第258話 迷信6 (10~11 芽室の沢井宅へ)

「西田さんと吉村さんは、高校出か?」

奥田に尋ねられた西田は、

「2人とも、名ばかりとは言え一応大学出です」

と返すと、奥田は

「はあ? 大卒ってか? 俺なんて高等小学校(尋常小学校ではない)卒なんだぞ!? 大卒の人間がわからんことを俺に聞くなんて、そりゃお話にならんべや!」

そう言って自嘲すると共に呆れ返っていた。

「奥田さん、そりゃ俺達には多少の学歴はあるかもしれないけど、こういう人生の深みの必要な事には、学歴は無関係だと思うんです。まして戦前と俺達の時代じゃ、制度の前提も違いますからね。だからこそ、人生経験豊富な奥田さんに聞いてみたいんです」

西田は更に念押しした。

「何だかなあ……」

奥田はそう言って心底まいったという顔をし、困惑した状況は変わらなかった。但し、それでも真剣に考えようとしている節は見えた。


「難しいことはわからねえし、気の利いたことも言えないけどよ……。どっちも経験、特に自分の経験って奴を馬鹿にし過ぎでねえかな? おそらく、西田さんもそう思ってるんだべ?」

猪口に入った酒をぐいっと飲み干してから、奥田は意を決した様に切り出した。

「やっぱりそう思いますか?」

西田は、奥田が自身と同様の感覚を持っていたことに、ある意味安堵していた。

「ああ。確かに歴史ってのは、偉い学者さんや評論家みたいなのが色々調べてるんだから、確かなことかもしれねえし、名もないそこらに数多あまた居る様な人間の経験やら体験みたいな、小せえもんとは次元が違うかもしれん。でもよ、その歴史だって、その多くの人間の経験の積み重ねの結果でしかねえだろうし、歴史自体が後から調べると間違ってることもあるべや? その点自分の経験は、白昼夢でも見てなければ、実際に体験したことそのものだという、間違いねえ事実だべ? 当然、それは……なんちゅうんだ? そうそう! 客観性とか言うものとは縁遠いかもしれねえが、それなりに意味はあるべや? 経験の重みは歴史より劣るかもしれねえが、決して無意味なもんじゃねえと思うんだ。どうだべこれで?」

奥田は自分の回答にやや自信がないのか、西田の様子を窺っていた。

「『愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ』って格言は、やけに経験を馬鹿にし過ぎだと思えるし、『愚者は自分の経験に学ぶが、賢者は他人の経験に学ぶ』って言葉も、自分の経験を卑下し過ぎだと思えて、そう言ってもらえると、自分の考えが間違ってなかったかなと安心出来ますよ」

西田はそう言うと、満足して数の子に手を付けた。


「それに歴史ってのは、どうしても他人事になっちまうところがあるべや? 頭の良い奴にとっては、そこからきっちり教訓を得られるのかもしれねえが、世の中頭の良い奴の方が圧倒的に少ないのが現実だべ? でもよ、経験ってもんは……、特に自らの経験から得たもんは、血や肉となって残ることが多いのは間違いねえと思うんだわ。そういう意味で、客観性では劣るのかもしれねえが、効き目って意味じゃ、歴史より遥かに大きなもんがあるはずだと思うわ」

奥田は、無意識だろうが、身振り手振りを交えて熱弁していた。


「そうなると、他人の経験ってのは、どういう位置付けになるんですかね? 客観という意味合いはわかりますが」

しばらく黙って聞いていた吉村が口を挟んだ。

「他人の経験であっても、親族や身近な人間の言葉で伝えられるなら、それはそれで意味は出て来るんでねえか? そう考えるからこそ、俺は語り部なんてもんをやってるんだし。でもよ、やっぱり身になる度合いって意味じゃ、自分の経験よりは弱いのは間違いねえ……。それが、自分の経験と比べて、客観性みたいな利点の代わりに出て来るデカイ欠点だろうなあ……。その経験が何人も通して伝わるうちに、どんどん効き目が弱まる。だからこそ、その他人の経験の延長にある歴史って奴は、しばらく経つと同じことを繰り返すんでねえか? つまり経験の伝わり方に限度があるからこそ、同じことが繰り返される。歴史から学べる奴なんてのはほとんど居ねえんだから、他人の経験の効き目が代を経てドンドン薄れりゃ、同じことがまた起きる」

奥田はやり切れないという感を出したまま、自ら酒を注いだ。


「しかし、近代以降はかなり映像が残ってますから、その点じゃ、歴史という意味でも経験の伝承と言う意味でも、ただの文字や口伝えよりはかなり効果的じゃないですか?」

西田は奥田の意見にやや異論を述べた。

「そりゃ効き目はあるかもしれねえ。客観性もあるんだし」

奥田は西田の目を見て言ったが、一度視線を外した上で、言うべき言葉をちょっとの間整理してから口を開いた。

「でもな、どうしても実際に経験した奴にしかわからない、そして語れない部分があるんだわ。匂いも再現は無理だな、テレビや映画じゃ……。そして何より、その時代ときの空気ってもんは、実際に体験した奴じゃないとわからないもんなんだわ」

「空気ですか?」

「そうだ西田さん。風潮と言い換えてもいいかもしれねえな。この目に見えない空気って奴が案外厄介で、そして世の中に強く影響するんだわ……。人間一人一人はそう強いもんじゃないからよ。これは映像じゃ再現出来ねえし、文字でもなかなか伝わらねえもんだ」

「……なるほど。確かにその時代時代の風潮は、実際に体験、経験した人間じゃないとわからない部分があるんでしょうね。自分程度の人生を振り返っても、そういう感覚はあると思います」

奥田の回答は、西田の考えを翻意させるのに十分だった。


「逆に言えば、自分で経験したもん、特に20年30年程度前にしたデカイ失敗すら活かせないで繰り返す様な奴は、まさに本当の愚か者と言えるんでねえかな。どうだべ?」

奥田の発言を受けた西田は、

「そうなると、歴史と経験を踏まえた本当に正しい格言は、『愚者は自らの経験からすら学べず、凡人は自分や他者の経験からは学ぶことが出来、賢者はあらゆる経験からも歴史からも学ぶ』というのが落とし所ってことですか? ちょっと長くなっちゃいましたが」

と苦笑しながら奥田に問うた。

「うんうん。長くなったのはともかく、そんなところでねえか? そういう訳で、ひとまずめんどくせえことが片付いたから、もう一杯行くべや。さあさあ!」

西田の言葉に非常に満足そうに笑みを浮かべた奥田は、西田と吉村に酒を勧めた。


 2人はありがたく頂戴したが、一口飲んだ吉村が、

「でもちょっと気になるなあ」

と呟いた。

「何だ、何が気になるんだ?」

「いやね、課長補佐。凡人ってのは、『普通の人』って意味ですが、同時に『つまらない人物』という、マイナスイメージもつきまとってるじゃないですか?」

「うん、まあそういう面もあるな……」

西田も渋々だが頷いた。

「だったら、凡人の前に『良き』と付けときゃいいんじゃないかと」

「既に十分長いのに、また長くするのか……」

西田は首を振りながら、その提案アイデアを蹴りかけたが、

「西田さん、二文字付け加えたぐらい、今更何でもねえべや! 若いもんの言うこともたまには聞いてやるもんだ」

と軽く窘められた。さすがに年長の奥田の意見は重い。

「まあ奥田さんがそこまで言うなら……」

そう前置いてから、

「じゃあ、『愚者は自らの経験からすら学べず、良き凡人は自分や他者の経験からは学ぶことが出来、賢者はあらゆる経験からも歴史からも学ぶ』ということで」

と西田は言い直した。

「よしっ! これで万事すっきりしたところでもう1杯!」

奥田は満面の笑みを浮かべ、再び2人のまだ酒が残る猪口に波波と追加した。そして3人は改めて猪口を顔の前に掲げ乾杯したのだった。


※※※※※※※


 3人は最終的に、午後2時過ぎまで飲んで食べて歓談していたが、西田達は沢井の元へと行かなくてはならないので、午後3時前には奥田宅を後にした。既に奥田が酒を飲んでいるので、予定通りタクシーを呼んで訓子府駅まで向かうことにしたが、奥田も予定外に駅まで見送りに付いて来た。


