第2話 過去の話の美少女

「た、ただいま~…」

ただいま。と言っても返事は返ってこない。それもそうだ。麗月の両親は、思わぬ交通事故で亡くなってしまった。奇跡的に麗月は助かったが、事故のことを思い出すだけでも頭痛がして倒れることもある。元から貧血持ちもあり、体が弱いのだ。

「…なんか作ろうかな。」

いつも1人で家事をしている麗月は、父母の写真などはすべて捨て、忘れようとしているにもかかわらず、思い出してしまうことが多い。

「よし、できた。いただきます」

寂しげな顔をしながら食べている麗月。美味しそうに食べることは家ではできない。本当は学校でも笑顔はすべて作り笑顔だ。けれどあることを思い出すと顔が熱くなってしまう。


「『華歌』桜の花、すっげー似合ってるよ///」


「…うぅ///」

今でも顔を赤らめてしまうぐらいだ。それだけ言葉と言い、笑顔と言い、心残りなのだろう。けれど、違う感情も抱いていた。

━━━━どうしてだろう…こう、胸がキューって苦しくなるのは…。

ずっとそう考えているうちにも、ご飯が冷めてきていることはいず知らず考えていた。


「はぁ~お風呂最高〜♡」

麗月は入浴していた時もずっと胸の苦しみを考えていた。あーだこーだとブツブツ言いながら入浴していると、だんだんのぼせてきたのか倒れそうになる。

「…ずっと考え事してたから…やばいかも…早くでなくちゃ…」

ふらふらしながら風呂から出る麗月。なんとか服を着替え、ベットに上がったのはよかったが、麗月は少し異変に気づいた。

━━━━まさか…風邪をひいたんじゃ…。

そわそわしながら熱をはかったが、熱はなくホッとしていた。だが、視界はぼやけていく。

━━━━なんとか治ってくれるといいんだけれど…。

麗月はしばらく横になり、目を閉じた。



「美少女…すごい可愛いじゃん。寝顔やばいな。…テレビ局が騒ぐぞ…ひひっ…まぁ俺のにしてみせるけどね♡」




第2話 過去の話の美少女‐終‐

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恋初桜 優姫❁ @Softimo

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