第8話
目がさめた。時計を見るとまだ六時ぐらいだった。これはまだ起きるのには少し早い。
「……二度寝しようかな」
でも私の体質上二度寝なんてしたらきっとまた遅刻してしまうだろう。そのまま起きるという方が賢明だな。
「ふう、よいしよっと……あれ?」
ベッドから降りるところである違和感を感じた。
どうしてどろう? 体が重い。それになんか頭がボーとしていつもより全然働かない。
珍しく早起きしたからかな? いつもはこれより一時間以上遅く起きるし……
とりあえず、早見君の家に行く時間までやることがないので、珍しく朝ごはんを食べることにした。
卵とかが冷蔵庫にあったはずなので適当になんか作ろう。
朝ごはんを食べ終わらせ、 それからボーとしていたら早見君の家に行く時間になった。
しかし、まだ身体は重く、頭がボーとしている。何もしたくない。
……でも行かなくちゃ。
家を出て早見君の家へと向かう。ただでさえボーとする頭に夏の日射しでさらに思考回路が鈍る。
……帰りたい。でもそんなことはできない。
体が熱い。手足の関節も痛い。どうしたんだろう私。
「……へっくち!」
くしゃみも昨日ほどでないにしてもまだ治っている様子はない。体調が悪い。悪寒がする。…………なんとか早見君の家に着いた。
「おじゃましまーす」
「ああいらっしゃ—って速水さん!? 大丈夫!? なんか昨日より体調が悪そうに見えるけど!?」
「え……? 大丈夫だよ。そのうち治ると思うから」
「どう見ても大丈夫じゃないんだけど!? 顔もめっちゃ赤いし……今日はもう帰った方がいいよ」
「ええ……でも……もう……来ちゃった……しやるよ」
彼は一体何を心配しているんだろう。私はこの通り元気なんだし。呂律が回らなくなってるけどなんとかな—
私の視界が回っていく。これは夏休み前にあった熱中症のときと似たような感じだった。
そして私は倒れてしまい、意識を失った。誰かが呼んでいるのがかすかに聞こえるけどそれが何なのか判断できなかった。
目が覚めると、そこは私の部屋でも、保健室でもなかった。だけどそこは私のよく知るところだった。
夏休みからちょくちょく入り浸っている部屋で極め付けは壁にメイド服が二着ほど飾ってある。こんな部屋はあんまりないだろう。
……ここは早見君の部屋か。えっと確か、早見君の家に行ってそれで私は倒れてしまって……なるほど私は寝ていたんだな。
起き上がると目の前に丁寧に折りたたまれたタオルが落ちてきた。少々湿っているところをみると私のおでこに置いてあったのだろう。
「お、起きたのか」
部屋のドアが開けられ、この部屋の住人があらわれた。手には土鍋がある。
「それ何?」
「ああ、昼飯。一応風邪によさそうなおじやを作ってみた」
「風邪?私風邪なんて引いてなかったけど」
「いや、引いてたぞ。熱計らせたら三十八度超えてたぞ。多分夏風邪だな」
そうか。熱があったのか。どうりで頭がボーとしてたわけだ。悪寒とかもそれのせいだったんだな。
「……って、どうやって熱測ったの!?まさか脱がせたんじゃないでしょね!?」
「おお、落ち着け。熱上がるぞ。それに脱がせてないし測ったのは口の中だ。脇の下じゃないから安心しろ」
「ああ、そうなのね。それならまあ、いいわ」
どうやらここにいるのは早見君が運んでくれたからなんだろうね。ここ二階なのにわざわざね。なんかそう思うと悪い気がしてきた。
