久し振りに見た朔良の行射も以前と変わらない。

 中学の頃、弓道をしていた湊を追うように、朔良も弓道を始めた。大会で何度か目にしたことがあるが、朔良の行射はいつも綺麗だった。

「朔良ちゃんの行射、どうだった?」

 車中で工藤が問い掛ける。

 今まさに考えていたことだったので肩が少しピクッと反応したが、湊はすぐに表情を作った。

「はい。相変わらず綺麗でした」

「そう。僕は湊くんの行射が見られたのが嬉しかったな」

「いや、あれは……」

 困惑したように眉根を寄せる湊に、工藤は楽し気に笑う。

「何か思い出すな。湊くんが中学で弓道を始めたって、朔良ちゃんに教えた時のこと」

 工藤は運転しながら、ふっと思い出し笑いしてしまった。

「え? 何ですか?」

 興味を惹かれた湊が、微かに身を乗り出して工藤に訊ねる。朔良のことに関しては、何でも知りたいらしい。

 そんな湊を見て、工藤は微かに微笑んだ。

「朔良ちゃんがね、初めて僕にわがまま言ってくれたんだ」



「本日より入部致しました。成政です。よろしくお願い致します」

 工藤の前に現れた湊は、そう言って深々と頭を下げた。

 この頃の工藤は、湊が通っていた隣町の中学校の弓道部にまで足を運んでいた。それは弓道部の師範の仕事というより、朔良の兄である湊の様子窺いが第一の理由だ。

 しかし当の湊は弓道部に入部していなかった。それでも湊の様子を工藤が知ることが出来たのは、学校内での湊の人気が高かったおかげかもしれない。たまに弓道部に顔を出す工藤の耳にも届くほどなのだから相当だろう。

「よろしく。

 にっこりと笑い下の名前で呼んだ工藤に、湊は微かに苦笑した。

「……朔良がお世話になっています」

 そしてもう一度深く頭を下げる。

「お世話になっているのは、むしろこっちかもね。朔良ちゃんはとっても良い子だよ」

「そう、ですか」

「湊くん、弓道に興味があるの?」

「……えっと、すみません」

 意味深に訊ねてくる工藤に、一瞬間が空いてしまったが、湊は正直に答えた。

「工藤さんが弓道部の師範をしていると聞いて、どうしても今の朔良のことが知りたくて……。すみません。こんな不純な動機で選んでしまって」

 心底申し訳なさそうに謝る湊の頭を、工藤はポンポンと軽く叩いた。そして再びにっこり笑うと、「僕も同じ」と自分を指差した。

「……え?」

「湊くんのことが気になったから、ここの弓道部で教えることにしたんだ。湊くんがそうなら僕も不純な動機だね」

「工藤さん……」

 優しく笑う工藤の表情と言葉に、湊もほっと安堵したような小さな笑みを浮かべた。

「大丈夫だよ。朔良ちゃんとも約束したからね。湊くんとの架け橋になってあげるって。だから湊くんも遠慮しないで、僕にも甘えてくれて良いからね?」

「あ、ありがとうございます」

 初めて言われた言葉に湊の胸が熱くなる。同時に目頭も熱くなって、目が潤んでしまった。そして、朔良を引き取ってくれた工藤家の息子が、こんなに優しく情の深い人で良かったと心から思った。

「たまには遊びにおいで。朔良ちゃんも待ってるから」

「……でも」

 戸惑う湊に、工藤の目が一瞬鋭くなる。

が許さない?」

「! いえ、そんなことはありません」

「……」

 慌てて否定する湊からは、成政家をかばっているような感じは受けない。

 朔良に会うことを成政家が禁制しているのかと思ったのだが、どうやらそうではないようだ。

 工藤が鋭くした目をふわりと和らげる。

「ならおいで。湊くんも話に聞くより、実際に会って話したいだろう?」

 湊は苦し気に眉根を寄せた。

 自分が成政家の養子になってから、一カ月後くらいに工藤家が朔良を引き取ったという話を聞いた。工藤家のことを知らない湊は、工藤家が成政家と遠縁関係であることもあり、前よりも朔良のことが気掛かりだった。

 引き取られた先で嫌な目に遭っていないだろうか? ご飯もちゃんと食べさせてもらっているだろうか?

