告白
空中庭園の一角。
その部屋では、比較的幼稚で穏やかな旋律が流れていた。
まるで子供に聞かせるかのようだが、しかし聞いた誰もが子供に聞かせたいとは思わない。
何せ添えられている歌詞は、まったくもって子供じみた内容ではなかったからである。
さらに言えば引いているのは、この世とあの世の境目にいるとされる、女神とも夢魔とも取れる存在。
もしくは、悲劇の父親殺しを成し遂げた貴族の悲運の象徴とされた女性。
そのどちらかでありどちらでもある、魔神なのか女神なのかすらハッキリしない存在。
名を、ベアトリーチェ・チェンチ。
黒い修道服に身を包んだ女性で、宝石のような碧眼の持ち主。
長い金髪を三つ編みにして伸ばしており、座ることでその先が床にすれる。
その存在の所在の片方が“永遠の淑女”であるからかとても女性的な体をしており、特に胸部は自身が揺れる度に大きく揺れて男の
武器である大鎌を側に置いてピアノを弾く姿は魅力的であったが、しかしその目が半ば虚ろだったのが唯一恐ろしい点である。
彼女はその美しい歌声で、戦慄にはまるで合わない歌詞を飄々と歌い上げる。
♪ 煉獄山の淑女には、待ち侘びてる人がいる
歌が上手なあなた とてもきれいな詩を書くあなた
だけど私は だけど私は あなたなど興味――
な・い・の・よ
私を呼んで 来るまで待てと言ったあなた
誰も来ないこの山に置いていって
いったいどういうつ・も・り・な・の
孤独! 孤独! 一人ぼっち!
泣いても笑っても響きはしない!
今! 私は運命を……
呪って! 殺す! キル・ア・フェイト!!! ♪
ピアノで弾き、歌うにはあまりにも過激的な歌詞。
ギターやドラム、ベースなどの軽音楽楽器があまりにも似合いそうなそれを、ベアトリーチェは何の違和感も感じてなさそうに歌う。
その歌がその間奏を終え、勢い殺さず二番へと駆け抜けようとしたそのとき、彼女の部屋の扉がノックされ、ノイズが入ってしまったベアトリーチェは不機嫌そうにピアノを止めた。
「なぁあにぃ? 今いいとこだったのにぃ」
「ごめんごめん。ベアさんちょっと」
明らか不機嫌そうだったベアトリーチェだったが、しかしその相手を見てまたあからさまに態度を変える。
あれれぇ? と目をランランと輝かせながら、その彼——ミーリ・ウートガルドに近寄る。
ミーリよりも身長が低いために上目遣いになるのを大いに利用して、ミーリに詰め寄った。
「なぁになぁになぁにぃ? ミーリくんじゃあん! なになにどうしたのぉ? 私に用とか珍しいぃってか、私に構わなすぎぃ」
「いや、ベアさんあんまりこのお庭のこと知らないとか言ってたし……話しかけないでオーラ凄かったからさぁ」
「えぇぇそんなことないよぉ」
一瞬の中でも、多種多様な笑みを見せるベアトリーチェ。
一見狂っているとすら見られてしまいそうな彼女だが、しかしその本質は自分を愛してくれた人を長年一人で待ち続けた寂しさから、人と話せることに喜びを感じているだけである。
先ほどの歌のように感情を爆発させる術も知らぬまま死んでいった一面を持ち、さらに人に自らの感情をぶつけることを許されなかった一面も持つ彼女としては、現在何も臆することなく誰かと繋がれることに対して、とてつもない喜びを感じているだけであった。
元は名前しか重ならないまったくの他人だった者が重なってできている今のベアトリーチェは、言ってしまえばひどく単調で子供のような感情の表し方をする。
まったく別の生涯を生きた存在同士でありながら、その本質はどこにも感情をぶつける場がなかった寂しさという点で奇跡的に合致していることが、彼女の感情の起伏を激しくしているかもしれないという仮説を立てることはできるが、実際はわからなかった。
しかしミーリにとっては、ベアトリーチェはまったく怖くない。
彼女を形作る人格の一方――父親殺しとそれに至る経緯という面を知らないというのもあるかもしれないが、しかし例え知ったところで関係はないだろう。
