第161話 名実70 (160~161 92年の大吉に対する脅迫について)

「そして、あんたが伊坂組を継ぐことになるきっかけの……、今回の供述の起点にもなってるが、92年の秋辺りからの話に戻るわけだ。既にした話と同じような話の繰り返しで、結構面倒だとは思うが、詳しく聴きたいところもあったから、悪いがちゃんと答えてもらいたい」

西田がそう要請すると、

「ああわかってる。ここまで長々と話してきたわけだから、今更大した苦労でもない。何でも聞いてくれ」

と、西田をまっすぐ見てサバサバとした様子で語った。


「じゃあ遠慮無くそうさせてもらうぞ! 脅迫の手紙はどういう感じで来たか、ある程度詳細に聞いてるか? 最初は佐田が生きているかのように装った形式だったということだが?」

「そのままだよ、そのまま……。最初は脅しと言う感じではなかったみたいだ。親父達に殺された佐田実を名乗る人物から、『自分は生きている』というようなことを窺わせる文面だったみたいだ。親父は動揺していたんで、それを俺が見る前に破り捨ててしまったらしく、手紙自体は俺も見てないから、文面の詳細はわからん。その後に来た手紙も同様にしてしまったという話だ」

政光は如何にも残念そうに言った。

「それにしても、死んだはずの佐田からの手紙とは、時系列上もあり得るはずはないが、どうしてあり得ると思ったんだろうな? 詳細はともかく、ある程度わからんかな?」

吉村が説明を求めると、

「佐田しか知らないような親父とのやりとりと、親父の記憶にあった、生前の佐田から脅迫された時の手紙に似た筆跡、そして、佐田実が脅迫時に親父に渡していたのと同じ、佐田徹が書いたという、手紙のコピーが同封されていたんだったかな……。その時の記憶にイマイチ自信がないから、その点は許してもらいたい。佐田実からの手紙の方も、さっき言ったように処分してしまっていたから、話もあくまで親父の記憶でしかなかったことも付け加えとく」

と説明した。


「そこまで憶えてるなら及第点だ。そうか……3つもそう判断する理由があったのか」

そう思いながらも、西田と吉村は、納得すると共に、やっかいなことになったとも感じていた。佐田実の生存を勘違いさせる要素が、事前に想定していたより、割と具体的だったからだ。


 ここで政光の話、いや大吉の話が本当であるとするなら、佐田徹の手紙のコピーが同封されていたことを前提とする限り、差出人は、手紙の原本の持ち主であった佐田実と近い人間の可能性が高くなる。篠田と喜多川も、佐田実の遺体から奪った手紙のコピーは持っていたが、大吉を92年になってから再び脅す可能性は、かなり低い上に、わざわざこのようなやり方で脅す意味は、ほぼ完全に無いと言って良い。そうなると、真っ先に疑惑の対象となるのは、やはり佐田の遺族だ。95年当時の捜査における竹下も、西田や吉村とは違い、大吉が脅されたとすれば、その可能性があると当初疑っていた。


 しかし、妻の明子始め、息子や娘、そして兄である佐田譲・夫妻含め、それを行うような節は見出だせないと西田は感じていた。それを是とするならば、一体どういう経緯で、手紙のコピーが、脅迫状の差出人に渡ったのか、それも全く想像がつかなかったわけだ。


 そして筆跡の問題だ。古い佐田実からの手紙は、既に処分されていたので、対比はあくまで大吉の記憶だったとしても、佐田実には、過去脅されていたわけで、間違いなく印象には残っていたはずだ。そうなると、やはり、その点もある程度は信用して良さそうだ。同時にその話もまた、差出人が佐田実と近い人間であることを想起させるものだったが、手紙同様、一体誰の仕業なのか想像しにくい。


 だが最大の問題は、差出人が、大吉と佐田実の間のやりとりを知っていそうだということだった。これは2人が直接会った北見での会食に同席し、後に殺害された松島道議か、或いは、ある程度情報を得ていた可能性がある大島の周辺以外にはあり得ない。


