1-3 Oh Yeah! 天才狩人の悪戯心!

 原則として……あくまで基本的に、という但し書きをつけての話だが、実際に狩りに赴く際、綿密な計画を立てることはまずないし、なるたけしないようにしている。逆に、大多数の凡庸なハンターどもは、どうせ前準備に怠りなく、時間があれば予行演習に勤しんでやがるんだろうなあ。天才が故の俺様のやり方が例外中の例外、異端中の異端なのはしょうがない。

 むろん、そのためには俺様くらい有能で優秀な必要があるがな。経験不足の土地においても、鋭敏な観察力と野生の嗅覚で大抵のことはこなせるような。

 当初の計画通りに事が運ばなかった場合、あまりにも緻密に計画を固めちまうと、そいつが足かせとなって動きが鈍り、獲物を逃しちまう可能性が高くなる。一分の隙なくガッチガチに固めた計画ってのは、俺にはむしろ逆効果なんだよな。

 淀みなく流れる河川みたく、流動的に考え行動する。

 これこそが、慎重かつ大胆にという鉄則に結びつく、狩りの様式の最高峰だ。そんなわけだから、自然と俺様の行動は俗に言う成り行き任せ、行き当たりばったりになる。が、そこはまあ大まかな指針を立てといて、要所さえ押さえときゃ問題ない。

 例えば、狩りの障害となりえるものを常に意識しておくこと。この世界だと、警察機構がそれに当たる。いくらなんでも、治安維持組織を完全無視してまで狩猟に精を出すなんてのは楽天的すぎる。というかただのアホ。

 今日初めて警察官という種族を眼にしたが、服装が一般人と異なるから多少眼が悪くても簡単に見分けがついた。あれじゃ後ろ暗いところのある人は早く逃げてくださいと、自ら宣伝して回っているようなもんじゃないか。威嚇いかくか? にしては派手さを欠いた恰好だがな。

 昨日の首尾は上々だった。警官に目撃されなかったというのもあるが、服装が判ってりゃ万一見つかったって見事逃げおおせてみせるさ。

 今から俺の取るべき行動は三つ。

 飯。

 邪魔者の排除。

 でもって締めが狩り。

 まずは飯だ。昨日の夜と違い、ちゃんと金銭は用意しておいた。紙の札が一枚だけだが、一食分としちゃ十分だろう。

 さて食べ物屋はどこだ? クンクンと鼻を鳴らしてみる。美味そうな匂いは欠片も感じない。

 訳あって今日は昨日と正反対の道を進んでいる。

 おかげで昨日みたく料理屋を速攻で見つけることができないでいた。道行く人の多さに、不覚にもちょいとばかし戸惑っちまったせいもある。

 さすが太陽の昇っている時間帯だけのことはあった。活気があるのは結構だが、どうにも居心地が悪い。やっぱり夜の、凡てが黒く凍りついたような冷たい夜の空気のほうが性に合っている。

 と、異様な風体をした数人の集団が、路上に眠る〈異形〉の一隅にたむろしているのが見えた。あの連中もそうらしいが、この世界の住人の中には〈異形〉の胴体を出たり入ったりできる特別な種族がいるようだ。〈異形〉の腹の中でも生活できる、選ばれし一族だろうか。外見は徒歩の連中と変わりなさそうだが。

 ……いや、よく見ると装備が明らかに違う。

 恰幅かっぷくのいい一人の男が、前後に長い四角い箱を重そうに担いでやがる。その後ろで、尖端の丸い棍棒のような機械を手にした若い男。二人の手前に仁王立ちして化粧に余念がないのは、とうが立ち始めた長髪の女だった。

 全員が左の腕に同じ腕章を着けている。何やら物々しい雰囲気。どこぞの狩猟集団か?