ミーリは慈悲深く、しかし未だ残酷に、魂の内から邪悪さを溢れ出させる者でない限りは、見ただけで嫌いになった相手はいない。
スノーホワイトやニコラ・テスラなどの魔神を殺し、そのほかの神々も殺してきたミーリであるが、その理由が人類に対して災害及び災厄とならない限りは、殺してこなかったつもりである。
宿敵のユキナですら、もしも妹ルイをその手に掛けていなければ、それ以外の家族殺しなど咎めもせずに許し、偽りの愛を育み続けただろうことは想像に難くない。
その偽りに気付いた現在はわからないが、しかし過去のミーリがそのまま成長したとすれば、かつて目の前に現れた未来のように、ベアトリーチェと同じか似たような孤独に襲われたことだろう。
そんなことを思って同情しているということはなく、そんなことを思うことすらしてないミーリは、ただ純粋に、話しかければ笑って返してくれるベアトリーチェを、嫌いになれなかったのである。
「ちょぉっとお願いがあってね……俺としても、君の力を見ておきたいし」
「あぁぁ……なるほどねぇ……いいよぉ? やろっか?」
アタランテからリンゴを貰って上機嫌のティアと、それに付きそう
ティアが真っすぐミーリのところに向かっているのを知っている空虚は、ほんの少しだけミーリになんと話しかけようかを考えていた。
魔法世界に飛ぶまでは割と普通に対話できていたと思うのだが、なんだかあの世界で助けられてから少し言葉を考えることが多くなった。
彼がすでに、自分ではまるで届かない存在になってしまったような気がしてしまって。
笑顔の裏にドス黒い復讐心を宿し燃やしていたミーリが、なんだか変わった気もしている。
どんどんと適当な態度と言葉が減り、少し大人びた気がしてしょうがない。
自分の気持ちに正直になり切れず、未だ告白が叶っていない自分とは、なんだか距離ができてしまったような気がしてならないのだ。
とにかくいろんな理由でいろんな距離が遠のいてしまった気がして、ミーリとうまく会話も対話もできずにいる。
実力は元々離れていたが、しかし今ではその差はもう埋めようのないものとなってしまって、その埋められない距離がイコール心の距離になりつつあったのだ。
無論それでも、焦がれる気持ちは変わらないどころか強まるばかりだが。
「うぅ! ウーウ! ミーミー!」
「ミーリがいるのか? ティア――!?」
突如耳に届いて来た爆裂音。
ずっと遠くからすぐ近くまで近づいて来て、また遠のいていく。
ティアを追いかけるのも兼ねて音の元を知るために走った空虚は、庭園と称す国の湖が一望できる踊り場に出る。
爆裂音は激しい水飛沫を湖の上に上げて、凄まじい激戦の余波を周囲にその目で確認させる。
まさかここまで激しい戦いが、まさかお互い同意の上での手合わせなどと思うまでに、空虚はおよそ三分もの時間を要した。
戦う両者が目で追いきれず、その速度に慣れてようやく捉えられるまで、それだけの時間が掛かったと言うことなのだが、イコール自分が未熟である証拠とも言える。
もしも同じ速度で敵が自分に向かってきていたのなら、自分は防御することもできずに首でも腹でもどこでも、全身でも斬り飛ばされてもおかしくなかったということなのだから。
しかし驚いたのは隣のティアが初見でその二人の速度を目で追いきっていたということであり、貰ったリンゴを潰さないようにしながら両手を振って応援する様を見たが、もう何もわからない幼龍だとは思えなかった。
「ミーミー! ブンブン! ブンブン、ティ!」
激しい水飛沫の中に叩きつけられたベアトリーチェは、大きく口を開けて笑い飛ばしながら立ち上がる。
そして仁王立ちで自分が来るのを待っているミーリに対して希望に応え肉薄、鎌で斬りかかった。
ミーリはそれを手刀で受け止め、もう片方に握り締めている
払い飛ばされたベアトリーチェに対して容赦なく上空で作り上げた複製を射出し、高い水飛沫を上げたところに肉薄。
周囲に剣を複製し、特攻する。
いくよミラさん……!