 池田駅行きの普通列車に乗り込む際、

「それじゃあ、札幌に戻る前に、また一度挨拶に来ますから」

と告げた西田に、

「是非そうしてくれや! 今度は俺が寿司でも取ってご馳走するから楽しみにしてくれ!」

と返した奥田だった。


 ドアが閉まる前に車内に入り、動き出した列車の窓から見送る奥田に手を振り返した2人だったが、残念ながら奥田とはこれが今生の別れとなってしまった。


 これから約1ヶ月後の2月半ば、外で雪かきをしていた奥田が突然倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまったのだった。西田と吉村は、訃報を道報のお悔やみ欄でたまたま目にし驚いた。その後、何とか予定を割いて駆け付けた葬儀会場で、実の娘から、見つけた近所の人の話では安らかな最期の表情だったと聞いて、2人は救われた気分だった。また友人である田中清も参列していたので、過去の非礼を直接謝罪する機会にもなった。ある意味、奥田が取り持った謝罪の場だったとも言えた。


 それにしても、奥田がわざわざ駅まで見送りに来たのは、本人自身に何か虫の知らせがあったのかもしれない。そして奥田のアドバイスで生み出された、「愚者は自らの経験からすら学べず、良き凡人は自分や他者の経験からは学ぶことが出来、賢者はあらゆる経験からも歴史からも学ぶ」と言う、あくまで個人的な冗長に近い格言を、遺影を見ながら静かに、そして強く胸に刻んだ2人だった。


※※※※※※※※※※※※※※


 ふるさと銀河線の普通列車は、池田駅に午後5時半過ぎに着き、そこから午後6時前のJRの芽室行き普通列車に2人は乗り換えた。普段は帯広市内に通う通勤通学の帰宅客用の列車なのだろうが、正月三が日ということもあり、学校が冬休みの割に車内は混雑していた。


 芽室駅には、沢井が自家用車で迎えに来ていたが、自宅は駅からそもそも徒歩でも5分程度の中心部にあるらしい。既に竹下と黒須は到着していて、帯広署勤務の大場は、仕事が終わった後から合流する模様だ。西田、吉村、竹下、黒須は、本日は沢井の家に宿泊し、明日帰ることになっていた。他の旧遠軽署のメンツは、帰省や家族サービスで遠慮ということになっていたが、正月早々、元の職場の男共でつるむというのを嫌がった人間も居たかもしれない。

 

 西田と吉村は、正月北見に残ったままだったが、紋別の竹下は、一度札幌の自宅で家族と正月を過ごした上で、札幌在住の黒須と同行して来ており、竹下自身は紋別に帰る途中でこちらに寄るという形になっていた。


 沢井の芽室の自宅は初めて訪れたが、親の代から所有していた土地ということで、かなり部屋数の多い田舎特有の広い家だった。なるほど、大の成人男性4人が宿泊しても全く問題ないレベルと言えた。また、6年ぶりに再会した沢井の妻に、北見から持って来た手土産を渡した。


 黒須と再会した直後には、挨拶も抜きに自らも関わった難事件を2人が解決したことをいきなり称賛され、札幌の同僚間でも相当話題になったと言われた。大物政治家の殺人関与を暴いたということは、以前に馬場・道警本部刑事部捜査一課長が札幌拘置所で西田に言った様に、道警史上でも歴史残る快挙として、全道の警察官に捉えられていた様だ。加えて、西田と吉村がこの論功行賞で1年で札幌へと戻ると伝えられると、また札幌で頻繁に飲めると喜んでもいた。