 なんということもなしに一行の様子を眺めていると、小太りの男がこっちをチラチラ見ながら女のほうに耳打ちし始めた。数瞬置いたのち、そいつらは全員同じような笑顔を浮かべて颯爽さっそうと近づいてきた。

 なんだなんだ? この俺様になんの用だ。


「あのー、ちょっとすいません。少々お時間のほうよろしいでしょうか?」期待のこもった眼差しを向けながら、やけに香水臭い女が口を開いた。「わたくしたち極東テレビの者ですが、夕方放送の〈イヴニング・スター・ニュース〉の街頭インタビューをちょうど収録中でして。番組をご覧になったことはありますよね?」

「ねーよ。第一なんなんだその番組ってのは」


 女はびっくり仰天といった様子で眼を見開いた。睫毛まつげを強調するあまり眼の周辺が真っ黒になってやがる。ひでえ化粧だなおい。


「あら、そうなんですか? 残念ですねぇ。それはそうと、もしお時間ありましたら、ちょっと質問に答えていただきたいんですけれども」気を取り直してそう言ってきた。


「答えたら何かくれんの?」


 背後を振り返って仲間たちと眼を見合わせた女だったが、即座に表情を取り繕うと、


「今、番組特製のサインペンしか持ち合わせがないんですけれど」

「じゃ、それくれよ」ただで貰えるなら、なんでもいいさ。「で、何に答えたらいいんだ?」

「よろしいですか? ありがとうございます。昨今の若者の、言葉遣いの乱れというテーマで質問させて下さい」

「なんだそりゃ。興味ゼロだな正直な話」


 脇に立つ二人の野郎どもは、既に機材の点検に取りかかっている。


「心配要りません。ありのままに答えていただければ結構ですんで……じゃあ撮影始めますが、よろしいでしょうか?」

「あ、あとさ、あんた〈ギルド〉の場所知らない?」

「え、ギルド? 何かの施設ですか?」

「〈獲物〉を引き取ってくれる所に決まってんだろ! いくら〈獲物〉集めたところで、〈ギルド〉に持って行かなきゃ換金できねえだろうがよ」

「はあ……ちょっと判りませんねえ」


 こいつも知らねえのか。ったく、どいつに訊いてもこんな返事ばっかりだ。この世界には無知な連中しかいないんだな。


「じゃあさ、〈ギルド〉はいいから、これ終わったら、ここから一番近い喰い物屋の場所教えてくれよ」

「はいはい、それならお安いご用で。誰かほかのクルーに訊いておきます」


 以上の約束を取りつけた後で、報道番組の撮影とやらが始まった。

 当たり障りのない味気ない問答で、どうでもいいや、とか、関係ねーし、とか、ちょい待ち! ご飯じゃなくてメシっていうだろ普通、とかそういった内容のことを、ろくに考えもしないでポンポン答えていった。あと、女のほうから漂ってくる香水の強烈な芳香で、鼻が潰れそうになった。あのなあ、勘弁してくれよ、鼻は大事な商売道具なんだぞ。

 そんなこんなで撮影終了。約束通り飯にありつける店を教えてもらい、鼻をつまんだまま空いた手でペンとやらを受け取った。


「あんたの持ってるそれ、かっこいいね」


 俺はカメラマンと呼ばれる男に近づき、肩を叩いた。


「これ? ただのテレビカメラだけど」

「武器じゃないの?」

「武器? 何言ってんの。これがないとさっきのインタビュー内容、局に送れないでしょ」

「局に送る?」


 よくよく訊いてみると、前方の玻璃に映った映像を遠い場所へ送信してくれる機械らしい。なんらかの魔力を有した呪物の一種だろうな。ただ、少なくとも戦闘用の道具じゃなさそうだ。俺には不要だ。

 そそくさと場を立ち去り、最も近いという定食屋へ向かった。

 もう少し歩けばなる店舗もあると勧められたが、〈小じゃれた〉とは正確には〈ふざけた〉という意味だったはず。つまり、食材が全部カエルだとか、注文した食事が別物だったりするのは日常茶飯事だとか、厨房を任されてるのが全員子供とか、店員がもれなく容器に指突っ込んで料理持ってくるとか、そういうことだろう。

