ずっといっしょ。

浩原

第1話 それは突然だった


ーーこの道で見る桜は2回目だ。

校門の近くに咲いている桜を見ながら歩いてる。

「あー、この桜も来年で見納めかぁー」

来年の自分はどうなってるかな、なんてわくわくしながら考えて歩いていた。

すると突然後ろから


「わっ!」


と背中を押され驚いて振り向いたら沙耶がいた。

「びっくりしたー?」

見慣れたドヤ顔混じりの笑顔で聞かれ素直じゃない私は「ぜーんぜんびっくりしなかったよ」ふんっとしたドヤ顔で返したら

「嘘つきー花菜は前から嘘つくときまばたきが多くなるからすぐわかるよ?」と沙耶に言われ2人で笑いながら校舎へ向かった。


お互いの癖が分かるぐらいそばにいる。

「前から」という単語も自然に出てくるし

これからも出るのだと当たり前に感じていた。


沙耶は身長が156センチと小柄でセミロングの自然な栗色がとても綺麗だ。

性格も明るくいつも笑顔でみんなからよく話かけられている。

運動は苦手。


それに比べて私、花菜は160センチのショートヘアーで最近染めて明るめの茶色にしてみた。

みんなから話かけてくれたら話をするが、基本的に1人が好きだ。

体を動かすのは好きだがあまり得意ではない。


そんな私達が仲良くなったのは高校最初の席替えだった。


名字では遠くてあまり話すことがないかな、と思っていたが席替えをしたら偶然隣になって沙耶から話かけてくれた。



性格的に共通点がないかな、と思っていたけど話をしてみると趣味は野菜の栽培だ、という共通のところから始まって好きな歌手から好きな俳優まで同じ…仲良くなるにはそう時間がかからなかった。



そして二年生になりクラスは一緒で席は離れてしまったものの培ってきた私と沙耶の間はそんなもので離れたりはしなかった。


そしていつものように授業を終えて当たり前に放課後一緒に帰り、いつものようにー…と思っていた。


それは突然だった。



沙耶はいつも楽しく話すように話をしてきた。

「そういえばねー…」

「うん」

私はオレンジ色に映る雲を見ながら返事をしていた。





「私、一週間後に死ぬの」



一瞬、時が止まったかと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る