★せっしょん067 “あの人”20 万年も前に死んだはずなのに…
がーるずほりでぃ♡みりゅうす☆せっしょん
あたしが見届けた時空連続体のさざなみ
★せっしょん067 “あの人”20 万年も前に死んだはずなのに…
Girls Holiday ♡ Mie-Lyus ☆ session
The ripples of the space-time continuum that I saw
☆session067 "That person" should have died 200,000 years ago ...
✔ 辻褄
警備隊の捜査区域にされ、証人扱いで隅っこに押しやられてるいつものメンバー達。
唯一覗きをやっていなかったさなりぃが、憮然とした表情で口を開いた。
視線を据えられた“ 当人 ”の背中には恐怖がにじむ。
「あ”~、たつきさぁ、」
「え?…」
「みりゅうす、手篭めにしようとして、反撃くらったんでしょ?」
言いがかりである。
しかし、それ以外にコメントしようがない状況だ。
「うぅぅぅぅぅ、そりゃないっすよ。」
「だって、否定出来る状況証拠、ある?」
戦車みたいにガタイのいい彼氏は、絆創膏にぱんつ一丁・T シャツ姿のまま涙目だ。
いや、イケメンはそんなに泣かない。
すべてはさなりぃが悪いのである。
いじりがいのある超素直で優しいイケメンなので、獲物にされてるだけなのだ。
「鎮痛剤とか必要?血は止まった?」
「大丈夫だと思うけど…」
みりゅうすは、さなりぃに関係なく、にこにこしながら毛布湯浴み着のまま彼氏を気遣う。
おしりの傷が何よりも心配そうだ。
「ううううううう、」
「よしよしもう泣かないの、いい子だから」
愛らしい史学部の姫が、大きな児童をあやすように身体をよりそって優しい声をかけている。
さなりぃが取り出したのは?
「医学部のゲックラスのバカがさ、あいつ、こうい画像集めるの趣味だから、あいつが作った介護体の視覚器に盗撮カメラ仕込んで、この子の事故現場に特攻かけやがったのさ。」
“いつものメンバー”の中には、“この子”もいる。
「こりないねぇ」
幾枚かの紙にプリントされた現場写真。
いや、データ転送すればあっと言う間だが…
たつきの家の周囲が通信管制がかかっている現場になっちゃった!というのはいち早く嗅ぎ付けたらしく、紙のプリントはそんな障害を乗り越えるべくとった手段である。
その写真はコミューターとバイクが正面衝突した現場らしい。
介護体の身長は、おそらく 160cm くらいだろう。
ちょうどその視点からみた事故現場のアングルがうまい具合に紙の上に画像として切り取られている。
二足歩行の知的有機体そっくりに作られた機械の両目の部分に、黙って(無許可で)画像撮影装置を仕込んで撮影したので、極めて躍動的なアングルは感動的ですらあった。
これを仕組んだのが、あの、うっとおしいストーカーデブだと言う所が気に食わない。
ライホリオン・ミーが乗っていたコミューターは、金属製のガードレールに車体を切り裂かれ、彼女自身にの身体も見事にバラバラになっている。
写真は4枚あった。
最後は、余計な事をしでかした介護体が押さえ込まれて連れ出されていく感じだが、緊急生体組織保護シートにくるまれたライホリオン・ミーの身体のバラバラパーツが救急車に運び込まれていく所まで写っている。
バラバラ…頭、腕二本、右足、胴体かなりぐちゃぐちゃ。
胴体から離れた首はきれいな顔のまんまだ!
…普通、戦場でしか見られない有機体の生きた残骸、平和な大学生にとっては滅多に手に入らないヘヴィーな刺激である。
「どういう訳ありなのか聞かないと収まりつかないね。」
「あ、それ、あたしだ♡」
黒地に金色の龍神が暴れている図柄のライダージャケットを羽織った、大きな緑色の瞳で三角形の大きな耳のツンデレ美少女は、しっぽをふりふりさせながら、ずうずうしく割り込んできて呟いた。
いやいやいや…
おそらくマゾ系の変態さん、ではないと思うが…
✔ 彼女の生き様
「まぁ、身体が半分無くなって首がもげちゃったら、普通死んじゃう。」
自分のもげた首が写っているカラープリントを手にかざして自慢げに語る。
楽しんでいるとしか見えない…
ライダージャケットの下は、迷彩柄のタンクトップとホットパンツにいつの間にか着替えている。
「!」
「あたしはね、監察官評議会本星出身なの。」
「あ、そうなのね!」
「それでね、生体蘇生復旧医療にかけてもらったの。」
「わ、すごい」
首がもげて心臓が潰れて下半身ぐちゃぐちゃになっても、緊急医療装備で対応出切れば蘇生は可能、医療の常識だ。
『生体蘇生復旧医療』は、その手のカテゴリー。
「でも一度死んでるから、人格生活記憶ホログラフの 76%くらいは復旧出来てるけど、本当のあたしはあたしじゃないの。」
これはでまかせである。
『再現率76%』どころか、常に100%超えだった。