 とにかく〈小じゃれ〉まくっていることは想像にかたくない。そんな店に誰がわざわざ好き好んで足を運ぶかってんだ。物好きにも程があるわ。

 食べ物屋がおふざけに興じるのは、はっきり言って感心しない。異世界の狂った食事情を嘆かずにはいられなかった。せめて喰い物だけでも、普通の定食屋で普通に喰わせてくれ。

 あった。あの建物がそうだな。

 一面玻璃の外壁を埋め尽くす勢いで、新たな献立の写真が煽情的なうたい文句を従え貼りつけてある。

〈復活!〉

〈衝撃!〉

〈怒濤の……〉

 怒濤って、とんでもない量の汁物ってことか?

 扉に把手はなく、代わりに〈PUSH〉と記された掌大の板がついている。なるほど〈押せ〉とな。指示通り指で押したら、うおっ! なんとひとりでに横へ滑っていきやがった。

 こ、これが自動扉ってやつか。


「いらっしゃいませー!」


 威勢のいい声が相次いで聴こえた。即席の定食屋という風情だ。座席の埋まり具合は八割ほど。

 一番手前にいる肌の浅黒い店員に手を挙げて、


「飯くれ。美味けりゃなんでもいい」

「あ、えーと申し訳ありません、注文はあちらの券売機でお願いします」


 券売機だと?

 見ると、さして広くもない店内の片隅に、背の高い箱型の機械が鎮座ましましている。整然と並んだ写真つきの鏡板、その真下に穿たれた銀色の四角い口、右側に据えつけられた意図の不明な計器類……。

 店員を呼んで使い方を訊こうかとも思ったが、そこは天下一の賞金稼ぎ、見ているうちになんとなくやり方が判明してきた。

 右上の細い切れ込みのすぐ上に、〈紙幣投入口〉の文字。紙幣なら持っている。平らにして差し入れると、途中から札は自動的にするする飲み込まれていった。同時に、隣の黒い表示板が算用数字の〈1000〉を示した。

 これで買えるはずだ。案の定、ほぼ凡ての鏡板が赤く点灯した。購入可能の合図に違いない。

 小さい写真でよく見えなかったものの、玉子の乗っている美味そうな丼があったのでそれを押した。下の四角い口に小さな紙切れが落ちてきた。これが食券だな。手を伸ばして摘み上げる。〈おんたまカルビ丼・500円〉等々の文字が見えた。

 パネルの明かりは点いたままだ。横の表示が〈500〉に変わっている。券を入手した以上、この券売機とやらは用済みだ。

 店員は皆厨房へ引っ込んじまっていた。

 空いている席に着き、食券をかざしながら、


「おーい、ちょっと来てよ、注文取ってくれ」


 無言で飯を掻き込んでいた両隣の客が、鏡合わせさながらの動きで俺のほうを見やった。何か俺の顔についてんのか? まだ米粒一つ口にしてねえってのによ。


「少々お待ち下さいー」


 待てと言われたら待つしかない。それ以上の催促はやめにした。隣の二人もいつしか手許の食事に顔を戻した。

 店内を流れる音楽に耳を傾ける。なんとも不思議な楽曲だった。聴こえてくる構成音のどれ一つとして、該当するような既存の楽器が思い当たらない。こんなにきらびやかな音色を奏でる、琴やら通奏低音やら打楽器の類いが現実に存在するとは。一体どんな素材でできてんだ? よほどの匠の仕業に相違ないな。

 程なく件の店員が来て券を半分に千切り、おんカル丼一丁! と叫んだ。

 うるせえな。客の目前で大声を発するのが、この店の方針なのか?

