第9話 「温泉街」

こんな夢を見た。


田舎町…多分、方向が逆なので西の方、九州かもしれない。

僕と母と妹は温泉に旅行に来ており、僕だけ周辺を歩いている。

田舎の集落には雪が積もっている。懐かしい感じがする。


三叉路のY字のV側角に古い日本風の家が建っていて、なかなか絵になる小さな建物である。中にはおばあさんがおり、たくさんの鳥かごに小鳥を飼っている。もしかする「小鳥屋」なのかもしれない。僕は帰りにこの家の写真を撮ろうと決めて街まで歩いて行く。ただし、それから街までの道の記憶がない。ただ、遠くにある土手のようなこんもりと高くなった道をウロウロと歩いている母と妹が見えた。


街中にたどり着いたが街は素っ気なくて面白くない。そlこに母と妹から電話がかかってくる。「時間だから早く帰って来い」と言うのだ。仕方がない。元来た道を戻ろうとするが覚えていない。駅かショッピングセンターのビルの2階から出て、途中までをなんとか思い出して歩くと、サラリーマン風の男性2人も一緒の方向に歩いていく。目の前にかまぼこ型をした高速道路のような道があり、遥か下には見覚えのあるような内容な集落が見える。「あの集落にさっきの鳥小屋がある」と確信し、1度は車に気をつけながら高速道路を歩いて渡ったが、引き返して延々と続く集落への道を歩くのだった。


夢で見る風景は常に同じような街や集落や温泉地だが、それはいつか現実に見たような気がする。これまでに過ごした街並みの記憶が残っているが、それらの中から自分好みの素材を抽出して理想の町並みを作り出しているのだろうと思われる。それらは写真に撮り残しておきたいほどの名景である。

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