 でも今、自分の目の前にいる工藤は、湊が思っていたよりも頼りがいのある優しい好青年だった。こうして朔良の兄である湊のことも気に掛けてくれている。

 工藤に会ったことで、湊の不安の半分は払拭された。

 しかしそれと同時に、やはり朔良に会いたい気持ちが募る。元気な朔良の姿を一目でも見たい。毎日考えているからか、最近では夢にまで見るほどになっていた。

 だが……朔良は? 朔良も会いたいと思ってくれているだろうか?

 孤児院の朝陽で別れてから四年間も会いに行っていない。そんな自分を冷酷な兄だと恨んではいないだろうか……?

 ゾクリと湊の背筋を戦慄が走る。

 ――怖い! 

 いや。ずっと怖かった。朔良の目に自分がどう映るのかと思ったら、怖くて会いに行けなかったのだ。

 ――朔良に嫌われたら、俺は……俺は……。

「なんて顔してるの? 湊くん」

 いろんなことを考えていたら、湊の頬に涙が零れていた。

「……っう」

 工藤の言葉で気付いた湊が、零れる涙を一生懸命に拭う。

 湊にとって朔良に嫌われることが、何よりも一番怖いのだ。

「僕さっき言ったよね? 朔良ちゃんも待ってるって」

 持っていたタオルで湊の涙を拭いながら、工藤が柔らかい笑みを向ける。

「……」 

 まだ少し涙で視界がぼやけたまま、湊は工藤を見つめた。

「毎日欠かさず朔良ちゃんの口から出てくるのは、湊くんのことなんだよ?」

「……え?」

「待ってる朔良ちゃんの願いを叶えてあげられるのは、湊くんしかいないでしょ?」

 ――朔良。

『……会いに行くから』

 別れ際に言った湊の言葉を信じて、朔良は今も待っていてくれている。

「工藤さん」

「ん?」

「今度……工藤さんの家に行っても良いですか?」

 目を赤くしながら訊ねる湊に、工藤は嬉しそうに笑い「もちろん」と頷いた。

工藤家うちは湊くんと朔良ちゃんの掛け橋なんだから、二人とも好きな時に渡れば良い」

 工藤の言葉は優しい。

 そんな工藤に感謝しつつ、湊も頬笑みを返した……が、すぐに赤面する。

「あ、でも、泣いたことは、その……内緒にして下さい」

 語尾が尻すぼみだ。

 男として、兄として、泣いたということを知られたくない気持ちは、工藤にも十分分かる。

 小さく苦笑した工藤は、「もちろん」と同じ言葉で返した。


 その日、上機嫌で家に帰り着いた工藤は、両親と朔良も揃う夕食時に湊のことを話した。もちろん泣いたことは省いて。

「湊、元気でしたか?」

「うん。元気そうだったよ。朔良ちゃんのこと気に掛けてたから、いろいろと教えてあげたんだけど……良かったかな?」

「はい。ありがとうございます」

 朔良も嬉しそうに頬を緩める。

「そっか。湊、弓道始めたんだ……」

「……?」

 感慨深そうに呟く朔良に、工藤はどこか引っ掛かりを覚えた。

 その引っ掛かりが何なのか? それが分かったのは、湊の弓道部入りの話から一カ月ほど経った頃だった。

 

 コンコン

 部屋のドアをノックする音が聞こえ、工藤が「どうぞ」と声で招き入れる。

 ドアを開けて入ってきたのは朔良だった。

「どうしたの? 朔良ちゃん」

 座っていた椅子を回してにっこりと促す工藤に、対面する形で朔良はその場に正座をした。

 しかし、やや俯き加減のまま、朔良はなかなか用件を言い出さない。

 ――何か言いにくいことなんだろうか?

