第8話 学校、その後
程なくして僕たち3人は、体育館へと向かった。
やはりというか、なんというか、入学式は体育館でやるものである。
一旦、自分の教室へと向かったあと、体育館へと向かうようにという黒板の文字を見てどこの高校、いや学校でも同じようなものなのだろうか、なんて考えた。
何故自分の教室がわかったかというとそれについてはもう通知が来ていたからである。
そんなことよりもまずは、入学式に遅れ笑われ者になるのは困るので少しばかし早足で歩く。
「やっほう、小坂くん」
ハッとして振り返ると吉見さんがいた。
「今日は暇だったりするかな?」
本当に唐突だった。
というか、ここは廊下でそんなところでばったりすれ違うとは…
あまりにもびっくりして、思わず言葉に詰まった。
「ん…っ、……あぁ、今日なら多分1日空いてるよ」
※
「突然ごめんね、どーーしても!なんか気になっちゃって…」
僕は例の喫茶店で、ミルクティを飲んでいた。
目の前には吉見さんがいる。
ここまでの流れを簡単にまとめるとまぁ、入学式だというのに吉見さんはどうしても菅野くんのことが気になって僕らをつけていたようだった。
結局、声をかけることはなくて僕がみんなと別れた後に声をかけた、という流れらしい。
その後、こうして話を聞くことになったのだが…
「やっぱり、良い人だね菅野くん」
人当たりの良さ、馴染みやすい雰囲気
そうして、友達が多く信頼されているタイプなんだろう。
しかし、あくまで男子限定、といったところのようで現にあまり吉見さんにライバルはいないようだった。
「コミュニケーション力も高くて、優しくて、本当にちゃんと話したのはほとんど無かったけど…
私、菅野くんのことが好きなんだって、すぐ分かったような気がするんだ」
そういう吉見さんを見て、なんだかスッとわかったような気がした。
それはもしかしたら、僕自身も優衣に助けられた(といっても物理的にではないが)といったような記憶があるからかもしれない。
「好き、か。
好きって難しいね」
照れたように吉見さんが笑う。
店員じゃなくてこうして、面と向かってただの1人の友人として?話すことで僕は彼女のことを全然見れてなかったと思った。
結局のところ、人は自分に見える一面性に囚われているのかもしれない。
「続きを話そうか」
僕ももっと知りたいと思う。
彼女を…
そして、菅野くんや、宮本、優衣。
みんなのことを本当の意味で
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