 佐田の遺族については、伊坂大吉との細かいやりとりまでは知らなかったはずだし、西田からすれば、彼らはやはり信用に値するわけで、この点では西田の考えを補強する材料ではあった。


 そして、大島周辺は勿論、92年当時の松島が、仲間内の大島陣営である伊坂大吉を脅す理由は無いはずだ。更に篠田と喜多川は、佐田を殺害することまでは指示されていたとしても、佐田の遺体から手紙を得るまで、大吉の戦前の殺人を知らなかったぐらい、佐田との細かいやりとりは知らなかったのも間違いない。


 この3つの勘違いさせる要因は、共に差出人が、死んでいたはずの佐田実であるかのように、強く勘違いさせる要素であったが、それ故、本当の差出人の正体を考える時、かなり難解にさせることでもあった。


 ただ、脅迫してきた相手について、当時の伊坂大吉が、佐田実の遺族の可能性を考慮していなかったかについては疑問があったので、政光に一応確認しておくべきと考え、

「親父さんは、脅迫状を送ってきたのが、佐田実の家族とは思わなかったのか? 状況を考えれば、真っ先に思い付くんじゃないかと思うが?」

と確認してみた。すると、

「状況を見れば、そういうことは最初に考えるはずだろうが、親父は、行方不明直前の自分と佐田との関係を知っていたらしい家族が、5年も経ってから、わざわざこんなことをするとは思えないと考えたみたいだな」

と説明した。


 どうも、87年当時の佐田実の行方不明時の任意の聴取で、佐田の家族が、その直前に実と大吉が連絡を取っていたことを認識していたことから、聴取を受けていると捜査側より漏れ伝わっていたらしい。


 確かにそれを理由として、差出人の候補から遺族を排除したことは一理あるし、差出人について、今考えてみたところで、急に結論が出るわけではない。西田はこれについても、今の時点では深入りを避けることにした。


「わかった。取り敢えずその話は保留する。それで、95年の捜査では、92年の8月10日に、湧別町の工事現場に居た篠田に対し、親父さんが電話を掛けて来て、2人の間に何かしらのいさかいがあったことが確認されてる。その時の篠田の電話での会話は、……こちらもあくまで大雑把に把握しているだけだが、その内容と照らし合わせる限りは、親父さんは、本橋や喜多川、篠田の3名が協力して殺して埋めたはず佐田実が、本当に死んでいるかどうか、念押しで確認したかったと見てる。そして、篠田もまた、佐田実が生きていることなど、到底あり得ないことと思いつつも、渋々、生田原の山中に遺体の確認に出かけたという構図を想定している。……これについては、何か聴いてないか?」

西田は改めてそう尋ねてみた。

「と言うことは、95年の時点で、数年前に病死した親父の行動をそこまで調べあげていたのに、俺達の逮捕に結果ここまで掛かったのか……。まあそれはいい。ああそうだ! 親父は確認に行かせたらしい」

政光に、これまでとは違う意味で、……つまり悪い意味で、今回は呆れられてしまった。しかし、その言い草が許せなかったか、

「それはな、大島を始めとする、あんたらの圧力を気にして、こっちが好き勝手に行動出来なかったせいだよ!」

と、吉村が何とか抑えつつも、さすがに我慢出来ずに怒りを口にした。だが、今更そんなことを言ってみたところで何も始まらない。取り敢えずは、篠田の行動に対する推理の裏付けは取れたと言えた。


「それはそうとして、篠田が佐田の遺体を確認した時に、たまたまその場に居て目撃したと思われる、無関係な青年を殺害したと見ているのだが、それについては、親父さんとかから何かか聞いてないか?」

西田が、これもまた、これまでの捜査から推理、否、確信していたことについて確かめてみた。その点については、殺害の凶器とみられるツルハシと、米田青年の頭蓋骨の創傷は一致していたものの、それ以外の直接的な情報や証拠が出ていなかっただけに、推測でしか語ってこれなかった。西田としても、何とか事実関係をはっきりさせたいと、以前から気になっていた点だった。


「それについても、親父は言ってたな……。佐田の遺体を確認して、北見に戻って来た篠田から報告を受けていたらしい。俺にもそのまま話したよ。篠田から間違いなく佐田が死んでいたと言う報告を受けて、安心したのもつかの間、その話を聞いた時には、さすがの親父も、完全に無関係な人間が犠牲になったことで、僅かに残っていた良心が、さすがに揺らいだみたいだな。自分の敵を潰すことには躊躇の無い親父だったが……。佐田を名乗る人物から来た手紙と言い、その日の2つの出来事が、親父の心身の状態を悪化させるのには十分過ぎたってわけさ……。佐田は死んでいたのは確かだったが、佐田が殺害されたことをどうも知っているが故に、そんな手紙を送ってきた奴がいるわけで、その点は、全く解決してなかったわけだし」

政光は淡々とだが、わかりやすく答えた。

「なるほど。心臓には2つの意味で負担が掛かったのか……」

加齢による精神力や体力の低下もあったろうが、自分を脅迫した佐田の殺害や、戦前の、弟分であった免出を殺した高村の殺害では、悪びれたところを見せなかったように思える大吉も、「亡霊」の出現や、自分の利害に無関係の人間の殺害については、思うところがあったというのは、人間の心理の複雑さを、改めて西田に感じさせた。そして、政光が大吉の心労が溜まったことを最初に語った時、「他のことも相まって」と言っていたが、その「他のこと」とは、罪の無い米田青年が、巻き添えで篠田に殺害されたことだと、西田と吉村はここで初めて気が付いてもいた。


「これは親父の死後に、篠田から直接聞いた話だが、佐田の遺体があったという報告をしたついでに、佐田から来たという手紙を、親父から、まだ破られる前に見せられたそうだ。その時篠田は、『なんでこんなハッタリに騙されたんだ』と頭に来たらしい。何しろ親父が、佐田の遺体を確認に行かせたことが原因で、自分の手で直接人殺しする羽目になったわけだから。息子の俺に恨み節満載だったよ……。ただ、そう言っても、親父からすれば、自分と佐田のやり取りがしっかり記載されていたから、そういう冷静な判断は出来なかったようだ。年齢のという問題もあったかもしれない」

その時のことを思い出したか、苦笑いを浮かべた政光だった。

「それほど中身が稚拙だったのか? でもさっきの話でも出たが、勘違いさせる要素は満載だったんだよな?」

西田は、新たな政光の回想を聞いて、大きな疑問が湧いていた。


「親父が勘違いするような部分があったのは事実のようだし、内容が稚拙と言うより、篠田は確か、『殺したはずの佐田が本当に生きていたなら、もっと殺そうとした時の状況の記述があるはずだが、それが一切無い。どう見ても、親父を脅してた佐田が、親父と会った後に行方不明になったことを知っている他の誰かが、佐田を騙って書いてるとわかるはずだった』みたいなことを言ってたんじゃなかったかな……。一緒に居た本橋や喜多川なんかについても、まるっきり書いてなくて、あくまで脅されていた親父が佐田を殺そうとしたが、まだ『自分は生きてる』みたいな感じの内容に過ぎなかったそうだ」

「となると、佐田しか知らないはずの情報を入れつつも、殺害時そのものの情報には疎い内容だったということだったんだな……。大島の話も当然出てなかったわけだ?」

大吉と篠田の話を合わせると、そういう結論になると、西田は自分でまとめてみた。

「そういうことだろうな……。あくまで親父に対する脅迫のみだったと聞いてる」

政光は何度か頷いた。


「差出人は、佐田の家族でもなさそうで、篠田や喜多川ということも、ほぼあり得ない……。となると一体誰の仕業だろうな……」

吉村も改めてまとめてみたが、良い考えが浮かばないようで、そこまで言った後は、しきりに「うーん」と言うのみだった。西田としては、手紙の差出人特定については、現時点では雲をつかむようなことで時間の無駄と、さっき同様考えていたこともあり、吉村の思案を横に話を更に進めようとした。


「そして、篠田が確認した佐田の遺体は、篠田が米田という青年を殺害直後、別の場所に隠し直したんだが、それについては親父さんは篠田から聞いてたのか?」

「親父からは直接聞いていないが、俺が社長になった後、佐田の件については、本当に大丈夫なのかと篠田や喜多川に確認したら、篠田がもっとわかりづらい場所に隠したと言っていたはずだから、喜多川が知っていたのは間違いない。親父へも伝えていたような話だったと記憶してる」

この回答を以て、当時アメリカに長期出張中だった喜多川も、米田青年の悲劇についてだけではなく、佐田実の新たなる死体遺棄場所についても、篠田から聞いて把握していたことが確定した。つまり、「辺境の墓標」にある佐田の遺体が見つからないことについては、喜多川は幽霊となって米田の遺体を捜索していた際にも、一切いじらなかったのだから、絶大な自信を篠田同様持っていたということになる。


「篠田が確認しに行った際、間違って付けていた喜多川の時計を失くしたことについては聞いていたか?」

西田の次の質問は、伊坂組の95年時の副社長であった三田から、篠田が時計を紛失した時の話を聞いていた際、「会社の人間を巻き込んで大騒ぎになった」という逸話を聞いていたから出たものだった。だが、

「その話については、親父からも篠田からも一切聞いてない」

と、あっさりと否定された。勿論聞いていないだけかもしれないが、非常に残念な回答であることは間違いなかった。しかし西田の落胆を見たか、

「ただ……」

と付け加えてきた。

「うん? 『ただ』、何だ?」

西田は前のめり気味に続きを促した。

「喜多川は少なくとも、95年の時点ではそれを知っていたのは間違いない。勿論、篠田が死ぬ前には聞いていただろうから、それ以前からだろう。そもそも、おそらくだが、喜多川がアメリカに居た時点で、篠田が伝えていたんじゃないだろうか? それこそ95年に、『篠田が殺人を犯した時に、自分が会社からもらった名前入りの記念の時計を、篠田がどっかにやってしまって、それが篠田が殺した男の死体と一緒に出てくると困ったことになるから、しばらく探させてくれ』と、喜多川自ら頼んできたことがあったから、その話については、喜多川が知っていたことだけは確実だよ」


 この発言を聞いて、喜多川が夜な夜な常紋トンネル付近に出没していた件については、少なくとも伊坂政光が、理由も含めて、事前から詳細に把握していたことがはっきりした。常紋トンネル調査会の動きを察知した喜多川が、取り違えられた上に、現場で失くされた(実際には、篠田が湧別町の工事現場で、当時の伊坂組の作業員により盗まれていた)可能性のある時計の存在を気にせざるを得なくなった末の「捜索活動」に、政光が事前許可を出していたと言うのだ。


 勿論、喜多川には、当時に長期アメリカ出張という、米田青年殺害に関しては鉄壁のアリバイがあったのだが、それを加味しても、遺体や時計が見つかれば、佐田の失踪事件の再燃など、警察に余計な動きをさせる口実になりかねないことは間違いなかった。この点については、西田達も95年の捜査時に推測していた。


「それで、あの時期、文字通りの重役出勤を許していたわけだ?」

吉村が喜多川の当時の出勤状況を前提に尋ねると、

「まあ、殺人事件に伊坂組ウチが絡んでることが出て来ると、こっちも色々と迷惑を蒙りかねないわけだし、そもそも喜多川に専務の仕事なんてのは、元々期待してないから、『どうぞご自由に、徹底的にどうぞ』と認めてた。まあ、結局は、ウチの元社員に盗まれていたって落ちで、こっちもそっちからバレることはないと安心したがね、あの時はだが」

と、「だが」を強調して言った。


 一方で、大吉が時計の紛失の件について知っていたかについては、政光の証言からは、結局のところはっきりはしなかった。しかし、伊坂組・三田副社長の話が本当なら、篠田も大吉にも説明している可能性は高いと、西田は自分で納得はしていた。全てを証言から裏付ける難しさは、年数が経っており、当事者が死亡している以上は、残念ながら受け入れるしかない。


「その後はどうなった? 手紙はまた来たんだな? 金銭を要求されるようなことがあったようだから」

西田の質問に対して、政光は初めて躊躇するような姿勢を見せた。順調な取り調べが続いていただけに、西田も吉村も、その沈黙の理由を探り始めたが、案外時間を置かずに事実を打ち明け始めた。


「そうだ……。数通程、佐田実を詐称する手紙が来た後……9月の末だったか、突然脅迫というか、金銭を要求するものに変わったらしい。元から目的がそれだったのかはわからないが、そこで、親父はどうすべきか考えあぐねた末、これまで話したように、電話でのアドバイスを俺に求めたわけだ。勿論、俺はさすがに親父が人殺しまでしているとは思わなかったから、驚き呆れ嘆いたってのは、既に話した通りだ。そしてそれからは肉筆ではなく、新聞の切り抜きの字を使ったモノになったらしい。そう考えると、元から金を要求するつもりはなかったのかもな……」

「その手紙は取ってないのか?」

「ああ。結局表沙汰に出来ない以上は、警察に出せないわけだから意味がないと、捨てたみたいだ」

その発言に、西田は険しい顔付きで思わず舌打ちした。せめて明らかに犯罪性を持った手紙については、是非とも保管しておいて欲しかったからだ。新聞の切り抜きでも、捜査上はヒントになる。


「その時は支払うようにアドバイスしたという話だったが?」

苦り切った西田に代わっての吉村の質問に対して、

「そうだ。取り敢えず払うしかないだろ?」

と、今度は政光が苛立ったように答えた。

「どういう形で、幾ら払ったかわかるか?」

続けて西田が詳細を要求すると、

「直後に帰省して聞いた限りでは、口座振込だった。その時の金額が、確か200万だったかな……」

と答えた。


「口座振込? と言うことは、振込先は偽名口座というか架空口座だったんだな?」

恐喝犯が実名など使用するわけもなく、当然の吉村の問いに、

「親父が興信所使って、口座名義について調べさせたが、少なくともオホーツク地方に、それに該当する人物は見当たらなかった。福田……、房次郎って名前の名義だったはずだ。ぶどうの『房』に、『次』に、よくある太郎の『郎』って字だったか……。とにかく、自分に弱みがあるとしても、本名の口座なんかに、そのまま振り込む奴はいないだろう」

と説明しながら目を、瞬(しばた)かせた。


「古臭い名前だな。年齢的には、中年から上の爺さんっぽいな……」

西田はそう感想を述べたが、唐突にある記憶が蘇った。

「……ちょっと待て! それって7年前に倉野さんが言ってた、伊坂家の架空口座の名義だよな! そうか!」

と、大きな独り言を言った上で合点が行った。確かに、95年の秋に、本橋の佐田実殺害関与が明らかになってから、伊坂家及び伊坂組より報酬の提供があった可能性を考慮し、当時の倉野・北見方面本部捜査一課長が、資金の流れた可能性がある銀行口座などをチェックしていた。


 その過程の中で1つだけ、伊坂家の税金逃れと思われる架空口座を見つけていた。そして、その口座名義が、おそらく福田房次郎だったはずだ。当時は、伊坂家が保有していた架空口座と思われたが、こうなってみると、伊坂家の隠し口座ではなく、あくまで、脅迫者への振り込み先の架空口座だったということになる。西田の様子に、吉村と政光は呆気にとられていたが、大まかに事情を説明すると、西田の振る舞いに理解は示してくれた。

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