第2話 変わらない確証はどこから?


「私、一週間後に死ぬの」 



「ーーえ?」


その時、時間が止まったように沙耶から目が離せなかった。




「…どういうこと?」


私の声は震えていただろうか、足は震えていたのだろうか。

その時、私はどんな状態だったのかまったく覚えていない。



目の前の沙耶がいつもと変わらない姿、いつもの笑顔で私を見ている。


「どういうこと…かぁ。」


沙耶は考える時、腕を組む。

前からのいつもの癖だ。


「ーー私にも分からない、けど、一週間後には私は消えるの“この世”から」


いつもの帰り道、何回見たのかわからない電柱のそばに咲いている花、オレンジ色の雲、隣にいる沙耶、見慣れた姿で見慣れた笑顔で私に向けられている。ただひとつ違うのは、そこから放たれる言葉はいつもの言葉ではない。


それ以外はすべていつも同じなのに、その「違和感」はとてつもない不安感を掻き立てた、そこから逃げ出したいくらいに。


「ーーもう帰ろっか、遅くなっちゃうしね」

え?帰る?

聞きたいことがいっぱいあるのに。

どうしてそんないつもみたいに接するの?

ーーどうして沙耶はいつもと変わらないの?


沙耶は「どうする?」みたいな目を私に向けて微笑んでいる。

その姿は当たり前過ぎる姿でそれを壊したくないと思った。


「ーうん、帰ろ」




家に帰り、家族とご飯を食べ、お風呂に入る

そして、ベッドで横になり友達のSNSのタイムラインを眺める。


あぁ、この子とあの子仲良かったんだ。

この3人いつもカラオケにいってる。


ーーなんてことを眺めながら眠くなる。

いつものこと。




沙耶は本当にいなくなってしまうの?

       沙耶がいなくなったらどうしよう

沙耶がいないと悲しい

              1人は寂しい

沙耶ともっと遊びたい

         周りと同じことをしないと

いつも一緒にいる沙耶がいなくなるなんて

          同情の目で見られちゃう




沙耶がいなくなるなんて考えられない

     私が1人になるなんて考えられない




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