 工藤がそう小首を傾げていると、「……要人さん」と、やっとのことで朔良が重い口を開いた。

「あの、もし時間があったら……」

「うん?」

「……」

 そこでまた言葉が途切れる。

 困ったように眉根を寄せる朔良に、何かあったんだろうかと段々心配になってきた。

「や……あの、やっぱり……良いです」

 失礼しましたと頭を下げ、部屋を出て行こうとする朔良を、「ちょっと、ちょっと」と慌てて工藤が止めに入った。

「そこまで言われたら気になっちゃうよ。何か話したいことがあるんでしょ?」

 苦笑する工藤に促され、朔良はもう一度同じ場所に座らされた。

「……」

 どう言えば良いのか、考え込んでしまう。

「何か、言いにくいこと?」

「いえ、そんなことは……」

「何でも言ってごらん? ちゃんと聞くから」

 言わなければ良かったと後悔したが、すでに後の祭りだ。朔良から話の内容を聞くまでは、工藤は部屋から出さないだろう。

 朔良は諦めたように一つ大きな深呼吸をした。

「……要人さんの時間が空いてる時で良いんですが、私に……少し弓道のことを教えてもらえないでしょうか?」

「……え? そんなこと?」

 もっと重大な何かだと思っていた工藤は、拍子抜けしたようにきょとんとしてしまった。

「言いたかったのは、ほんとにそれ?」

 そして聞き返す。

「? はい」

 頷く朔良の表情からは、他に何かありそうな感じはない。それどころか、工藤から聞き返されたことを疑問に思っている節もある。

 工藤は工藤で、朔良が言いづらそうにしていたことを不思議に思っていた。

 ――そんなに言いづらい内容でもないと思うけど?

「あの、無理でしたら、私は……」

「いやいや、全然大丈夫。大丈夫なんだけど――」

 そう言ったところでハッとした。

「朔良ちゃん。それ思ってた?」

「いつから?」

「もしかして、湊くんが弓道部入ったって話をした時から?」

「!」

 窺うように問い掛けた工藤の言葉に、朔良が顔を赤らめて俯く。

 ――図星か。

「一カ月くらい前からずっと思ってたの? なのに今日まで言わずにいたの?」

「……」

 何故か責められているような気がした朔良は、工藤の目が見れず、さらに俯いてしまった。

「……そっか」

 長い沈黙の後に聞こえてきた声音は、どこか落胆しているようだった。

 朔良は言いようのない不安に駆られ、怖々と視線を上げる。

「!」

 息を呑んだ朔良の目に映ったのは、怒りでも呆れでもなく、寂しそうに目を伏せ、右手で前髪を掻き上げている工藤だった。

「僕たちは家族だ。変な遠慮はいらないんだよ? 僕たちをもっと頼って欲しい。遠慮しないで欲しいんだ」

「……要人さん」

「弓道のことなんか、いくらでも教えてあげるから、今度からはちゃんとその時に言うんだよ?」

 苦笑して朔良の頭を撫でる工藤の手は温かかった。

「……」

 だが朔良は、その言葉に頷きを返すことすら出来なかった。


 ――朔良ちゃん、返事しなかったなぁ。

 朔良が部屋を去ってから、デスク上のパソコンを起動させた工藤は、その画面を見ながら心の中で思った。

 自分たちだけが家族だと思っていたのでは意味がない。朔良にもちゃんと自分たちが家族だと思われたい。血の繋がりがないため、そう思ってもらえるには多少時間が掛るかもしれないが、工藤は常々そう思っていた。

「……」

 ――僕の言葉を聞いて、朔良ちゃん、どう思ったんだろう?

 工藤は視点を変えて考えてみた。

 ――もし自分が朔良ちゃんの立場だったら?

