物語の舞台は学校とそれを取り巻く地域、登場人物は主人公とその親友とヒロインというシンプルな構成になっていましたが、作品のテーマ及び展開は単調なものではありません。前半から中盤にかけては一風変わった男女のコミカルな話でありますがそれに油断していると、以降の暗転に読解が置おいていかれてしまいます。特に終盤は作者の筆勢に力がこもっていくのを液晶越しにでも感じることができました。冒頭から最後まで寄り添っている景色の描写も綺麗です。表題に拘りすぎない距離感で描かれる世界は若い男女の恋と成長を読み手に見せてくれると思います。