★せっしょん025 果てしなき多次元連続体の漣(さざなみ)

がーるずほりでぃ♡みりゅうす☆せっしょん

あたしが見届けた時空連続体のさざなみ


Girls Holiday ♡ Mie-Lyus ☆ session

The ripples of the space-time continuum that I saw


★せっしょん025 果てしなき多次元連続体の漣(さざなみ)

☆session025 Ripple of endless multidimensional continuum




✔ ジェル水着〜♡〜




 資料の読み込み、しんどかったなぁ…

 さてと、もう暗くなったし…

 あたしは、眼をぎゅっとマッサージ、ん、んん…

 今日最後のダイエットメニューへ向かおうっと。

 全領域環境ジム。

 24 時間泳げる温水プール。

 体育や競技に使うプールとは違う方向へあたしは向かう。


 …だって、あたし、運動神経全く無いもん。


 競泳用のプールはちょっと抵抗が…

 でも競泳用水着はちょっと興味が…

 ロッカールーム。

 荷物と服を脱いで投げ込み、ボディスーツを脱ぐ。


 あたしは、はだか。

 スイムキャップに、うまく髪をおだんごにしてまとめる。

 きゅっ、きゅっ、ときつく密着するゴムの感じ。

 あたしの耳は、うまい具合にスイムキャップにフィット。 


 今日のあたしのスイムギア。

 水着?

 布で出来た水着ではないの。

 これ、身体に塗ったジェルがスイムギアに変化するの。

 繊維組織体の一種。

 チューブから身体に塗り付けて濡らすと、身体を被って密着する布に変質するのね。

 色も多彩。

 あたしは 12 色もってるので、デザインと混色を毎回楽しむ。

 ちゅー、っとまずはブルーをひねり出して左手へ。

 きれいに毛をそった三角地帯から左半身を駆け上がるようになでつける。

 あたしの大事なところは、形が目立たないように多めに量を置く。

 紫をアクセントに置く。

 胸は、下から支えるようにして色を置き、乳首の上にも少し多めに盛り上げておく。

 あたしの身体を横から見ると、前側から後ろ側へつないで皮膚を隠している部分が全くない。

 後ろ側もしかり。


 しっぽは?

 塗るよ。

 あたしのしっぽは三本なので、ちょうど合うしっぽカバーが無いからカバーの替わり。

 左側から前へ出してしっぽの先からブルー、紫、オレンジを螺旋状に塗りつける。

 付け根は両手を後ろに回してもしゃもしゃ、って感じで。

 仕上げは光沢剤をちょこっとまぶして完成。


 あたしの両手足首には 300 グラムの負荷ウェイトベルト。

 気合いの入ったダイエットメニューなら 1 キロは欲しいところだけど、あたしの筋力だと溺れちゃう…

 それとフローターベルト。

 これで負荷をかけながら長い時間泳げるんだ。


 ジムのプールサイドには大学全域(惑星全体)をリンクするコミュニケーションパネル。

 常時 10 チャンネル前後の画面が流されているが、その中にいろんな学部の学生が個人的に活動メッセージをブログから発信する専門チャンネルがあるの。

 まぁ、その学生チャンネルだけで、全学部入れたら軽く 1000万超えるけどね。

 見たいチャンネルがあればその場でチャンネルを検索する事が出来る。


 あたしは、ゆっくりとプールに入る。

 飛び込はしない。

 理由は、怖いから…

 前期の一般教養実技体育の水泳、単位不可だったし。

 いや、泳げるんだけどね。

 もう、ばたばたよちよち、ってな感じで…あ"〜ほんと運動神経無いわ、あたし…


『3往復泳いで、全身をじっくりとストレッチすること』


 これはあたしの体力とカロリー消費量を計算してうまくまとめてくれた、なのく女史の計算。 

 この数字は“無理をさせずに楽しんでやれるペース”らしい。

 あたしは女史に感謝した。

 あたしは、天井の採光窓を見上げる。

 数万光年の星々の光。 




✔ 超視座



 その時のみりゅうすの視線。

 瞬時に超時空座標に切り替わる。

 意識はしていない。

 今までそれを意識した事は一度も無かった。

 当たり前な二足歩行の知的有機体として感じている意識。

 そして、無意識に数万光年の俯瞰を一望できる超視座が起動する。


 『超視座』それがうまく伝わる保証は全くない。


 一つの救いがあるとしたら?