「いや、朔良ちゃんの立場になんて簡単になれない」

 幼い頃に両親を亡くし、孤児院で育った経験は工藤にはない。兄とも離れ、一人で寂しさと闘っていた経験も、親戚でもない家に引き取られた経験も……。

 全て自分にはないもので、想像でも朔良の立場になろうとするには無理があった。

「……」

 そう思ったところで工藤は愕然とした。

 そして、よくよく思い返してみる。

 両親が亡くなったのは、朔良が七歳の頃。唯一の兄である湊と二人で孤児院で暮らし、そして湊と別れたのが九歳の頃。湊が引き取られた一カ月後に朔良は工藤家に引き取られた……。

 全てを受け入れるには子供過ぎる。でも強制的に受け入れなければならなかった。同時に、自分の意思を自由に言えるような状況でも環境でもなかったはずだ。

 朔良は幼いながらにそれを全身で感じ取っていた。今でさえ一番会いたいはずの湊に、四年も会わずに我慢している。

「……無意識、か」

 きっと無理して遠慮しているわけじゃないのだろう。遠慮することが当たり前になっているのだ。だから小さな願望でも言うのを躊躇ってしまう。

 それを分かってやれずに、何が家族といえよう。

 工藤は情けなくなって自嘲した。

「こんなんで、朔良ちゃんに家族と思ってもらえる資格……僕にはないな」

 取り敢えず謝らなければいけない。

 家族と思ってもらうにはまずそこから始めなくては――そう思い立った工藤は勢い良く椅子から立ち上がった。


 あれから自室に戻った朔良は、先程の工藤とのやり取りを思い出していた。

 ――何か、要人さんを悲しませるようなことをしたんだ。

 だがその何かは分からない。

 頼る、とはどういうことなのか。

 今現在、朔良は工藤家に厄介になっている。それだけでも十分頼ってしまっていると思うのだが……。

 遠慮するな、とはどういうことなのか。

 確かに自分の気持ちを口に出すことはなかったかもしれないが、それでも苦痛を感じたことはない。だから遠慮しているつもりは朔良にはなかった。

 ではとは……?