 だが、待たされただけあって味は格別だった。味噌汁がついてきた時点でかなりの驚きはあったが、肉厚でしかも肉汁豊かな数片のバラ肉に絡まる、とろとろの黄身と醤油ダレのえもいわれぬ諧調かいちょうときたら……結局一滴の水も口にすることなく、丼メシをものの数分で平らげちまった。

 あとは半透明の円杯に注がれた水さえ美味かったら、文句なしだったんだがなあ。この世界の飲料水は、総じてこんなおぞましい味なのか? 飯が美味かっただけに、その一点はなおのこと口惜しかった。ガムでも噛んで口直しをしたかったが、あいにく昨日全部食べ尽くしちまった。

 俺はさっきの店員を呼び出し、ガムをくれと言った。店員は困った様子で、それはできないという。じゃあ〈ギルド〉の場所を教えろと言うと、それも知らないとか。

 しょうがねえ。腹も膨れたんだ、〈ギルド〉はこの二本の脚で探すとするか。

 俺は歩を速めた。怠惰に彷徨う人間どもの間隙を縫って進むその様は、上空から見下ろす鷹の視点だと、木々をかわしてしなやかに森を疾走する四足獣の如きものだったろう。

 〈〉の居場所は臭いで判るんだ。

 正式には臭いじゃなくて〈勘〉だが。ま、どっちでも同じだ。俺の勘に狂いはない。悪臭でもげるかと思った鼻も、極上の丼メシですっかり回復している。

 〈あいつ〉は、俺の魂の兄弟でもあり、天敵でもある、とある人間のことだ。そう、昨日思い出したんだ。そのことをな。

 おうとも。〈あいつ〉は懲らしめる必要があるんだ。

 場合によっちゃ命のやり取りになるかもしれん。だが構うもんか。〈あいつ〉は狩りの邪魔になる。警察なんかの比じゃない。長ずれば必ずや俺の障害になるだろう。

 野放しにしておいたら、今度は俺が危うい。いやいや早めに思い出して正解だったぜ。先立つものは飯と勘、それと超一流の狩人にのみ与えられし、天性の閃きってやつか。

 初めての場所で道順はさっぱりだが、迷いのない歩調を保ち、繁華街になり損ねた寂しい通りに突入する。

 道標も地図も必要ない。この活力に満ちた足取りが、結局は正しい経路を辿っていることの何よりの証拠。更に細かい私道を分け入り、あっという間に戸建ての民家が軒を連ねる静かな住宅街へやって来た。

 陽は既に見えない。逆側の住居が受ける残照が、夕陽のおもかげを僅かに残している程度だった。

 もうじき夜が来る。俺の時間帯だ。

 庭先にいた一匹の仔犬が、お座りをしてこっちを見ていた。忙しげに振られた丸い尻尾が、まるで地を掃くほうきか何かのようだ。

 襲いかかってきたらぶちのめしてやる。この程度なら一撃で狩れそうだ。ただ、大して珍しい生き物じゃないから、〈ギルド〉に引き渡しても金にはならんだろうがな。


「わん?」


 話しかけてみた。返事はない。


「わんわん?」


 沈黙は変わらず、退屈そうに歯を剥いてきた。欠伸か。敵にするには弱すぎるな。


「お前そんなんじゃ番犬失格だぞ。じゃあな」


 隣の家へ向かう。ここだ、間違いない。俺の城に比べると、まるで箱庭同然のこぢんまりした住居だ。

 塀を通過して玄関口へ。

 把手を掴んで何回も引いたが、ガタガタ揺れるだけでちっとも開かない。この中に〈あいつ〉はいる。なんとかして侵入する術はないものか。素早く辺りに視線を走らせる。

 場合によっちゃあ、この扉を壊してでも中へ……。

 そのとき、後方で物音がした。

 最小限の動作で振り向く。

 誰もいなかった。じゃあなんの音だ?

 塀の内側に設置された、郵便物を受ける鉄製の箱が眼に留まった。もしかして、あそこの物音か?