 銀河をあまねく満たす無限の言葉は『言霊』という普遍的なあり方へ根をのばしている事を素直に見つめて信じる事だろう。

 彼女の意識にのぼる限りの昔の記憶から、それは彼女の意識の底に存在していた。

 それは、あたかも壮麗な宗教的寺院のような建築物の光景である。

 その『寺院のような光景』が常に彼女の意識の中にある、ということ。

 そこに行ったことがあるかどうか。

 それが、どこの何か。

 その中には誰がいるのか。

 それはどれほどの大きさなのか。


 それら全ての疑問への答えは未だ存在していない。

 すべて、仮定で彼女の心の奥底を推測していうだけの話である。

 たとえば、これがどれほどの大きさなのか?

 数百メートル程の、町中にありそうな寺院なのか。

 数キロもありそうな何かの宗教施設とおぼしき巨大建造物なのか。

 あるいは数万キロメートルにも及ぶ無重量下時空建設物の類いなのか。

 そのどれでもあり、どれでもなかった。

 今現在、彼女が学生として学ぶこの季節、その寺院が、意識の手前に出てくる事は殆どなかった。

 しかし時として、表に出てきて、その輝き(寺院の中に無数にある灯明のようなものである)が目に見える(意識に感じられる)ようになる時がある。

 そして、その灯明の輝きが感じられる時、彼女の視座は無限になる。

 両掌(てのひら)を合わせた小さな空間に、数万光年の視点を自動的:無意識に圧縮して感じていた。

 その数万光年の光の瞬きをおさめる視座は、彼女を女神にしていた。

 そして、彼女は、ただの史学部の女子大生にすぎなかった。

 だから、そんなめんどくさい事はいっさい口に出すこともしない。

 それが普通の女子大生というものだ。


 プールの水面の揺らめきが、穏やかに輝いている…




✔ 今日の盗撮小僧




 大学前の坂を降りきった所にあるスーパーマーケットの駐車場の隅っこ。

 いつもの4人が何やら打ち合わせをしている。

 野菜を満載した友人無人のカートが行き交う中の、一応邪魔にはならない場所には陣取っているようだ。

 部外者感まるだし!