「……」

 これは朔良にとっては難問だった。朔良は家族の在り方を知らない。

 それは十人十色で人の数だけあるだろうが、朔良には基本的なものすら良く分からなかった。

 だから途方に暮れた。自分には一生解けない問題かもしれない。

 コンコン

 朔良の部屋のドアがノックされる。

「はい?」

 そう言って朔良が開けたドアの前にいたのは、先程朔良と話をしていた工藤だった。

「要人さん……?」

 朔良に名を呼ばれ、工藤が微苦笑に顔を歪める。

「朔良ちゃん。さっきはほんとにごめん。あれは僕の勝手な持論だから、気にしないで」

「え? あ、あの……」

 急に謝られ、朔良は戸惑った。謝られるようなことを、工藤からされた覚えはない。

「もしかして、今もそのことで悩んでた?」

 朔良の体がピクリと小さく跳ねた。

 その反応を見て目を丸くした工藤は「そっか」と呟くと、ははっと短く笑った。

「?」

 突然笑った工藤を、朔良が不可解そうに見つめる。

 ――やっと分かった! 朔良ちゃんのこと……。

 工藤は嬉しくなった。

「ねぇ、朔良ちゃん。弓道に興味を持ってくれたのなら、実際にやってみない?」

 にっこり笑って弓道を勧めてみる。

「え?」

「楽しいんだよ、すっごく。それに、自分自身を心身ともに高めてくれるんだ」

「心身ともに?」

「どう?」

 訊ねられ、朔良は黙考した。今までも興味がなかったわけではない。

 それは工藤の行射を見たことがあったからだ。その優美さに目を奪われた記憶は、今でも鮮明に朔良の脳裏に残っている。

 だが……と、朔良の表情が暗くなった。

 今回のことは、それとは少し違う。

「でも要人さん。私、弓道に興味を持ったのは……」

 湊が始めたから。

 そんな理由では、教えてくれる工藤に申し訳ない。

「湊くん、でしょ?」

 少しの間を開け、朔良が申し訳なさそうにコクリと一つ頷く。

「大丈夫。僕と湊くんも同じだよ? 不純な動機」

 工藤はそう言って優しく笑った。

「?」

「僕が湊くんの中学校の弓道部師範を引き受けたのは、朔良ちゃんの兄である湊くんが通う中学校だったから。湊くんが弓道を始めたのは、朔良ちゃんに繋がる工藤ぼくがいたから……」

 朔良の目が驚いたように見開かれる。

「ね? 不純な動機でしょ?」

 まさか、そんな理由だったとは……。

「きっかけはどんなものでも良いと思うんだ。弓道部に好きな人がいるからとか、弓道をしてるとカッコ良くみられるからとか。何でもね」

「……」

「最初がどんなに不純な動機であっても、始めてしまえば弓道本来の魅力が分かってくる。まぁ、人には好き嫌いと向き不向きがあるから絶対とは言えないけど。朔良ちゃんなら分かると思う」

「分かる、でしょうか?」

「うん。それに朔良ちゃんも弓道を始めてくれたら、僕も嬉しいしね」

 そう言って微笑む工藤の言葉は、朔良の心に少しのゆとりをくれた。

 工藤の行射を見た時から魅力は感じていた。そして湊が始めたと知ってから、その思いはさらに深まっている。

 ――弓道を……やってみたい。

 朔良は意を決したように工藤を見上げた。

「要人さん。あの」

「うん?」

「私も……弓道、やらせてもらっても良いですか?」

 小さな声で、控え目なわがまま。でも朔良にとってそれは大きな一歩なのだ。

 真摯にまっすぐ見つめてくる朔良に、嬉しそうに満面の笑みを向けた工藤は、「もちろん」と大きく頷いた。



「朔良ちゃんが遠慮しているなら、押し付けにならない程度で僕たちが促してやれば良い。……誘導しているようで、多少汚いやり方かもしれないけど」

 車中で当時を懐かしみながら、工藤が少し苦笑する。

「朔良ちゃんに、自分の言いたいことを言ってもらえるようにするには、何を言っても僕たちが受け入れることを証明しなければならないと思った。朔良ちゃんにとって居心地の良い場所を工藤家ぼくたちが作れたら、その時初めて家族になれるんじゃないかなって思ったんだ」

「……」

 運転している工藤の横顔を見つめる。

 湊は改めて工藤家が素敵な家族だと実感した。朔良がここまで大切に育ててもらったことが良く分かる。

 ――感謝し足りないくらいだ。

 そんな昔話をしているうちに央架高校に到着し、湊は助手席から車を下りた。

「送って頂いて、ありがとうございました」

 湊が深々と頭を下げる。

「いいえ。どういたしまして」

 にっこりと笑う工藤が返事をしたのを見計らって、湊は助手席のドアを閉めた。だが、そのまま発進するかと思っていた工藤の車は、その場に留まり動こうとしない。

 どうしたのだろう? と小さく小首を傾げていると、ウィーンという機械的な音をたて、助手席側の窓が開いた。

「当然、湊くんも入ってるからね?」

「? はい?」

 突然言われた湊は、車に近寄り、身を屈めて何のことかと訊ね返す。

「湊くんも。朔良ちゃんと同じ、湊くんも僕の弟だよ」

「……」

 工藤の言葉に目を大きく見開いた湊は、思わず息を呑んだ。

「だから二人とも大切。それだけは覚えておいてね?」

 優し気に微笑んだ工藤は「じゃあ、またね」と言って助手席側の窓を閉め、そのまま走り去って行った。

「……朔良も俺も、ほんっと幸せ者だ」

 湊は泣きそうな声で呟くと、走り去って行った工藤に深く頭を下げた。

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