 西田は西田で、「証文に、田所靖になる前の、俺と一緒に遺産を横取りした時の、奴(大島海路こと田所靖)の古い名前が書かれている」と、伊坂大吉が松島・元道議に、佐田実との会食の後で語っていたことに対する黒須の7年前の強い違和感(つまり「本名」とせず「古い名前」という表現にしたこと)が、大島こと小野寺道利が、機雷爆発事故の時点で既に桑野欣也に入れ替わっていたことがわかった今となっては、実に的確な指摘だったことを褒めた。ただ既に竹下から詳しく聞いていたらしく、社交辞令気味に捉えて軽く喜んだ程度だった。


 一方の沢井にとっても、自分が現役中に成し遂げられなかった成果を、警察に残った後輩が上げたことは、事前の電話でも大変喜んでおり、元上司としても鼻が高いと言ってくれていた。同時に竹下の道報の記事を見て、改めて事件の複雑さを理解もしていた様だ。


 沢井自身が警察OBとは言え、現在は部外者という意識が強く、捜査中は余計な口出しも情報の聞き出しもしていなかったこともあって、竹下が執筆した大島絡みの記事が、状況を正確に把握するのに大変役立ったらしい。


 竹下は竹下で、警察内部の情報通からでないと得られない記事を書いたことで、社内での評価も高まったと西田に感謝していた。無論、記者が警察と癒着することの弊害を昔から考えている竹下故に、手放しで喜んでいるという感じでもなかったが、今回の場合には許される範囲だろう。また沢井に、高垣が常紋トンネルのタコ部屋労働について書く本の題名にするという、「辺境の墓標」についての使用許諾を得ていた。


 大場が来るまで、一同は料理には手を付けず、ビールとつまみでやり過ごしていた。子供は既に独立した沢井は健康や孫の話、他のメンツは家族の話と、ひとまず仕事の話は最初だけにして、和気藹々わきあいあいと飲んでいた。そこに1時間程で大場が仕事を終えてやって来て、さすがに一番の若手だけに、到着早々色々と先輩から弄られたが、近い内に結婚することになったという話が出て来ると、一転して祝福一辺倒となった。


 そしていよいよ全員揃ったことで、沢井の妻が造ったおせち料理を食べる段になった。家庭料理の延長線上とは言え、沢井の妻の手料理はなかなかの本格的な出来で、大将の、器はともかく豪勢なおせちとは別の楽しみ方が出来た。


 概ね腹ごなしが済んだ所で、沢井が西田に事件の総括をするように仕向けた。やはり、あの時の遠軽署の刑事達の苦闘があってこその、今の結果であることは間違いない。沢井達にも、ある意味知る権利はある。一方で、沢井は情報管理を気にして「大まかで良い」とはしていたが、西田は割と詳細な一連の事件との真相と、この間捜査がどの様に進展したかについての話を解説し始めた。


 話は午後8時30分過ぎから始まったが、さすがにあれだけの複雑な事件だっただけに、竹下の道報で書いた記事部分を大幅に割愛しても、1時間は優に掛かっていた。


 特に、佐田実殺害事件で大島と龍川を追い詰めた証拠については、一切その証拠が出て来た経緯の真実、つまり本橋の死後の関与が背後にあったことが表沙汰になっていないこともあり、かなり時間を掛けて説明した。


 本橋が7年越しの復讐をする為に、西田達相手に送り付けて来た表向きは挑発的な手紙が、実は本橋の古くからの親友と信頼する弟分を介した上申書的なものだったと言う箇所は、竹下による暗号文の解読手法や、竹下を大阪に派遣した西田の判断も含め、相当興味を引いた様で、3人からは竹下にもしつこく質問があった。