 マーケットの担当者はとっくに感づいている。

 防災センター、監視モニター

 「また、あいつらだよ。」

 「どれどれ、」


 操縦機のモニターに、指定情報(みりゅうすのこと)のマーカーがヒットした事が表示された。

 「やった!無人機、感あり!」

 「よぉし、かしこいぞ、お前!」

 「撮れるか?」

 「来た、いけぇ!」

 モニターに三本しっぽにスイミングキャップの美少女が写っている。成功だ。

 あとは、より大きなアングルで切り取れる場所へ移動すればいい。

 4人は、カメラ無人機の操縦機と、追っかけオタクの命の紙袋をガサガサと音をたててもったまま立ち上がった。


 「おまえらっ!」さっそく見つかってるし… 


 夕餉の総菜をカートに載せて運んでいるミリギューム人のはげオヤジが怒鳴った。

 「いけね!」

 「逃げろ!」

 ロジャオ・エンドラ人のオタクが、命の次に大切な紙袋を忘れそうになって、慌てて戻り、はげオヤジの警戒を危機一髪すり抜けて回収に成功し、すぐ仲間と合流した。





✔ エロスと健康管理




 とあるマンション一室。

 広い。

 室内に裸のイケメンが10人ほど。

 しっぽのあるヤツ、無いヤツ、羽根のあるヤツ、無いヤツ、細マッチョ、褐色系、ガテン系、インテリ系。

 どれも極上の美男子ばかり…ごちそうさま、もうお腹イッパイです、と言いたくなるくらいな贅沢なイケメンフルコースである。

 ベッドの上のイケメンの腰の上に裸の女がまたがっていた。

 美しい。

 女がまたがっているイケメンは繊細な褐色系細マッチョで、しっぽがある男だ。

 ここに集う全てのイケメンは、彼女を女王陛下とつき従う、いわばファンである。

 ベッドの褐色系細マッチョしっぽの彼氏は、悦んで生贄にされている。

 美術学部のデッサンモデルとして理想的な体型を発現している女は、厳かに宣言した。


 「わが愛しき下僕よ、」

 「は!」

 「私から御身を引き抜くまで一切の高まりを禁ずる!」

 「あぁ、陛下、」

 「返事は?」

 「はっ、畏(かしこ)まりました、あぁあ、わが陛下よ!」


 男の下半身は目の前にそびえる豊かな裸身を一点で深く支えていた。

 男の両眼からは歓喜の涙がせせらぎを作って溢れ出している。

 鼓動は爆発しそうな変動を形成していた。

 その結合地点では、エネルギー爆発の臨界点が迫っていた。

 “陛下”は容赦しない。

 ゆっくりとじらすように、男自身の芯を、自らの内的宇宙の重力場で締め上げるようにして腰をあげていく。


 彼女の名前は、龍善寺白沙川(りゅうぜんじしらすがわ)・沙菜理以(さなりぃ)・31156

 ←姓→←名前→←?→。


 通称:さなりぃちゃん。

 最後の数字が名前なのか、それとも他の何なのか、一切教えてくれない。 

 自分に男の身体を結合させて、陛下と呼ばせている彼女は、みりゅうすの古くからの友人だ。


 有機体先進開発機構文明環境総合大学、工芸学部空間環境デザイン学科在籍。そして舞踊学部エネルギー表現学科かけもちで在籍。

 性格 男を煙に撒くこと。

 攻殻機動隊にいた若い美人隊長にそっくりだ、というもっぱらの評判だが、大学の警備機構にそんな部隊あったっけか?

 男を渡り歩く…のではないらしい。

 全ての男を自分の愛の世界に取り込んでしまうタイプ_

 訳が分からん…

 あたしも、彼氏は何人かつくって遊んだけどさ、こいつにゃ絶対負けるわ。


 (思わず裂けるかとおもったくらいでかい“あいつ”、元気でやってるかな、能力保護官やってるらしいけど…)


 思わずプロファイルデータをめくって、溜め息をついてしまうあたし、りゃすみんでした。




✔ 閨(ねや)