 郵便受けの箱から出てきた物を見て、俺は笑いが止まらなかった。どうやら奴さんのほうでも、こっちに気づいたみたいだな。尋常じゃない怖がりようが、ふははは、手に取るようじゃないか。俺は相手の力を過大評価していたのか。

 弱々しい〈あいつ〉は、助けを求めてこの家に立ち寄ったわけだ。

 天敵には程遠い無様な行動。いい気味だ。足掻け足掻け。

 ただ一点、非常に残念なことがある。ここにがあるってことは、つまりもう〈あいつ〉はここにいない。

 一足遅かったか。地面に唾を吐き、苛立ちを紛らわせた。

 おお、そうだ! いいことを思いついた。

 俺にはさっき女から貰った筆記用具がある。どうせなら、この紙にもっといろいろ書き足して、ここの人間を脅かしてやれ。

 建物の脇を抜けてそのまま反対側に出る。

 ちょうど腰を落ち着けるのに適した、床の張り出した箇所があった。そこに座ってペンを執り、紙面の余白に遊び心たっぷりな俺の文を書き加えてやった。もちろん署名も忘れずにな。

 よし完成だ。郵便受けに戻すとするか。

 立ち上がった俺はなんの気なしに、間近の玻璃戸に手をかけた。

 ……開いた。

 思わぬ出来事に平衡感覚を崩し、よろけそうになる。

 扉は抵抗なく右に開いていく。おい、鍵かけてないのかよ。まさか部屋の中に人が?

 直後、隣家を隔てる塀の向こうから、凄まじい咆哮ほうこうが襲いかかってきた。

 一瞬立ち竦む。犬の鳴き声だ。

 染みのついた塀に視界は完全に遮られていたが、その向こうで、さっきの仔犬が何やら猛烈な勢いで吠えかかっていた。

 何が犬の闘争本能に火をつけた? 不審者でも見つけたのか? ってそれ俺か? 今更?

 己のこだまを掻き消すかのように、依然として犬コロは喚き続けている。一向に鳴き止む気配はない。

 長居は無用だ。開いた戸の間に奴の置き土産を投げ入れ、背をかがめて走り出す。

 幸いにも塀の出口付近には誰もいなかった。他に出入り口はなかったから、あそこを押さえられたら後は塀を乗り越えるしかない。いざとなったら別にそうしても構わないんだが。

 ……鳴きやんだ。

 前触れもなく鳴き声は収まった。

 四方に眼を配りつつ、跫音を立てないように出口へと走る。

 塀の切れ間から顔だけ覗かせ、左右を見渡した。夕暮れに色彩を失いつつある狭い通りに、人影は全くなかった。さっきまでの騒ぎが嘘のような静寂。ここにこれ以上いても収獲はなさそうだ。

 俺はゆっくり足を踏み出した。

 通りがけに隣の犬コロの家を見ると、家から出てきたらしい幼い子供が犬の頭を優しく何度も撫でていやがった。犬の視線につられて俺様に気づいた子供が、こんばんはー、と手を振って挨拶してくる。番犬にしちゃあちと反応が鈍いが、まあガキのほうのしつけは合格だな。そんなことを思いながら片手を挙げて挨拶に代えた。

 しょうがねえ。〈あいつ〉を仕留めるのは後日に回すとするか。

 さあて、と。

 腹ごなしも終わったし、次はいよいよだ。暗くなるのを待つばかりだったが、周囲は急速に夜の気配を増してきて、宵闇の訪れはもはや時間の問題と思われた。

 そう、俺の狩りにはもう一つ、己に課した決まりごとがある。

 それは、一日に二つ以上の狩りはしないってことだ。度重なる狩りは疲労を蓄積する。集中力も低下する。要は多くを望むなってことだ。一回の狩猟に全力を注いだほうが、全体的な成果は高くなる。

 まだ手に持っていたペンに気づき、肩越しに投げ捨てた。

 仕事の前はなるたけ身軽なほうがいい。ポイ捨ては感心しないが、誰かが拾ってくれたら問題ないわけで、そのうち誰か拾うだろ。

 Yeah、またしても長い夜の始まりだ。その割に、狩りのほうは数時間とかからず終わっちまうんだがな。俺様の手際が良すぎて。

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