しかし、この場ではこれ以外に答えようが無い。
「そうか、死んじゃったから…」
周りの連中は、このツンデレ美少女の話にについていけるか不安になりはじめた…
「だから、今でも三ヶ月に一回は生体整合性復調カウンセリングをうけなきゃなんないの。」
『生体整合性復調カウンセリング』は、死にかけた脳細胞を復元させる際に、結果的に無理な状態や部分もあるので、それを無視して一旦蘇生を行い、不足してる部分を、後からシミュレーションで補うというものだ。
「大変なんだね」
「死んだ有機体リセットするなんて、特別」
「あんたが言ってりゃ世話ないって」
「でも毎日ごはんも美味しいし楽しい事いっぱい。」
以上の台詞を、すべて仏頂づらで言い切った。
さなりぃが呆れ返って、注目を浴びてる美少女のほっぺに手をかけてつぶやいた。
「もしかしてこの子、みりゅうす以上の超天然?」
なのくちゃんが、のほほんな口調で聞く。
「これ、殺人事件だったんでしょぉ?」
話題の中心にあるツンデレ美少女は得意になって解説を続けた。
相変わらず可愛らしい口元には笑み一つ浮かばない。
「うん、あたしの事好きだっていってた男が別の女に乗り換えてあたしが邪魔になったの。」
「あたし、その男と会ってきたわよ。」
癒やし系美人尼僧が応える。
「え!」
「どーゆーこと?」
「警備機構の大隊指令にね、職務権限で捜査資料見せてもらったわ。」
エロくてかっこいい女性惑星監察官もつぶやいた。
「あたしも、自分の首、もげちゃったけど、収まりつかないから男の所へはあいさつにいったの…」
「あんた、首もげてんのにどうやって????…」
「ぅふふふふはははは…」
口元には笑み一つ浮かばないツンデレ美少女は、初めて声に出して笑う。
しばし、間…
その場の何人かは《100メートル以上は》引いてるはずだ…
✔ 彼女は何をしに…
ツンデレ美少女はボソりと呟く。
「“あの人”、◀20 数万年も前に死んだはずの記録にも残っている知的有機体▶のはずなのに…」
「え!?」
あたし、みりゅうすは、史学部で学ぶ女子学生として見過ごせない台詞を吐いたライホリオン女史ににじり寄りました。
「記録?」
「え?いや、関係ない」
「ちょっと何それ、教えなさい!」
あたしはライホリオンさんの襟元をしめあげました。
「いや、だから、あたしも知らないんだって…」
「うそ!」
「ほんとなのよ」
「ほんと?」
「みりゅちゃん、やめな!」
「う、うん…」
あ、この子、きっと心のどこかで舌だしてそうな気がする。
でも、可愛いから今日はもう許しちゃおうか…
「なぁ、これから、俺たち、どっかで飲みに行かね?」
ぱんつ一丁のたつきが提案した。
エロい美人女性惑星監察官から差し入れしてもらったお菓子(エクレア風のハーブ風味の効いたやつ)の箱をさっそくあけて配っている。
イケメンは気配りが出来ないとなれない。
イケメンが、おしりにでかい絆創膏にぱんつ一丁でやるのもどうかと思うが、場が和めばいいのだ。
いざという時に腹をくくれるのがたつきの良い所だろう。
適度にヘタレな所がみりゅうすと引き合う結合子(けつごうし)だった。
「うん、こんなすごい事ないもんね、ちょっとそれいいアイデアだわ。りゃすみん先生もどうですか?」
さなりぃが、珍しく、優しいお姉さんみたいにぱんつ男の提案に同意した。
エロくてかっこいい女性惑星監察官の“ 大人のけじめ ”。
「もちろん行くわよ、あ、それからね、現場検証は大学警備機構の捜査権を尊重してあたしら惑星監察官は、一歩引いてるけど、いずれにせよ大人の判断で進む事態には、軽々しく首を突っ込まないこと、いい!?」
何故か右頬に擦り傷を作って、軽く左足を引きずっていたライホリオン女史に、すごい目つきを送っていたのにもみりゅうすはしっかりと気づいている。
「了解で~す!」
皆から楽しそうな(?)返事が上がった。
「天山南路の『庄屋様(しょうやさま_居酒屋)』に予約いれちゃおう!」
さなりぃがさっそく携帯で電話する。さすが宴会女王である。
盗撮小僧たちもおずおずと声をかけた。
「あのぉ、」
「え」
「俺たちもいいすか?…あいつが、あんなだったなんて…」
「あんた達、取り調べあるんじゃないの。」
「どうせ明日だもん、いいよ、俺、気分転換してぇ…」
「ま、いいか、ね、…ぼるちゃんとしーらむちゃんも誘っておこうか?」
「夕飯、作ってくれるって予定はどうする?」
「明日、オレんちでパーティに変更って事で!」
「そうか、それでいきましょ!」
たちまちのうちにチームワークで今日明日の楽しいスケジュールは決った。
「ねぇ、ライホリオンちゃんはどうなの?」
「あたし、史学部教授法 1 のレポートまとめるんで。」
「あ、そう、」
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