第二部 ――春夏秋冬――
序章
目の前で血を流し倒れている少年をただ見下ろす少女。息は既にない。
――何故、貴方が死ななきゃならないの……。
少女を庇い、倒れる少年。
「無事で良かった……」
最後に笑顔でそう伝え、息を引き取る。
――私が助かっても貴方が居なきゃ意味がないのに……。
皇と相討ちになり崩れ落ちる少年。
「そんな顔すんな……お前の笑顔を守りたかったんだから……」
少女の頬に伸ばした少年の手は力を失い床に落ちる。
――何で……何度やっても助けられないの……。
「いや!離してよ!私は此処で生きるって決めたんだから!!」
少女を連れて行こうとする女性から少年は助けようと立ち向かう。
「離せぇぇぇぇぇ!!!!」
だが、それも空しく、女性の一振りで少年は弾き飛ばされた。打ち所が悪かったらしく、頭から血を流している。
「いやあぁぁぁぁぁ!!!!」
――漸く此処まで来たのにまた助けられないの?
――普通の女の子として、普通に貴方の隣に居たいだけなのに……。
――私にこんな力があるから狙われ、庇って死んでしまうの?
――こんな力要らない……。
――どうか、私を普通の女の子にして。
背中に矢が刺さり、倒れている少年。誰かを庇っていたような体勢で息を引き取っている。
――私が普通になっても貴方が庇って死ぬのは変わらないの?
少女は少年の前で膝を付き、顔を手で覆う。
――こんな事になるなら力を誰かに押し付けないで居た時の方がマシだった……。
少女は少年が帯刀している刀を抜き、立ち上がる。
――全て終わらせて元通りにするから。
――全て忘れてまた貴方の隣に居させて――
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