「そういえばなんでここなの?一階にある私がいつも着替えに使ってるところに運べばよかったのに……あそこにもベッドとかあったよ」
「え?あ、そうだよな。パニクってて忘れてたわ」
パニクるってあの早見君が? いやまだ夏休み中ぐらいしか出会ってないけどさぁそれでも今まで見た感じでは取り乱すとこほなんてみたこと…………あるな。
夏休み二日目の時に寝坊してそのときに取り乱してた。
「それで、今時タオルって珍しいよね。最近なら熱冷まし用のシートとか売ってるでしょ」
「俺、あれ嫌いなんだよ。だから持ってない。あれ貼ると感触とか気持ち悪いし、途中から寒気するし、湿布みたいだし」
「ああ、なんかわかる。でも、あれ意外と気持ちいいからそこまで嫌いじゃないんだよね」
「そうかあ? でも人それぞれだよな好みなんて」
「そうだね」
人の好みなんて千差万別だ。例えば好きな人とかだ。
私は早見君が好きで友達の美紀はその早見君のお兄さんが好きだ。この通り、好みのタイプが違う。
だから、別に何が好きでどうしてなんてことはどうでもいいよね。
「ああ、そうだ。おじやもってきたんだった。早く食べないと冷めちゃうよ」
「ああ……そうだねじゃあ、こっちに渡して」
「いや、お前風邪だし食べるのもつらいだろ。だから俺が食べさせてあげるよ」
……え? またもや、あーんですか? でもそんなの恥ずかしいし。でも実際は一人で食べるのもままならない状態だ。頭は相変わらずだし、手足もだるくてあまり動かしたくない。
だから食べさせてもらおう。
「じゃあ、お言葉にあまえて」
「おう。珍しいな。そんなに素直だなんて……」
それじゃあ、まるで私がいつも素直じゃないみたいに聞こえるんだけど。自分では、素直にしてるつもりなのに……
早見君は、土鍋を開けて一口分掬う。そこからぐつぐつ煮られたご飯の香りが鼻孔をくすぐる。材料は、
「はい、それじゃあ、あーん」
「あーん……んっ……んっ……やっぱり美味しいなぁ」
歯ごたえは風邪ひいていることを想定して柔らかめに煮てある。味は薄めだがそれはそれでご飯という素材を生かした味といえる。
「早見君ってもしかしてなんでもできるんじゃないの?」
「なんでもはできないよ。俺にだってできないことはあるって前にも言ったろ?」
「正確には苦手なものと言ってたよ」
「あんまり変わらないだろそれ」
確かに。苦手だからできないんだろうし。ほとんど同義と言っていいかもしれない。
「早見君、次ちょうだい」
「ああ。ほい」
もう一口食べる。
やっぱり美味しい。体がポカポカしてくる。気温は暑いのに安心する。暖かい。
何回もそれを繰り返していく。やっていくたびにあーんされることを自覚して心臓が激しく動く。これはいつも起こる症状だ。ならば私は正常になってきているはずだ。
気付いたらあっという間に食べ終わってしまった。食欲も戻ってきているってことだ。少しは体調が回復してきているんだろう。
「早見君、それじゃあそろそろ体調も少しは良くなってきたし帰るよ。移しちゃったら困るし」
「いや、無理すんな。ちょっと待ってろ他に色々持ってくるから」
早見君は部屋から出ていった。
色々ってなんだろう?なんかすこし心配になってくる。もしかして、メイド服とか持ってくるのかな?風邪引いたメイドというものに萌えちゃうとかそんな感じになってそれで……?
