★せっしょん047 彼女は、最後にみりゅうすに微笑みかけたようだ
がーるずほりでぃ♡みりゅうす☆せっしょん
あたしが見届けた時空連続体のさざなみ
★せっしょん047 彼女は、最後にみりゅうすに微笑みかけたようだ
Girls Holiday ♡ Mie-Lyus ☆ session
The ripples of the space-time continuum that I saw
☆session 047 She seems to have smiled at Mie-Lyus at the end
✔ 目眩
「ところでさぁ、たつきくん、次の恒星間文明史基礎自立演習、単位、危ないんでしょ?」
「う"…」
みりゅうすは必修だが、たつきはみりゅうすといっしょにいたいために選択でとっているのである。
選択でも単位が取れなければ、困るのは本人だし。
「ちぇっ、他人のこと言えるかよ、みりゅちゃんだって…」
「あら、お生憎さま、あたしはちゃんとレポ…ちゃんと…レポート…」
あれ?…レポート出した…と言いたいのに…え〜と…
何故か、すんなり言葉にならない…
レポートを出したという確信めいたものはある、ような…
凍てついた曇天のキャンパス。
不思議な出で立ちの女性が歩いている…
どう見ても軍装。
陸戦兵器の操縦員?
頭、胸、腹部、両足全般にわたって装着されたプロテクター。
携帯した接近戦用の小型火器。
さらには航法支援ツールやサバイバルキットのポケットが散在する。
それは年季の入った古めかしいものだ。
相当な年季、というよりすでに物語の中の存在のように異世界じみていた。
身長は、みりゅうすより頭一つ分小柄。
年齢はミリギューム人の史学部学生よりかなり年配のようだ。
彼女は耳の長いプロトアクラ人で、人生経験を積んだ芯の強さが感じられる美人だった。
何故、平和な学び屋の午後のさなかに、こんな格好をした女性がいる?
臨戦体制下にある戦地でなければあり得ない装束だ。
みりゅうすは、その軍装の女性の存在に気づいた。
いったい誰?____彼女との距離が縮まる。
いや、彼女がみりゅうすの事を知っているかのような雰囲気?
あたしは本当に、恒星間文明史基礎自立演習のレポートを提出したの?
何故?…あたしは、どこで何をしてきたの?
…軽い目眩…
いや、軽いどころの話ではない…
少女は、右手を口もとへ持っていきかけた。
吐き気がする_
いや!…いったい何、これは!?
軍装のプロトアクラ人の女性。
その人は、すぐ手を伸ばせば握手出来る所まで近づいてきた。
よく見ると彼女の胸元には、背負い紐を前に回して大事に抱えられている荷物がある。
荷物!?
…実戦装備の軍装。
それなのに、どう考えてもそれとは関係ない荷物?
よく見ると…
動いている…
それは赤ちゃんだ!
…もしかして?…この人の子ども?
え?…
まさか!!?!?!?!?!?…
目眩がひどい。
それは無気味に彼女を揺さぶり続ける。
異常?
正常?
境界線はどこ?
自分を繋ぎ留めるための最後の拠り所がぐらついていた。
当たり前の楽しいはずの日常の一歩向こう。
すぐそこに、すごく嫌なものがいる。
赤ん坊を抱きかかえた軍装の彼女。
彼女は、最後にみりゅうすに微笑みかけたようだ。
みりゅうすは、フェンスに手をついて体を支えた。
「今の人?…」
「え、誰もいないよ、」
「うそっ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます