王との面会
「私に与えられた任務はほぼ終えた、と申してよいと思います。いえ完了したと言って差し支えないでしょう」
「だとすればよくやった。それをすぐわしに渡せるか。見せられるか」
「いえ……まず
「ではまだ終わっておらんではないか。わしの直々の使者は心配ないが、確実にその者の手元にあり、そして手渡されるのであろうなあ?」王の表情が険しくなった。幾分痩せた王の見せるその険しさは、初めてのものだった。ただ感情の動きが何故か感じられなかった。
「は……! それは確実と申し上げます。とにかくまず、私は潔白を示そうと思いました故……。王、ヨグルトは……」
「わかった、まあよい。ヨグルトな。ではその本題に入ろうか。……いや最後に一つ。姫の遺物を探し出している時のお前の心情は、手ごたえは、どのようであったか」
「私のやるべきまさにそのことであった、と確信致しております」
王は一呼吸おいて再び話し出した。その時、王の視線が遠い空にでも向けられるように一瞬傾いたが、表情はどうも読み取れなかった。
「ヨグルトの謀反、伝わっておろうな」
「はっ」
「何も言わん。討ちに行け。厄介なことにならんうちにな。ヨワリスとマコも着き次第遣らせる」
「王。マコは……」
「マコはまだ戻っておらんのだ」
「いえ、そのマコのことですが」
「誰でもいいが、残るお前達三人のうち誰かが、あやつの任を次いでこい。わかるな? 姫の血だ。厄介なことになる前に、まずヨグルトを始末し、姫の血を持ち帰るのだ」それから王は付け加えた、「……ヨグルトの首は、どっちでもかまわん」と。もう表情はなかった。
「今度も内部の人間を兵として付けさせることはできん」
「しかし王! ……あからさまに反旗を
「お前も、兵が
ミジンコの表情はこれを聞くと明るくなった。
「明日のうち発て。……ミジンコよ、戻って来るのだぞ」王の表情の奥に、最後になって切実さのようなものが見て取れた。
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