色々と考えていると早見君が戻ってきた。その手にはメイド服はなかった。とりあえずメイド服に着替えさせられるということはないみたいだ。……いや、やろうと思えばそこの壁にあるのを使えばいけるしな。サイズもほとんど変わらないとか言っていたし……
「速水さん持ってきたよ」
その手にはヨーグルトなどの消化によさそうな食べ物、熱冷まし用のグッズ、風邪薬などをがあった。
「そ、そんなものどうしたのよ。めちゃくちゃ用意周到で驚いたんだけど……」
「ああ、昨日買ったからな。あの後にドラッグストアとかによったんだよ」
「な、なんでよ?」
「いや、昨日から正確には夕方から速水さん風邪気味に見えたからね。多分、ダウンするかなぁとは思っていたんだよ」
「そ、それでわざわざ!?」
「わざわざといっても大したことないよ。どうせ俺も風邪ひいたら使うだろうし熱冷まし用のシートさえなければ何でもいいし……」
「いや、何でそこまで」
普通、そこまでしてくれる人なんてそうはいないよ。する必要性も感じられない。これぐらいなら放っておいても別に私は悲しまない。なんで早見君はそんなに私を嬉しくさせるのよ。
「だってメイドがダウンしちゃったら困るだろ?俺どうすればいいんだよ」
私にとって理由なんてどうでもいい。っていうか早見君なら私がいなくてもどうとでもなるでしょ。私はそれをしてくれたことが嬉しい。
「ずっと思っていたけど早見君って優しいよね」
「突然何を言うんだよ。俺はそんなに優しくないだろ。もし、優しかったら速水さんにメイドなんてやらせねぇよ」
「……それもそうだね」
じゃあ、どっちなんだろう。優しいのか優しくないのかわかんなくなってきた。
でも、一つだけわかったことがある。
早見君のことが好き。だけど今日になっていや、正確には昨日からだけどもっと早見君のことが好きになった。それだけは確信がある。
「……熱も大分下がってきたな。やっぱり帰れそうだよ」
「ん? どれどれ?」
早見君は近くにある体温計を使わず私の方に近づいてくる
「な、な、何近づいてくるのよ!?」
「いや、熱を測ろうと思ってな」
「それならそこのたいお—」
体温計があるじゃないと言いたかったが時すでに遅し。すでに私のおでこは早見君のおでことくっついた。目の前には早見君の顔がある。もうあと何センチかってところだ。
やばい、そんな測り方されたらおかしくなっちゃうよ。体温もさらに上がっちゃうし……
「うーん。駄目だな。まだ熱がある。そこまで下がってなさそうだ。やっぱり今日は家にいろ。今日中に下がりそうになかったら送るけど……」
だったら今すぐ送ってもらいたいんだけど……でもそれはそれでいいかもしれない。だったらこのままでいいか。まだ動きたくないし体もまだまともに動けないだろう。
「わかった。なるべく早めに治すよ。だからもう一回寝るね」
「ああ。じゃあ下にいるからなんかあったらそのスマホで呼べよ」
「うん」
早見君が部屋から出た後に私は再び眠りつこうと横になった。
しかし、全然眠れなかった。ただ単に眠りすぎたということもあるけどそれだけではない。
「……どうしよう。さっきは気づかなかったけど早見君の匂いがする。なんか興奮しちゃうよぉ」
ここでいつも寝ているのだと考えると余計に眠れなくなる。
「……とりあえず、寝るために頑張ろうかな。それとも……」
その時視界の隅に早見君のアルバムを見つけた。そういえばあの壁ドンの時から見てないな。
「…………よし、読もうかな」
アルバムを取り出し、ページをめくっていく。
「はあ、やっぱり小さい時の早見君って可愛いなぁ。いや、今も寝顔は可愛いんだけどね」
早見君に聞こえるとまずいから私に聞こえるかどうかぐらいの大きさで声を出す。
そして前見た時には見なかったところまでのページまで読み進める。
「小学生二年生ぐらいかな?この時の早見君も可愛いなぁ」
今見ているのは遠足の時の写真だ。男子達と一緒に笑ってピースしている。
「早見君こん時には友達がいたんだね」
さらにページを進めても似たような感じだ。運動会、球技大会、林間学校など学校でやる行事が主となっている。
それが中学校まで続いていた。
「……まあ、写真とかってこういうイベントごとぐらいでしか撮らないよね。プロの人に取られるのって」
私のクラスの女子は自分の携帯電話やスマホなどで自分やことをとる—自撮りというのが流行っている。高校生ぐらいになるとこういうのがある。でも小学生とかでそういうのはないだろう。しかも男の子だし。
中学校のところに入った。相も変わらず友達と写っているのが多い。
「お、これはスキー教室か。懐かしいなぁ。私のところもあったなぁ」
しかし、これ自分がどれがどれかとかわからないな。こんなの撮ってもらい貰うものではあるのか?
更に読み進めるとアルバムが最後のぺーになっていた。
「……あれ?」
そこであることに気づいた。さっきまで友達と写っている写真がたくさんあったのに中学3年生あたりの時にはそういうのがなくなっていた。その証拠に修学旅行なのに写ってる写真が一人の時ばっかりだ。
こん時あたりからボッチになったのかなぁ?
でもプライベートに触れてはいけないと思いアルバムを閉じ元の場所に戻した。それ以上は考えないようにしようと頑張って眠りについた。
「おお、大分下がってきたな。これならもう少しで治るんじゃないか?」
「そ、そう?だったら私はそろそろ家の方に帰ろうかな」
「ああ。これなら多分大丈夫だろう。だけど一旦部屋を出てちょっと待ってな。送っていくから」
「いや、いいよ。そんなことしてもらわなくても」
「いや、ここまできたら送ってくよ。それに色々話したいこともあるし……」
い、色々?なんだろう。
「それは、ここじゃあ駄目なの?」
早見君に尋ねる。
「いや、別にここでもいいが、できたらまとめてやった方がいいでしょ」
まあ、それもそうか。歩きながらできる話しならそこまで大したことでもないかもしれないし。
「うん。わかった」
部屋を出る。その近くの廊下で待っていた。
案の定、早見君はすぐに出てきた。服を着替えているところからすると、そのために私を部屋から出したのだろう。
「じゃあいこうか」
家を出て、自分の家までの帰路に着く。
話って一体なんなんだろう。
「ああ、あのさ」
「うん」
「なんかごめんな」
「え?」
唐突に謝られた。私何か嫌なことされた記憶ないんだけど……
「いや、特に謝られるようなことはされてないんだけど……」
「速水さんが風邪を引いた理由を考えてたんだよ。それで思ったけど多分疲れてたんだろうなぁと思って」
「ああ、なるほどね」
早見君はつまりメイドという労働を私に無理矢理させているから疲れも無理矢理に引き起こさせたということだ。
「確かに最近は疲れてるなぁとは感じていたよ」
「ほら、やっぱり」
「それでも多分疲れてじゃないと思うよ。多分プールではしゃいだからだと思う」
「あれだって元々俺が誘ったもんだし」
「あ、そっか。でも早見君のせいではないと思うよ。やろうと思えばプールなんて断ることもできたしメイドだって別の方法で恩を返すことだってできたよ。だからやっぱり悪くないと思う。風邪引いたのは単に私の体調管理がなってなかっただけだよ」
「……でも疲れてるのは確かだろ?」
「ま、まあ」
気づいたら、もう家の前に着いていた。早見君も足が止まる。だけど、早見君はそんなこと気にしないかのように話を続ける。ここでじゃあねとは言えない。きっと今、話したかったことだ。だから早見君の話を聞こう。
「じゃあさ、たまにはリフレッシュもかねて街にでもいかない?あ、急に明日とかじゃなくてね。速水さんも風邪が完治したわけじゃないしね。だから明日もメイドしなくて大丈夫だよ」
突然、早見君からそんなことを言われた。一瞬、時が止まったのかと思うぐらい
静かになった。
「ああ。だよね。また倒れたりしたら早見君に迷惑がかかるしね。……え?今なんて言った?明日こなくてもいいの前あたりっていうか最初の方」
「え?だからたまにはリフレッシュがてら街にでも繰り出さないかって……」
「え!?街に出かけるって誰が?」
「だから俺と速水さん」
「他には?」
「いないよ。第一、誘うやつがいないし……」
「え!? それってもしかして……」
で、デートだよね? 男女が二人きりでどこかに出かけるなんてそれ以外に考えられな……じゃあ花火大会のやつもデートか。なぁんだそこまで焦る必要もないじゃん。どうせ向こうはデートとか思ってないだろうし。
「ああ、デートだよ」
って、デートなんかい!