「“
「アッハハハハハ!!! ……“
湖を切り裂く巨大な十字。
その亀裂から漏れ出す漆黒の煉獄が、迫りくるミーリを焼く。
ベアトリーチェももはや手合わせということを忘れ、本気で殺しに来ていた。
だがミーリの今の武装は、灼熱を宿す炎の巨人が握る魔剣。
煉獄すらもなんのそので斬り捨てて、煉獄の最中から十の魔剣を射出する。
ベアトリーチェはそれらを弾き飛ばすと、自ら鎌を握り締めて肉薄、迎え撃った。
「“
「“
地獄の業炎と巨人の国の眩き炎。
二つの炎が衝突し、二つの炎が上にある湖の一部が蒸発する。
そこにいた動物は焼け死に、灰と化して跡形もなく消えていく。
まるで二つの太陽が地球に迫って来たかのような熱気が迫り、ティアは思わずミーリに渡したいがためにリンゴを自らの体で覆って守る。
さらにそのリンゴとティアを護ろうと、とっさに空虚がティアの前で両腕を広げて壁となった。
二つの炎が消滅し、湖は空いた穴を埋めようと流れ込んだ水の流れで渦が起きる。
その上空で向かい合うミーリとベアトリーチェは、本気で狩るための一撃を用意していた。
笑い声が響くベアトリーチェの鎌が変形し、十字架を模した形となって両方に刃がつく。
ミーリの背後には千を超える刃が並び、打ち震えながら突撃の合図を待っている。
「ッ……ハハハっ!!! “
「“
二人の最大級の技が衝突する――と思われたそのとき、上空から降りて来た何者かがベアトリーチェの頭を鷲掴みにして湖の中に叩き込んだ。
今までで一番大きな水飛沫が上がり、ベアトリーチェは沈んでいく。
そして水飛沫が完全に落ちて水面が静かになった頃、ベアトリーチェは泳いで浮かび上がって来た。
「えぇぇ! 今ここで水を差すぅ?! 普通ぅ!」
「たわけ! 俺の庭を壊す気か貴様! 貴様が本気で相手をするが故に向こうまで本気を出さざるを得ない状況にしていたのだろうが!!! 調度いいそのまま頭を冷やせ!」
「ちぇぇぇ」
そのままブクブクと気泡を立てるベアトリーチェ。
ミーリは上空に立つことに疲れ、複製した魔剣の上に乗って小休止した。
ネブカドネザルはそんなミーリをキッと睨み、半ば諦めたかのような吐息を漏らすと、獣の爪がついた籠手で頬を掻いた。
「貴様にも言いたいことはあるが……今の戦い、本気を出さなかったのは見ればわかる。俺の庭を破壊しまいとしたこともわかるが……加減が苦手のようだな、同盟者」
「あぁぁ……ごめんなさい、王様」
「まぁ、頼もしくはあるがな」
ベアトリーチェ・チェンチは確かに武神ではない……。
だが例え武神だったとして、こいつを止められるのか……例えば、戦の女神イシュタル――など、か……。
ミーリ・ウートガルドか……この化け物ならば確かに、打倒するかもしれん……。
「あの、王様……なんか壊れちゃったかな」
「たわけ。貴様の半分程度の力で壊れるほど、俺の庭は脆くはないわ。それよりも、あいつらに顔を見せてやれ」
王ネブカドネザルが顎で差した方に、空虚とティアがいた。
その他の方にも軍のみんなやロンゴミアント達武装も見ていたのだが、王が差したのは空虚だった。
その意味を、ミーリはわずかに感じ取って噛み締める。
「俺は王だ。側近や臣下に気を払うのは当然のことだが、しかしそれよりも気を払い気を使わなければならない者がいる。そいつの手が無ければ、俺に王など務まらなかったと、そんな勘違いを感じさせてしまうほどの存在だった。同盟者。そこで貴様を見上げるあれは、それほどまでの存在か否か……それは、おまえしか知らんことだ」
ミーリはネブカドネザルに会釈し、空虚達の元へと降り立つ。
ミーリの心配よりもリンゴの心配をしていたティアは、降りて来たミーリに抱き着き胸の中に頭を擦りつけた。
「ティア、見てたの?」
「んー! ミーミー! ンゴォ!」
「へぇ、金色のリンゴ……くれるの? ありがとねぇ、ティア」
「うぅ! ミーミー! すぅきぃ、うぅ!」
「ん、ティア、今……」
初めて単語らしい単語を口にしたが、しかしティアにそんな認識はない。
いつだって彼女は感情を言葉に出しているし、喋れていないという認識もないのだ。
まぁ、それ故に未だ話せないというのもあるのかもしれない。そうなると、教育を怠っているミーリの責任になるのかもしれないが、まぁ今は置いておく。
「ミーリ……」
「ごめんごめんウッチー、大丈夫だった?」
「あ、あぁ……」
何か声を掛けなければいけない、と思うのだが。
言葉が出てこないことにわずかな違和感ともどかしさを覚えながらも、しかしそれでも言葉が出てこないことに若干のイラだちを感じ始めていた。
それが寂しくもあって、少しだが泣きそうになる。
するとそんな空虚を気遣ったのかそれともただ単にそうしたかっただけか、ミーリに引っ付いていたティアは空虚の腕を引っ張って二人を引っ付ける。
そして自らがその合間に入り、二人の体温を感じて表情をとろけさせた。
「ぬくぅ……ティ、ウーウ、もぉ、すぅきぃ」
余りにも簡単に好きという言葉を使えるティアが、今一瞬羨ましく感じる。
二人の体温に挟まれてニマニマするティアの柔らかい頬を、空虚は両手で圧し潰しグニグニと弄り始めた。
空虚のそれが気持ちいいのか、ティアのとろけ笑顔が治まらない。
それを見ていると空虚もなんだか些細なことで悩んでいたような気分になって、思わず笑みがこぼれた。
そしてここに来て一番強い眼差しで、ミーリを仰ぐ。
「ミーリ! 決めたぞ私は」
「おまえを助けたら、私はおまえに話しをするという約束を覚えているか? あれなんだが、前払いにさせて欲しい。この先ずっと私はおまえを助けるから、私の話を聞いてくれ」
深呼吸。
「……私は――
実際、色んな言葉を考えていた。
いろんなシチュエーションで、いろんな系統の言葉を考えていた。
だけど何も考えずに出たこの言葉こそ、最も荒野空虚らしい。
馬鹿なくらいに実直。これが荒野空虚の本質だろう。
無論それだけとは思っていないが、しかしそれが一番それらしい。
現にユキナ・イス・リースフィルトもロンゴミアントも、あんなに真っすぐに好意を伝える人で、そんな彼女達がミーリの側にいるのだ。
こうして真っすぐ気持ちを伝えられる人間こそ、ミーリ・ウートガルドに相応しい気もする。
それにこの人は遠回しの表現などわからない。こうして真っすぐ伝えれば、嫌でも振り向いてしまう人だ。
現に今初めて空虚は、自分の前で大きく動揺を見せるミーリを初めて見た。
顔を赤くして、次の言葉に詰まるミーリなど初めて見る。
しかしこの様子では、あっけなくフラれて終わりかな。
そう空虚が、自らの失恋を決めつけたそのとき、上空のネブカドネザルが叫んだ。
「全員構えろ! 敵軍と見られる軍隊が来ているぞ!!!」
ミーリも空虚も、ティアですらも警戒レベルを一気に上げる。
上空を見ればネブカドネザルの言う通り、全身を鎧甲冑で武装した兵団が、一体の女神に引き連れられて迫って来ていた。
現代の若者のような軽装をしているが、しかし決して肌を過度に露出するということをしない辺り、敵と対峙するのに軽蔑はしても軽視はしないのだろう性格がにじみ出ているその服装。
ベアトリーチェと同じく長い金髪と碧眼を持つ女神は、背負った二本の聖剣を抜いて威圧しつつ、声を張った。
その声はまさしく戦いの女神。激しい戦火轟く戦場の中でも鮮明に聞こえるかのように、強く腹の底に響き渡った。
「我らは、オリュンポス十二神軍パルテノン親衛隊! 我はそれを指揮する女神アテナである!
