すべての終わり

彼の日記 ~その四~


 バケモノを否定してくれる。

 二度目だ。

 彼はなぜかいつも、ほしい言葉をくれた。

 でも、一番欲しい言葉は、くれない。

 わかっている。これは遊びなのだと。本気にしてはいけないのだと。

 それでも、もう一度だけ。

 たった一度だけでいいから。

『好き』って、言ってほしい。友達への好きではなく、恋人への好きを。

 それすら、叶わない。

 もう、恋人として彼の傍にいれないことが、苦しいと思えてきてしまった。

 友達としてでも傍にいれればいいと思っていたのに。

 ひとは貪欲だから、強欲だから、その先を、そのまた先を、求めてしまう。

 もしあの頃に戻れたら、きっと彼とは仲良くならない。

 なれば辛いのだ。

 あの頃は、こんな気持ちを抱えるなんて、思っていなかった。

 ただ、大好きで、大好きで、大好きで。

 でも、彼は俺が嫌いだった。好きだと言ってくれたのに、嫌いだった。

 それから、感情はどんどんねじ曲がって。

 好きなのに嫌い。好きだから辛い。好きだから怖い。好きだから悲しい。好きだから虚しい。

 好きなはずなのに、それとともによくない感情ばかりがやってきては渦巻いて。

 彼と再会したとき、それは静まった。

 彼と再会したとき、それは強まった。

 好きという気持ちが溢れ、涙も溢れ。

 なにもわからないまま、足掻いて足掻いて。

 このさきにいつか、光り輝く未来があるなら、どうしたらいいのか教えてほしい。

 弘樹とまた笑いあえる未来があるのなら、どうしたらそこに行けるのか、どうか答えてほしい。

 そんな答えが来るわけもない。当たり前だ。

 きっともう、俺たちの未来に、光はないのだろう。


 桜は散る。そして枯れる。もう、元には戻らない。














 涙の跡、ぐしゃぐしゃにされた、最後のそのページ。


 泣いていた。ずっと泣いていた。


 泣かせたのは、俺で。


 そして――――、






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