PARTⅣの6(30) ゾンビ兵士強引リクルート作戦
なんの食料も持たされず、二週間も富士の樹海に放り出されるサバイバル訓練はその日が二週間目だった。
この訓練に参加している七人の新人の特殊部隊員を監督しているのは紺野という教官だった。
紺野と二人の部下は集合地点ににテントを張り、
訓練参加者の位置をバッテリー駆動のGPSモニターで監視していた。
訓練参加者のうちの一人が全く動けない状態に、二人がほとんど動けない状態にあった。
その三人は午後二時から三時前の間にヘリコプターが実地の救助訓練を兼ねて救助することになっていた。
それまではなんとしても自力で生き延びなければならなかった。
テントのそばにはここまでたどり着いた者たちを富士駐屯地まで運ぶためのカーキ色のほろ付き中型トラックが停まっていた。
その場所は静かで、
突然、トラックのドアが開けられたような音が響いた。
「なんだ? 誰かが
二人の部下はトラックの方に行ったが、
すぐにそっちの方で何やら物音がした。
「おい、どうしたんだ?」
紺野は広げた折り畳み椅子から立ち上がって、テントの外を見た。
そこに、自衛隊の迷彩服を着た男が立っていた。
その顔を見た紺野は背筋がぞっとした。
男の顔はゾンビのように青白かった。
紺野はその顔に見覚えがあるように思った。
「お前、もしかして田中じゃないか? どういうことだ、死人みたいな顔して?」
「そうさ。死んでゾンビになったんだよ。お前でよかった」
「どういう意味だ?」
「お前なら遠慮なく殴り倒せるからな」
紺野は片桐裕子にストーカー行為を働いた上官がジャックポットに言われなき暴行を働いた時に、
一緒に彼に暴行を働いたその上官の部下で、
その上官と一緒にジャックポットに返り討ちにあった男だった。
「なんだと、くそ、殺してやる」
紺野は腰の九ミリ拳銃を抜いて構えた。
「俺は撃たれても痛くも何ともない。第一、弾には当たらない」
「ふざけるな」
紺野は引き金を引いた。
だが、弾の飛ぶ位置に相手はいなかった。
彼は超人的な
紺野は横に拳銃を向けて相手をその照準にとらえようとしたが無理だった。
ジャックポットは人間離れした筋力や運動能力と人間らしい知性を併せ持つハイブリッドゾンビだったから。
ジャックポットは次の瞬間、紺野の脇に殺到して、相手を一発の重いパンチで叩きのめした。
ジャックポットは自分の通信機で仲間に連絡した。
「今から脱落した三人の訓練参加者の座標を伝えるので、速やかに確保してほしい。
こちらはこれから、集合地点近くまで到達している四人をここで待って確保する」
限界ギリギリまで体力を消耗した四人が次々と姿を現した。
彼らは順次、ジャックポットの一撃を食らって昏倒し、縛り上げられた。
脱落した三人もみな身柄を確保され、
こうして確保された七人の特殊部隊員及び紺野教官、合計八人は富士山麓の一角にある
そこで、例のチップが八人の頭に埋め込まれた。
そのあと、恵美音の体内から取り出したゾンビウィルスが七彼らに注射された。
こうして、ジャックポットをリーダーとする
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