人間たちに嫌われる理由

水霧

いつもの変わらぬ日々

私、狼女の水霧は人間の住む街から遠く離れたこの静かな山の中で、妹と共に変わらぬ毎日を過ごしている。


「……風華はまた他の妖怪と遊んでいるのかしら……?」


私は今、自室にある椅子に腰掛けて読者をしている。そろそろ午前11時を回る頃、ふと、昼ご飯は何にしようと思いキッチンを見てみる。そこには妹が作っておいてくれたのか、2つのおにぎりが置いてある。いつも通りで、変わらない、私の大好きな毎日である。


「ふぅ……。」


本を全て読み終わり、椅子から立ち上がって背伸びをする。そして、横にある鏡で自分の顔を見てみる。正直、顔には自信が無い。焦げ茶色のちょうど首まである髪、大きな狼らしい耳、青に染まった瞳。それに比べて風華は、薄い水色のサラサラした髪にルビーのような赤い瞳、元気な笑顔。私には無いとても

可愛らしい所を持っている。そんな自慢の妹は私の大事な宝物でもある。


「……!?……もうこんな時間!?」


私がふと、鏡に映る時計に気付き、見た時にはもう午後5時を少し過ぎていた。普段なら妹は4時くらいには帰ってくるはずだが流石に遅すぎる。心配になって暗くなりかけている外へ飛び出していく。


人間にでも襲われでもしたら……。


そんなことを考えていると目から大量の涙が出てきた。気にせず走り続ける。



…………お姉ちゃん?


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人間たちに嫌われる理由 水霧 @karinpy

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