「……レーちゃん」
『はい』
上位契約で刻印と化していたレーギャルンが人の姿に戻り、空虚を後ろに下げる。
そして庭園の至るところから同じ警告を聞いていた軍の面々――ティアをはじめとしてドゥルガーにアリス。
庭園の屋上に立つアタランテとアステュアナクスが弓矢を構え、迎撃体勢。
上空ではネブカドネザルが腕を組んで仁王立ちで待ち構えており、湖の乙女の加護を持つというアンブロシウスとそれを借り受けているアルトリウスが第二陣として水上に立ち待ち構えている。
そして姿は見せないが、ジャヴェル・ザ・ハルセスが敵軍を見てすぐさま対抗する軍隊を量産しており、セミラミスが出撃できるよう態勢を整えているはずだった。
そしてレーギャルンが魔剣を整列させて作った壁のまえに、オルアとジルダが立ちはだかり更なる壁となった。
「オルア! 私は大丈夫だ! それよりも――」
「それはダメだよウツロ。これは、ミーリくんの命令なんだ」
その言葉を受けて、空虚は戦力外通告を受けた気分になった。
たった今、これからずっと助け続けると告白したばかりなのに、それも叶わないのだと。
諦めてはいたが、やはり自分ではミーリには値しないのだと、思わざるを得なかった。
しかしオルアは深く吐息し、こんなの認めたくないんだけどねと続ける。
「敵が攻めて来たときの対応は三パターン。一つは敵軍の力が僕らの軍より下のとき、一斉に出て返り討ち。短期決戦にする。一つは敵軍の力が僕らと同じくらいのとき、遠距離攻撃での迎撃も主に入れて長期戦に持ち込む。主に攻撃を主体で戦う。んでもって、最後に一つ——」
「敵の力が僕らより上のとき、少数精鋭以外の全員で防御に回って長期戦に持ち込む。このときの最重要事項が、必ず僕がそのときの最重要対象の護衛に最優先で入ること。で、さっきミーリくんが来て言ったよ、今の最優先対象は……ウツロ、君だって。わかる?」
「君が戦えることも知ってるし、君のプライドが自分と同じくらい高いし傷付きやすいことも知ってるけど、他には代えられない特別だから護りたいんだってさ! もう告白だよね! 僕もう嫌だよ! こっちはフラれたんだからさ!」
「オルさん! その話ウッチーにはしないでって言ったじゃんか!!!」
「嫌だよ話す! フラれた僕の身にもなってよ! 僕はこう見えて嫉妬深いんだ! こうなったら意地でも君の未来の奥さん守り抜いて、君に一番に褒められてやるんだから!」
「だから、ちょっと奥さんてそれは……!!! まだ告ってもないのに……!!!」
ミーリ・ウートガルドと荒野空虚。
二人が互いを両思いだと知ったのは、まさに敵に宣戦布告されて防御態勢を整えている中、同じくミーリを思う友達によって大声で暴露されるという恥ずかしいシチュエーションで。
そのときのミーリの慌てようを思い出して二人で笑い合う未来が一つの可能性として確立されたその瞬間、空虚は思わず吹き出してしまった。
ミーリはそれにまた真っ赤になりながらアテナの軍を見上げ、先に空虚に告白されてしまったことやオルアに暴露されてしまったこと、そしてこのシチュエーションになってしまったことすべてをまとめて、思わず吐露した。
「あぁぁ……こんなはずじゃなかったのになぁ……」
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