「えええええ!? で、デートォォ?」
ま、まさか早見君から誘われる日がこんなに早くくるなんて……夢にも思わなべかったよ。嬉しい。
「い、嫌だったか? だったら別に行かなくてもいいんだけど……」
「そ、そんなことないよ! 私は全然大丈夫だから! いつでも大丈夫だから」
「そ、そうか。じゃあ、明後日にしようか」
「うん。わかった時間とかは、あとでメールしてよ」
「ああ、それじゃあ、またね」
家に入ろうとしたところであることを思い出した。今言った方がいいだろう。
「あ、あの早見君」
「何だ?なんか忘れ物か?」
「いや、そうじゃなくて、その……あ、ありがとね。看病してくれて」
「いや、大したことしてないよ。俺にも非はあるし」
「でも。一応ね、風邪ひいちゃって悪いと感じるし……」
「風邪なんて誰だって引くし、しょうがないだろ。謝る必要はないんだよ。じゃあ明後日な」
早見君は自分の家に帰ろうと歩いて行った。
私はその場に立ち尽くしたがそれもつかの間。すぐに自宅へと入り、ご飯を作るのもままらないのでそこらへんにあるカップラーメンや、冷凍食品ですませた。個人的には、栄養面で偏りやすいのであまり好まないのだがいざという時のために買っておいてよかった。こういう時にこそ使うべきだと思う。
それから風呂に入ろうと思ったが、風邪のときはあまり入らないほうがいいのではという説があるのをどっかで聞いたことがあるのを思い出した。けど、さすがにそれだと衛生面的にあれだと感じたのでシャワーだけ浴びることにした。
そして、シャワーも浴び終わり自分の部屋のベッドに直接ダイブした。
「……ふう……」
さて、今日起きたことを整理してみよう。
まず早見君の家に行き、そこで風邪でダウンして、おじやを食べさせてもらったりとかの看病をしてもらってアルバムをこっそり見てそれで早見君にデートに誘われた。
「~~~!」
ベッドの上で悶えている。好きな人にデートに誘われたらきっと誰しもこうなるだろう。
もしかしたら自分のことが好きなんじゃないかなとかそんなことを自然に頭によぎる。自然と顔がにやにやしちゃう。
でも、デートっていってもきっと花火大会みたいなノリなんだろうなぁ。あ、いや、あれも十分楽しかったけどね。
……は! 当日どんな服着ていこうか。
慌ててタンスを出して、服を選別する。しかし、私の私服には、一般の女子高生が着るようなおしゃれに富んだものがなかった。
そうだった、私、そこまでいいのもってなかった。とりあえず周りに浮かないていどのやつしかなかった。うーん、どうしたものか。
とりあえずほかのところも色々あさって見る。しかし、なかなか見つかるもではなくて明日急遽買いに行こうと半ばあきらめかけていたところにあるものが見つかった。
あ、そうだよ。これがあったじゃん!
それを手にとって確認してみる。これならいつものよりもおしゃれって感じがでてる。これにしようと心に決めた。
安心したら眠気が襲ってきたので眠りに着こうとした。
なんか、最近寝てばっかな気がするなあ
しかし、眠気が襲ってきたのにも関わらず目をつぶっても意識がとぶこともなくそれどころか目がどんどん冴えてきてしまっている。それもそのはずだ。明後日のことを色々と考えてしまう。花火大会のような感じになると頭でわかっていもかすかにいい感じのデートになるんじゃないかと期待してしまう。
そして、その度に悶えている。
「ああ、ど、ど、んなことするのかなぁ。て、手をつないだりとかしちゃうのかなぁ?」
もしかしたらそれだけじゃなくて、き、き、き、キスとかしちゃったりして……
「〜〜〜〜〜っ!」
またもや悶える。もしそんなことにあると仮定していたら無性にドキドキして余計に眠れる気がしない。
ああ、デートって何すればいいんだ? 初めてのデートだしなあ……誰が知ってる人でもいないかなぁ。
明日、美紀に聞こうかと思ったけどなんというかあんまり言いたくないなぁ。恥ずかしい。
とりあえずどんなことになっても対応できるようにしておこう。
が、思うように眠れず朝を迎え、徹夜してしまったということは誰にも言えない
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