 全領域環境ジム。

 「あぷっ、」

 最初のターン終了。

 あたしは、腰と手首足首にフローターつけてるから、長時間泳げる。

 いや、あたし、体力はもともと無いんで、これはダイエットスイミングの基本装備。

 ちょっと、足をつく。



 マンション一室。

 ちっぽけな僕(しもべ)は、己の身体の内的状況を恐れ多くも言上し奉った。

「あぁぁぁぁぁ、陛下、わたくしは切のうございます」

 もはや彼は、権威の前にひれ伏すしかない。

 あとわずかの限られた時間のうちに襲ってくる緊張を思うと、権威に従属する男の心は量子配列の崩壊が起きそうな武者震いに襲われていた。

 臣下たる男子を自分の腰の下に組み敷く威丈高な女は、自分のたおやかな胸を自分でたくしあげて下知した。

 「まだまだ!」

 「あぁ、陛下」

 「切ないか!」

 「切のうございます!」


 「試練である!」 


 「…」

 筋肉質の引き締まった肉体をもつ臣下たる男。

 しっぽ有り。

 彼は、支配者の華麗で怪しげな閨(ねや)の世界でただ翻弄され弄ばれるのみだった。

 さなりいの花弁の奥まで深く差し込まれていた堅くなったもの。

 接触感を一切感じさせない皮膜で花弁の内壁との接触を隔絶させられていたもの_

 花弁から抜き放たれつつある。

 いや完全に離れてはいない。

 先端部のみ花弁のひだに身を預けるようにして静止している。

 絶対的な美の権威に哀れにも奉仕するのみである。

 鳴動をはじめようとする瞬間が迫っていたが、それを制御する手だては皆無のようだった。

 「ん…」

 支配者は、花弁に外から伝えられる圧迫と臣下の熱気を女性としてもっとも豊かな感覚器から味わっている。

 支配者の威厳は、男たる存在を完全にその従属物として従えていた。

 快楽の秩序の構築さえ、男には自由に仕切る事はかなわなかった。

 女王陛下は指で素早く皮膜をからめとった。

 「陛下、もう耐えられませぬ」

 「よし、出せ」

 「はい」

 女は、瞬時に堅くなったその先端を口に加えたが、駿然、口を離し

 「汝の生命のほとばしり、わらわがすべてうけようぞ」

 女王陛下の治世の宣言は、最後まで終わらなかった。

 「陛下、ご無礼を、んぁっ!」

 支配者の犯し難い尊顔に、臣下の身体から放出された液体が激しくふりかかった。

 それでも女王陛下は、白くわずかに粘着性のある液体を美しい顔に受けながら放出が止まない先端部にいどみかかり、口をあてがった。

 「んぐ、」

 「あ、あ、あふ、へ、陛下、」

 男の両手が、空中をまさぐった。

 翻弄され、全ての生体エネルギー放出しきったイケメンのしっぽが、最後の虚脱状態を伝えて細かく振動している。

 「ん、ごく、」

 口をあげる、

 「よい、よいぞ、汝の生命のほとばしり、極めて美味真髄である。」

 女は、勝ち誇ったように口を開き、男は歓喜の涙を流していた。

 かしずく男どもも、両手で様々に感動を現し、この場の高まりを共有していた。




✔ 安定化(?)




 全領域環境ジム。

 「あぷっ、」

 あと1往復。水は生ぬるく、窓の外光は夜の星空。

 大きなコースで泳いでいるのは彼女とあと数人か…

 ちゃぷん、ちゃぷん、ちゃぷん…腕と足を動かすたびに聞こえる水の波紋が、そろそろ辛くなってきた…



 マンション一室。

 女は立ち上がり、窓際へ歩いてゆく。

 かしずいていたマッチョどもが、女の顔を優しくぬぐい、ガウンを着せる。

 女は、当たり前に空気を吸うかのように、男どもの行動を受け止めてゆく。

 女はガウンの前を合わせて、窓の外を見た。

 彼女は、不安そうに呟いた。

 「みりゅうすがまた変なテーマを拾ってこなきゃいいんだけどな。」

 それは、つい今しがたまで、汗を流していたベッドの上の表情とはうって変わった平民のごとくのセリフだ。

 「みりゅうすさん、って、陛下の御学友で?」

 “臣下”の一人が、冷えた茶をグラスに注いで差し出す。

 「お、気がきくな、そうだよ。」

 「何か心配な事でも?」

 「そろそろ後期レポートの課題選定の時機だろ、あの子の感覚は、何の制限もうけず、どこへでも飛んでっちゃうからね、前もそんなんで、エラい事があったんだよ。」

 「陛下、是非お話を伺いとうございます。」

 「ある星の史跡の中で、年代物の大規模制御電脳に、少女の人格を模した休眠状態の最終兵器をみつけだしてしまってな、」

 「なんと!少女の人格を模した最終兵器…」

 「信じられませんな、陛下!」

 「想像力の無い奴め、自分の彼女が最終兵器だったらどんなに嫌か、考えた事はないのかっ!」


 (普通考えない、って)


 女帝の一喝が炸裂した。

 一同ひれ伏す。

 「事実は小説より奇なり、というではないか、この愚か者ども!」

 専政者たる女傑は、下賎の者を見下す視線をとった。

 「め、滅相もございません。へ、陛下のお情けがなければ我々生きる意味が…」


 (マッチョイケメン軍団はマゾの集団か?)


 「よしよし、では続きを詳しく話してしんぜよう、次に命のほとばしりをわらわに貢ぐものはどの者だ!」

 「はい!」

 「汝らの生命の漲(みなぎ)りを、ここに集うものすべてで分かち合う必要があるのだ。」


 いったい何のため!?〜その突っ込みの答えを語る機会はかなり先になるだろう。


 「はいはい、では私が!」

 「いや、私が!」

 「その次はぼくが!…」


 「みりゅうすの特異点を、あの子の 3 年周期の問題で安定化させる事も可能だ、きっと!」

 乖離性人格障害だった彼女の過去は、3年から5年周期で問題が露見していた。

 そのすべては有機体先進開発機構の特別チームが携わってきた事だ。

 それにしても、この女はいったい何を見透かしているのだ?…




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