第二片 襲来、奮闘。そして―― 0
無邪気な声で君は笑った。
「いい? わたしがお姫様で、あなたが近衛隊長」
舌っ足らずな口調で、聞き慣れない役を要求する。
「なに、それ」
オレは首をかしげる。
「えっとね……」
たどたとしく、君は説明を試みる。
ゆうべ、お父様とお母様といっしょにお芝居を観たの。
そのお芝居に出てきたお姫様がとってもきれいで、近衛隊長は……えーと……とにかくすっごくかっこよかった!
お話はよくわからなかったようだが、お芝居自体はとても気に入ったのだな、と理解した。
「で、その――コノエタイチョウ? ってのは、なにをすればいいんだ?」
「わたしをまもるの。クセモノとか、てっぽうのタマとか、そういういろんな危ないものから」
なんだ――と、オレも笑った。
「それじゃあ、いつもと変わらないな」
「ああ……そういえばそうね。うーん、それじゃあ――」
白い手がのびて、オレの上着の袖をつまんだ。
見あげる瞳。
「これからも、ずっとこの先も、わたしの近衛隊長でいてくれる?」
「いいよ。これからも、ずっとこの先も」
――君を守る。
そう誓った。
その意味も知らず。
その困難さにも思いいたらず。
無邪気にただ、できると信じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます