができず、それに毎回

怒っているのが絆生だ。

「翼斗もなんか言えよー…」

「え?だって別に、なんて呼ばれてもいいし」

「だよね!!」

翼斗と己紅采はよく気が合う。その割に、

絆生と共感するところがない。勉強も全然

できていない。そのため、ほとんど似てる

ところがないのだ。

「あ、遅れるぞーもうすぐ8時25分。」

『ええええええ!?』

息があった2人に、翼斗はクスクスと笑い

始めた。そして、息があった2人も

目を合わせ笑ってしまった。


1時間目が始まり、2時間目、3時間目…と

黙々と授業が終わり、4時間目に入った数分…

翼斗が窓の外を見ていると…

━━━━あれ…?女の子…?

翼斗が見たのは、食堂や、音楽室のある、

反対側の校舎の屋上。そこには、少女らしき

姿だった。そして、屋上の奥の方に姿を

消してしまった。翼斗は夢でも見てるのかと

思ってしまった。なぜならここは男子校。

女の子、少女、美少女なんてものはいない。

男子しかいないはずなのだ。だが、

頭の片隅に浮かんだことは…

━━━━何でだろう…泣きそう…

どこか、おかしくなりそうなぐらい目の前が

くらくらするような感触を覚えた。

目の奥がとてつもなく熱くなり、ノートの上

には、たくさんの涙が落ちていた。

「おいっ翼斗?」

隣は絆生だ。翼斗がずっと窓の外を見ている

のに、変だと思った絆生は先生に

気づかれないぐらいの小さな声で翼斗に

話しかけた。翼斗がそれに驚き、すぐ涙を

拭き、何でもなかったような笑顔で絆生を

見た。

「ん?何か?」

「…お前、泣いてたのか」

━━━━なんでわかんだよ…

翼斗は思わず息を吐きそうになった。

なぜそんなにお見通しみたいな顔で言うのが

翼斗は少しにイラついてしまった。

そのイラつきをおさえながら答えた。

「ん?泣いてねーよ(笑)」

「翼斗、もう抱え込むな。」

前にも、似たようなことがあった………


2 運命の人・涙が枯れるまで End

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