第46話 次の街みたいです
「さて、どこに向かえばいいのやら…」
無事、荷物の準備を整えた俺たちは、次の街を探すために彷徨い歩いていた。
次の街はいったいどこにあるんだ?
そんなことを考えながら、俺たちは歩いていた。
「あーあ、街が一向に見えてこないなぁ…。何か匂いとかはしないか?」
「はい……そうですね、このまま真っすぐ進めば人が何人か集まっている場所につきます。時間にして約10分ほどですね。」
さすが狼の鼻はよく効くな。素晴らしい嗅覚だ。夜の俺に会ったら『発情期の雄の匂いがします』とか言われそうだな。
「あ、あの…ご主人様、発情期の雄の匂いがします。そういったことは、夜にしていただけると嬉しいのですが…」
そう言うルーフの顔は真っ赤に染まっていた。
なに!?俺は知らず知らずのうちに発情していたのか!?
…だが、『夜にしていただけると嬉しい』っていうことは、夜伽のお誘いってことか!?これは夜が待ち遠しいぜ!!
「ツバサ、私たちの事も忘れちゃだめよ!」
「…ん、私たちも夜にしてもらう」
こりゃあ今日の夜は疲れそうだ。
そんな感じで暫く歩いていると、ルーフが言った通り、人が集まっていたのだが…、それは酔っ払った盗賊たちだった。鑑定をしても、称号が全員盗賊だった。
「…完全に盗賊だな」
「…ん、盗賊」
「…盗賊ね」
「…盗賊ですね」
なんでこんなところに盗賊がいるんだ?…別に待ち伏せしているというわけではなさそうだな。まぁ、待ち伏せしてるんだったら、酒なんて飲んで酔っ払ってないか。
「えーと、とりあえず倒しとく?」
「…ん、それがいいと思う」
「私も同感ね」
「私もそう思います」
みんなの意見が一致したから、一気にやっちゃいますかぁ…『絶対零度』!
俺が魔法を発動させると、途端に騒がしかった盗賊たちが、一瞬で静かになった。
よし、盗賊たちをまとめて縛って連れていくか…ん?この場所からなにか森が見えるぞ?
「なぁ、イズナ…森の向こうに街があるんだが、あれはなんて街なんだ?」
「え?あんなところに街があるなんて知らないわよ。」
は?じゃああれはいったい何なんだ?
「とりあえず行ってみよう。そしたらなにか進展があるかもしれないぞ。」
「そうね、その街に行けば何か珍しいアイテムとかもあるかも知れないわね。」
「じゃあ、行くか!」
こうして俺たちはすぐ近くの街に向かって歩き始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
街に着くと、そこはなかなか古い雰囲気の街だった。なんかすごくレトロな感じがして居心地がいいな。
日が暮れてきたから、まずは宿を探さないといけないな。宿が無いと野宿をする羽目になるし、追剥に会うかもしれないからな。
「よし、とりあえず騎士団の詰め所っぽい場所に行って盗賊たちを引き渡した後に宿屋を探すか…」
「…ん、宿楽しみ」
「そうね、今日の夜は楽しみね」
「そうですね…私も楽しみです♪」
…俺の体力もつかなぁ??まぁ、一先ずは騎士団の詰め所っぽい場所だな。
えーと、詰め所はどこだろう…あ、あった。
「ここだな」
なんと、立てかけてあった看板に『騎士団の詰め所』って書いてあった。
なんて分かりやすい看板なんだ!分かりやすくていいけどさ…
別に何でもいっか。とりあえず入ろう。
「邪魔するぜ。」
「ようこそ、騎士団の詰め所へ」
中に入ると、そこはすごくきれいなところだった。なんだかぺルセ街の冒険者ギルドとは大違いだな。
「私は、この騎士団の詰め所の受付をしているサクラと申します。以後お見知りおきを…」
ブフォッ!!なんでこの世界の男にはローズとかサクラとかゲーイとかそういう感じの名前の奴ばっかりなんだ!?
「俺の名前はツバサだ。今回は、この盗賊たちを引き取ってもらいたくて来たんだ。…あ、あとこの街で、一番いい宿を教えてくれ。」
「分かった。とりあえず盗賊の方を預かるぞ。そしたら奥の部屋で待っててくれ。」
そうして案内されたのは、これまた小奇麗な部屋だった。部屋の中には大きめのソファが二つ用意されていて、その二つのソファの間にちょっと高そうなテーブルが置いてあった。
その部屋で雑談をしながら10分ほど待っていると、受付のサクラが入ってきた。
「お待たせしました。盗賊の盗伐報酬が出ました。えーと、普通の盗賊が12人ですね。一人につき大銅貨1枚ですので、銀貨1枚と大銅貨2枚ですね。」
おぉ、なかなかいい金額じゃないか。これだけで一晩は泊まれるんじゃないか?
「それと、宿の件についてですが、この近くに春の七草亭という宿があります。場所は紙に書いておきますので、そちらをご確認ください。ほかに何か聞きたいことなどはありますか?」
「いや、もう大丈夫だ。助かった。」
「いえ、こちらこそお役に立てて良かったです。また、何かありましたら、騎士団の詰め所をご利用ください。」
こうして騎士団の詰め所を出た俺たちは、サクラに貰った紙に書いてあった通りに道を進んでいくと宿に着いた。
「邪魔するぜ。」
「いらっしゃい。春の七草亭にようこそ。」
宿屋に入ると、笑顔が印象的な若い男が店番をしていた。
「とりあえず4人部屋水浴び付きで2泊したいんだが、いくらだ?」
「水浴び付きの1泊で銅貨10枚ですので…銅貨20枚になりますね。」
「分かった。それと宿泊の延長ってできるのか?」
「はい、できますよ。ですが、料金はその都度支払っていただくことになります。」
「あぁ、じゃあ…これで丁度銅貨20枚のはずだ。」
俺はちゃんと数えて銅貨20枚を渡した。
「…はい、確かに頂戴いたしました。部屋は2階の1番奥になります。」
宿屋の男に言われた部屋に行くと、ダブルベッドが二つ用意してあった。
なるほどな、今日は頑張ってこのベッドの上でヤレってことか…。いいだろう!
「さぁ、飯を食ってとっとと寝ようぜ。」
「…ん」
「そうね」
「はい」
そして夕飯を食べた俺たちは、ベットの上で熱い夜を過ごした。
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