第3話



「はーい、みなさん。ではこれからダンジョンへの入り口を開きます。」


司会進行役の太鼓腹のおっさんが調子よく進行をとる。

ダンジョンを管理しているギルド職員だろう進行役の声に部屋にいた一同の視線が男へと向けられる。みな食べる手を止めて男が誘導するとおり扉の前で列を作り始める。ミンシアとシンシルアの姉妹も最後のスープを飲み終えて、小さなゲップをしてこれからいつ次の食事かも分からない分も食べ溜めた膨れた小腹を叩いて列に並んだ。


ここからが本番。食事はあくまでもおまけである。

ミンシアは使い慣れた物干しにも最適な杖を握り締めて迫ったその時を待つ。


「緊張しなくても大丈夫☆最初からハードモードなんてないよ?緊張しなくてもモンスターは最初はとっても弱いのから下に行ってもみんなが協力すれば倒せるくらいの初心者用のモンスターまでしかいないから、束にでもならない限り問題ないよ。

安心してみんな詰めてた息を吐こうか。さあ、深呼吸。じゃ、扉を開こう」


進行役は初めてのダンジョンに潜る新人になれているのか、多少お茶らけながらも笑いを含めて新人冒険者の緊張を解く。そして、扉を守っていた衛兵に目配せをする。

頷いたダンジョン入り口の扉を守る衛兵がさっと扉を開くため左右に分かれて扉についた取っ手をつかんで開き始めた。


ゆっくりとダンジョン内部が開けた空間から顔をのぞかせる。

それにそこにいた全てのものが視線を向けていた。


ドドドドドドドドドドドドドドドddッ…。


あれはなんだ??みんなの頭に?が浮かんだ。土煙りをあげてダンジョンの長く続く廊下の置くから小さな何かが扉へと迫ってくる。

その足音となにか叫びのような音が接近とともに耳に聞こえてきた。



「た、たすけてぇええええええええええ」



えええええええええええええええ…


俗に言うトレインである。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る