ユナの旅行記2 宿場町ホットレイク



 アイラさんの計算が外れた。私たちは神石を神器に加工してくれる鍛冶職人のガザさんに会うため、職人の街キッシュに向かうはずだった。だけど飛空二輪の燃料不足でアルフ大陸の東岸に墜落してしまったのだ。アイラさんの能力でみんな怪我はなかったけど……元々私が乗る予定じゃなかったということもあって、ちょっと申し訳ない気分。


 サンド二号の通信の力で、私はブラック・クロスのリーダーであるノワールさんと初めて話した。義賊のリーダーというからどんな人かと緊張していたけど、思っていたよりも気さくな雰囲気だった。でも送られてきたミッションシート……すごく読みづらい。字を書くのが苦手なのかな?


 通信の途中で破壊の眷属の襲撃。アイラさん……ううん、アイラが戦いのお手本を見せてくれた。砂漠の神・セト、それが彼女の神石。まるで踊るように銃と砂を自在に操っていく姿は、確かに「砂漠の蝶」っていう二つ名がぴったりだと思う。


 アイラの戦闘を見ながら、ルカが神石の使い方を教えてくれた。神石と共鳴した人はその石に宿る神さまの声を聞くことができるようになるらしい。私に語りかけてきたのは九柱の歌の女神・ミューズの一人、カリオペ。私は彼女が教えてくれたままに歌を歌った。すると戦うアイラの身体の周りに薄桃色のヴェールができて、彼女を破壊の眷属から守ってくれた。神石の力って、本当にすごい。


 私たちは浜辺で拾った小さな鍵を届けるのと、旅の疲れを癒すために宿場町ホットレイクに向かった。街を取り仕切る女将さんに出会って、私たちが拾ったのはホットレイクの温泉の水門の鍵だったことが判明。女将さんの厚意で、私たちは温泉宿に泊めてもらえることになった。


 アイラと一緒に温泉に入ることになって、改めて彼女はとても美人なんだなぁと思う。でも、お互い服を脱いだ状態だとなんだか気持ちまで素直になれたような気がする。いきなり「ルカのこと好きなの?」って聞かれてびっくりしたけど、アイラはルカとキーノのことを混同して見てほしくないということを伝えたかっただけみたい。アイラは好きな人じゃなくて大切な人はいる、って言っていたけど、それは誰のことなんだろう。


 男湯にはルカしか入っていなかったはずなのに、なんだか急に賑やかになったな……と思ったら、柵の上からルカが落ちてきた! 突然温泉に現れたガザさんに投げられたと言ってたけど、覗きなんて最低……! アイラが言った通り、早めにお風呂から出ていて良かった。ルカは裸のまま女湯に落ちてきたけど……わ、私は何も見てないんだからねっ。


 お風呂を上がった後、改めてガザさんを紹介してもらった。神器を作るための参考にするからといって色々質問された。好きな色とかはまだわかるような気がするけど、好きな男性のタイプとかは聞く意味あったのかなぁ……。


 夜、アイラとガザさんが二人でバーカウンターのところにいるのを見た。なんだか大人な雰囲気。二人はどういう関係なんだろう。もしかしてアイラの大切な人ってガザさんのこと?


 朝起きて、いよいよ神器を作ろうってことになったけど、どうやら材料の黒流石を切らしてしまっているらしい。私たちは材料調達のためにも、再びキッシュの街に向かうことに。


 それにしてもルカ、なんだか元気がないけど、そんなにお風呂でのことがショックだったのかな……? キッシュに行くって決まったら急に気分が上がってたみたいだけど。


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