第3話 変わりゆく日々
ーー次の日
学校にはいつも20分前には着く。
無遅刻を心掛けている。
心掛けているだけだが。
そして教室に着くと沙耶がいつも先にいる。
「おはよう!」
沙耶の爽やかな笑顔、あぁ朝だなという気持ちになる。
「おはよう」
朝の日差しと爽やかな風が吹き抜ける。
沙耶が窓を開けたのかなぁ、と思いながら席に着く。
この教室に2人きり
小さな世界に沙耶と私の2人きり。
「そういえば今日の授業はさー…」
なんてことない話を沙耶がする。
当たり前のように。
私は心の「違和感」を抱えながら。
どうして昨日の話をしてくれないの?
聞かれたくないの?
言いたくないの?
ーー私のこと友達と思ってないの?
「ーあの、昨日の話なんだけどさ…」
私の目は沙耶を見ていない。
ーーいや、見れない。
「昨日の話?」
沙耶がきょとんとする。
昨日のは夢だったのか?
いや、夢なら嬉しい
沙耶と離れなくていいから。
1人にならなくて済むから。
「え、ほら沙耶が一週間後に消えちゃうって…」
「あぁ、その話か!昨日いっぱい話したから分からなかったよー…そのままの意味の話だけどどうした?」
私の投げかけに覆い被さるように返ってきた沙耶の返事。
私が求めていた返事と違くて駄々っ子のように心の中で
いやだいやだいやだイヤダいやだいやだ
私の心の中の駄々っ子を慰めるように、
落ち着かせるように、
何か言葉を放たなきゃと思っていても出てこない。
「今日を入れてあとー…6日、だね。」
ガラガラッ
話したこともないクラスメイトが入ってきた。
駄々っ子を突き放すような沙耶からの言葉。
その時だけ、沙耶の笑顔も、沙耶から出る言葉も消し潰してしまいたいと思った。
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