第2話


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冒険者というのはこの世界にはびこるモンスターを討伐する者たちの総称だけどその内訳は多種多様で多くが前衛と呼ばれる盾職の騎士やアタッカーの剣士や闘士が多く、血統からくる魔法使い系は数が限られ神や精霊からの寵愛を受けるものしかなれないブリーストと呼ばれる回復系はそれこそもっと数が少ない。さらにこれらの職、冒険者になれるのは過去に遡り一滴でもかの英雄の血が混じった子孫末裔でなければなることができない世界。そんな世界にいつの間にか私はいた。


目覚めて、意識した時には隣に姉がいて聖堂にて冒険者の資格を得て、冒険者のチュートリアルと呼ばれるダンジョンの前まで来ていた。


ここにきた理由は両親の不慮の事故。そしてそこから転がり落ちるような身に降りかかる不幸から

姉妹二人で自立して生活するのに一番と決めて持ちうる家財からお金すべてつかっての冒険者への転進。普通の町娘からの急転直下のような記憶が怒涛の記憶の波となって頭の中に入ってくる。


それに立ちくらみを覚えそうになるが、時間がないと姉シンシルアがバイキング皿にカツカレーを盛り付けようとするのをさりげなく断り、自分でさっぱり系のピラフやサラダ。甘いゼリー系を盛り付け取りあえずお腹を満たすミンシアはまず理解する。


現状生きるためにこの食事を平らげ、後に来るダンジョンにてモンスターに勝たなければならない。

なるべく強い奴に。そしてそいつらが落とすアイテム(お宝)を少しでも多く持ち帰り、目下課金して今日の寝床の銭を稼がなければ野宿だという宿命にあることを。



野宿いや、野宿いや。だって寝袋もないままマント一つで誰が通るかもわからないセーフティーポイントで眠るなんて…。本当に装備と冒険者登録もろもろでギリギリだったのか次の食事代もないという貧乏っぷりを体現するように女の子に必須の化粧水の一本もない。

下着も数枚ある程度、着替えの洋服もないって何?売っちゃったの?

全部売らないと足りなかった?涙が出てくる。本当に着の身着のまま、今来ているものと荷袋ひつ分以外何もない。マジですか、タオルも一枚。今日、お金稼がないとお風呂なんてこの先も望めない。川で行水。って真水ですよね水ですよね。今真冬ですよ。それで体洗って洗濯まで…。石鹸もない。

うを。あう。いやならそのまま我慢って臭いじゃないですか。…。


「がんばりましょう、お姉ちゃん。ううん、お姉さま。」

「そうよ、生きるのよ生き残るのよ妹よ」


段々、姉シンシルアとの会話でしゃれにならないと実感がわき武者震いを起こすミンシアに姉も真剣な目で三倍目のカツカレーにマヨネーズをたらしながら頷く。


まずはゴブリン一匹、もしくはスライム、なんでもいい狩って殺してアイテムゲットッ!


この姉妹にモンスターへの優しさはなかった。



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