第3章 マコと土毒蜘蛛
囚われたマコ
年が明けたあたりから、ユミテの都にちらほらと、マコの噂が聞こえ始めていた。旅立った四人の騎士のうち、真西に向かったというマコは確かに、ミジンコと一番近い距離にいることになるはずだ。
最初のうちは、クシュウイン族の探求者の一人がユーハナ峠を抜けたとか、安亀県で県令のもてなしを受けたとかいう程度だったが、そのうち妖果実ロヒィテを討伐した勇者マコだとか、
しかしそれも、
このカラス天狗というのは、七骨峠にかつて城郭や温泉郷を築いていた旧勢力の残存者で、マコがその場所で囚われたのが事実とすれば、その捕り手はおそらく、彼らの住居を滅ぼした
思えばマコは不憫であった。マコは、かつて姫が、後に彼の求めるところとなるその指で西を指したことから、姫の指の在り処を、西の拝火教団の宗教集落か、あるいは散在する西域温泉地だと推測していた。しかしマコも、姫が火の魔法の使い手であることを知っていれば、あまりに多すぎる温泉地など巡る必要もなかったろう。そして秘境
翌日の正午、ミジンコは噴水のある街の広場で二人のカラス天狗と会った。
「やはり間違いございませぬ。あの今となっては戻るのも忌まわしい――奴目が巣くっておりますゆえ! ――廃墟に、マコは囚われ早二十日になります!」
「化け物はマコを生かしているのか?」
「あやつめは、常に痛みの途切れぬやり方で、百日かけて獲物の血を残らず抜き取ります! 奴の巣は逃れ得ぬ
「それが本当ならあんまりだ。何かよい方法はないのか?」
「マコは、貴方に、助けを求めておりますミジンコ殿!」
「……七骨峠の地理を簡単に教えてもらえるか?」
「宜しき哉。奴の巣食う廃墟――今ではかつての名残なく
土毒蜘蛛の陣取る山の裏側に隠れ里があるというカラス天狗も、若干の援軍を口約束した。ミジンコはその日中のうちに仕度を整え、軽い荷物を持って夕刻出立したのだった。ミジンコはビスケミンクらに事情を話し、皆はそのまま都で探索を続けてくれることを承知した。ビスケミンクはミジンコに従って救援に行くことを願ったが、彼は断った。デラネテはユミテ州王への兵の要請を提案したがこれもミジンコは拒んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます