第2話

外から見ても大きな屋敷だったが内部から見てみるとその大きさをより実感することが出来る。とにかく広い。

「とりあえず、自己紹介をしようか。さっきも言ったけど私は君の主人の四方院凜華だ。」

「は、はい!よろしくおねがいします!」

「そんなに堅苦しくなくてもいいよ。私もお嬢様扱いは嫌いだし、君とは同い年だしね。」

「そ、そうなんですか?」

「そうだよ。記憶を失う前の君は私にタメ口だったしね。さすがに公式の場ではそうはいかないけどね。」

「そうで…いや、そうだったのか。よろしく。」

「そうそう、その調子だよ。以前の君のようだ。」

お嬢様だと聞いていたのでもっとわがままかと思っていたが、思っていたより気さくな人のようだ。

「次は私ですね。竜胆京魔りんどうきょうまと申します。ここでは執事長をさせていただいています。一応、あなたの上司ですが気を使わなくて結構ですよ。男同士、仲良くしましょう。」

凜華の次に自己紹介してくれたのは初老の男性だった。

「ちなみに彼の発言の8割は下ネタだ。注意したまえ。」

「ほっほっほ、私なりのジョークですよ。それに5割程度ですよ。」

5割って…半分ってことだろ…。さっきの発言も意味深に取れるじゃないか…。

「その老人の言うことは大体スルーしてかまいません。私はセレスティア・グレイス。メイド兼ボディーガードです。気軽にセレア様と呼んでください。」

気軽に呼べという割に様付けを要求するとはどういうことなのか。

「あと何人か屋敷にはいるがそれは屋敷を案内しているときでいいだろう。京魔さん、零を案内してくれないだろうか?」

「わかりました、では行きましょうか零君。」

「はい。あの…変なことはされませんよね?」

下ネタのこともあり、少し警戒する。

「ほっほっほ。私には男色の趣味はございませんよ。むしろ色んな所が大きな女性が好みですよ。」

京魔さんの発言に対し、セレアさんはどこからか取り出した大きなハリセンで思いっきり叩いた。

スパンッ!という大きな音がしたが京魔さんは全然びくともせず笑っている。

凜華の様子から察するにいつものことなのだろう。

変な人たちだと思ったがそれ以上に楽しそうだと思った自分が僕の中にいた。

そんな自分を不思議に思いながら僕は京魔さんについていった。

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