3ー拾

「随分と、色んな目に会ったと思ってたけど、お前も結構、色々あったんだね」紅音は洞窟の中でもお構いなしに、タバコを吸い続けながら、言った。


「それにしても、お前さんが、赤猫家だったとはな。アラハバキを持ち、おまけにその鬼とやらと会って、呪文ことばというのを授かったと。興味深い話だな。確かに、呪文ことばを使う家がある事は知っていた。呪文ことばとは、ある意味4つの家では最強の能力。あとはお前がどれぐらい使いこなせるかだが」蒼磨が葉巻の煙をいやらしく吐き出しながら言った。


「恐らく、照準器付きの狙撃銃ようなイメージなんです。ポンカロイドに照準を合わせ、そこに直接語りかける感じ」紅音は暫く辺りを見回し、言った。


「飛び回れ」


言った矢先、何か、黒いものがクルクルと飛び回った。コウモリのようだ。


「飛ぶな」


飛んでいる最中に、ハシゴを外されたように、コウモリは落下した。



「まぁ、こんな事ぐらいは、できるだろうなと思ったけど、やっぱりできましたね」


紅音は、落下したコウモリに近づき、手で拾い上げた。


「コウモリって始めて間近で見たよ。結構怖い顔してるんだね。悪かったな。」


コウモリは突然、我に帰ったように、飛び去った。


「なるほど。確かに、随分と危険な力を手に入れたようだな。今のうちは心強いが、末恐ろしいものだ」蒼磨は意味深に笑った。



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エネルギィは保存せず 財浄水音 @narita

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