 因みに暗号解読においては、95年の捜査時点での、椎野と本橋の間で交わされた手紙の暗号読解が基礎となっていた。そしてその読解の大きなヒントは、大場による、「この手紙……、まるで原稿用紙にでも書いてるように、1文字1文字が、綺麗に収まってるじゃないですか」という発言だったことを竹下は記憶しており、この場を借りて改めて感謝の言葉を述べた。残念ながら、当の本人はそれを完全に失念しており、場は「仕方ねえ奴だな」という笑いに包まれたが……。ただ、あの大場の何気ない着想は、間違いなく7年後の捜査にも大きく活きたことに変わりはない。


 さて、説明する立場の西田にとっての最大の悩みは、大将が伊坂家を恐喝していたことを、既に打ち明けていた竹下はともかく、残りの3人にどう話すかだった。但し、やはり一連の事件の中では「傍流」的な事件とは言え、米田の殺人に大きく絡んでいる以上、流れの説明としても、重要性を考慮しても無視することも出来ず、大まかにだが説明した。そもそもの発端は大将が免出の遺児であり、その名前の由来と佐田との出会いが、ある意味一連の事件が具体化する上で、直接的な端緒にもなってしまった。


 これにはさすがに3人は衝撃を受けたらしく、それまでの心地よい酔いも吹き飛んでしまった様で、しばらく暗い表情をしていた。だが、伊坂政光の嘆願のおかげで、それほど重い罪には問われず、上手く行けば執行猶予が付く可能性があるとの吉村の説明に、取り敢えず安堵はしていた。


「しかし、事件の最後の捜査が、まさか大将に対する捜査になるとは、灯台下暗しと言うか、世の中の理不尽さみたいなものを感じましたよ、正直ね……」

西田は訥々とつとつと語っていたが、

「言うかどうか迷ったんですが……」

と前置きして突然黙った。吉村と竹下にとっては、その後語られる内容を予期出来ただろうが、3人は全くわからないので、沢井は「何だ? 部外者に知らせない方がいいことなら言わなくていいぞ」と西田に告げた。


「そうじゃないんです。実は事情聴取した直後、あの大将が手首切って自殺図りましてね……」

この発言に沢井は思わず、

「何だって!? それで大将は大丈夫だったのか!? ……いやいや、と言っても大丈夫だからこそ、この話になってんだよな?」

と心配そうに確認してきた。

「その通りで、結果的には何とか一命を取り留めて既に元気なんですが……」

そう言った後、西田は相変わらず口ごもった。そして躊躇ためらいがちに続ける。

「その時俺は大将に、敢えて自首を勧めていたんですが、大将がしばらく時間が必要だとか妙にごねるんで、吉村がその態度に納得が行かず文句言いましてね……。でも俺は逮捕するのが忍びないもんですから、そのまま自首しろとだけ言い残して、大将の家を後にしたんです。それで車で北見に戻る道中、吉村が俺に、『あんな態度は、知人であっても許したらいけない。数日で自首しなければ逮捕すると伝えるべきだ』と……。俺よりも遥かに大将を許したいはずの吉村が、警官としての職務に忠実であろうとした結果だったと思います。勿論、それでも自首自体が相当甘い処断ですが……」

横の吉村は、西田の発言の間、神妙そうな顔のままだった。


「それで、俺もその言葉に従って、車は生田原まで既に入ってたんですが、2人で急遽遠軽に戻ったんです。もしその時、吉村が俺を説得してくれなかったら、間違いなく大将は失血死してたと思います。戻った時でもかなりギリギリだったんで……。正直、間に合わなかったら、俺は責任とって警察辞めなくちゃならなかったと思うんですよ、折角難事件を解決したばかりだったとしても……。だから、こいつにはあんまりはっきりとは伝えてないんですが、内心あの忠告は、とてもありがたかったと思ってるんです」

西田は酒の勢いもあったか、普段はほとんど言わない吉村への感謝を口にしていた。

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