お前なぁ、だから、んなわけないだろ。ったく。
第1話 ってか八百長じゃねぇの、あれ。
こないだはミートボールパンサンクス!
いや何、今日はスタンダードに焼きそばパンに落ち着きましたが、ここの焼きそばパンなかなか侮れないんですよ。ほらソーセージ一本入ってる!
……これ女子に食べさせて写メったいよな。なんか、こう、エロい。
いやそんなあなた大丈夫ですよなにをおっしゃりますやら。わたしは「大きなソーセージ咥えてる女の子」がエロいなんてそんなことはいっておりません。
……で、フェラーリは好きですかそうそのF1の方の!
いいよな!フェラーリ!
まぁ乗ることはないんだろうけど……一回ぐらい……もちろんあのスポーツカーの方!
なんていつもの俺らなんだが、そこにその「フェラーリ」にしか見えない(お察し下さい)焼きそばパンを携えた女子が現れたから、あぁ今日も日本は平和だなぁと。
ってなぎさかよ!うしろにみさきもひっついてる。
「パンおごってくれてあんがと、……でもなんで食べてるとこ写真に撮るんだ?」
あぁはいはいこういうこと考える人と一緒なのね
「いや何!美味しそうに食べてるからさ……ネットにUPとかしなきゃいいだろ?」
てか洋……考えるのはいいけどやるか!ったく!
つうか、わかんねぇで付き合うほうも付き合うほうだ!
わたくしはあいにく購買のおばさんが「食べ盛りのために」ソーセージを大きくしたとしか存じ上げませんが、やっぱそう見えますよね、はい。
「おい待て!そんないきなり丸ごとはないだろ!」
洋はパンを食べるなぎさを携帯で写メを録りながら文句を言ってる、
「急に根本からって……、最初は先っちょの方をなめるようにしないと……」
なぎさはパンを口から出した
「?焼きそばパンに作法なんてあるのか?」
なぎさは横からパンをかじった。
「そんな急にがっつかなくても!あぁ出ちゃう……(焼きそばが)もっと、やさしく……」
なんだかお昼にそぐわしくない香りがしますね。
「!まるめてかじりやがった!丸の、丸のままで!ほら見ろ松助!」
ははは!いや悪い悪い、今の『丸の、丸のままで』つぼった。観念しろ洋それはからかう相手が悪いから。
「まぁいい、撮るべきものは撮った。それより会長、夫婦別姓ってどう思う?」
洋は頭を切り替えたらしく、携帯をしまい真面目な表情になって言った。
ダンダンダダン、ダダダダンダダン……。
はいやってまいりましたその辺の空いてる教室の机、洋選手は早くも机に座っています!
「まぁなぎさがどう出ようが、今日は負けない」
早くも勝利宣言が出ました!洋選手はなぎさ選手には連戦連勝、なんせ前回のキング・オブ・屁理屈で今回もタイトル防衛と思われます。まぁ負けることはそうないでしょう、
「……夫婦別姓、ねぇ……?」
さてなぎさ選手!なんでしょうか?いつもの元気がありません。コンディションが悪いようですが……。みさきキャスター!
「ヨーロッパのあたりではもう常識なそうです、ですので当然、賛成だと思われますが……確かにちょっとなぎさ選手の様子が変ですよね?」
さぁゴング(携帯の着メロ)が鳴りました!
絶対に負けられない戦いがそこにある!解説はわたくし海野松助です!
「まず、俺はこの『太平洋』とよく書き間違えられる『大平 洋』という名前はネタ的にけっこう気に入ってるから、『大西 洋』になる大西さんと結婚するんでない限り、結婚して姓を変える気はない」
おっとう!先制パンチですね。
「で、なぎさはどう思うの?つうかそもそも、結婚する気ある?」
おっと洋選手大きく振りかぶった!これは混戦が予想されます!
……。
………。
なぎさ選手?
あれぇおかしいですねぇ、いつもなら『ならお前インドさんと結婚してインド洋になれ』ぐらいのことは言うのですが……。
なぎさ選手からのパンチがありません。
「……あるけど、なんで?」
レフリー!タオルタオル!
カンカンカン!一旦試合中断します!放送席!
いやぁ危なかったですね洋選手、まさかなぎさ選手があんな反則技を使うとは思いませんでした。
「いちおうどんな相手か研究してきたつもりだったけど……どこであんな技を覚えたんだ」
そうですねぇ、なぎさ選手なら「男なんて!」と政治に身を入れ過ぎて結婚しない人生を歩くような予感もちょっとだけしてましたが、結婚願望、あったんですね。あの反則技は天然でしょうか?
「……相手は?とか色々聞きたい部分はあるけど、本題……もどんなきゃ駄目?」
そうですね、できればそれは試合後にお願いします。いちおう観客がいるので(洋となぎさの口喧嘩を見てるのが楽しいって奴ら、ちょっとこっち見てるだろ?)
「くそっ、このままじゃ試合に勝っても何かに負けちまう!」
洋選手、なんとか立て直したようです。
「俺は勝つ!試合にもそれ以外にも!」
さぁ再びゴングが鳴ります。
「本題に戻ろう、なぎさは夫婦別姓ってどう思う?」
さて、まずはお互い睨みあってますが……。
「?つうかそもそも、仕事のキャリアって、結婚して姓替えたらなんかなるものなのか?それがわかんねぇ。それに別姓だとさ、結婚してるしてないって、どうやって見分けるんだ?」
なんでしょう、なぎさ選手、パンチをよけてばかりで攻撃しません。
「……質問を変えよう、なぎさが例えばだけど、言ってるみたいに政治家になって『白浜 なぎさ』ってそれなりに認知されてきたときに、結婚の話があって、今までの知名度をそのまま使いたいって時だってあるだろう、ところが相手は姓を変える気はない、どうする?」
いつもどうりやろうぜ、と洋はパンチを飛ばす。ところがそれもなぎさはよけてばかり。
「いやそれ以前に結婚が先かもしんないだろ?政治家なんて三十代か四十代で若手なんていわれちゃう世界だし、それまでに結婚してないってのも……?」
おっとこれは再びレフリーを呼ぶべきですか?
「四十代までには結婚してるって思ってるんだ?へぇ?そんな相手いるとおもっちゃってるの?」
カンカンカン!レフリー!レフリー!両者反則!反則!
なぎさ選手は攻撃意図がない!洋選手に至っては関係ない場所を攻撃しましたよ。まぁいつものことですが。放送席のみさきさん!
「なぎさ選手やる気があるのですかねぇ、なんかさっきから逃げてばっかりですよ」
客席からもブーイングの嵐!そりゃそうですよこんなクランチばっかりの試合、八百長やってんじゃねぇぞ!ぐらい言いたいですねぇ。
「えぇ?やっつける目的の討論なんてやれって言われても」
ではいつも洋選手とはどうして戦ってるのですか。
「ゲームで負けたり勝ったりとか楽しくねえ?その延長上かな?」
おぉっと!挑戦的な発言がでました! 洋選手?
「俺との勝負は遊びだった、か。そうじゃなくっちゃ」
洋選手の闘志に火が付いたようですね。
さぁ再び試合開始です。
「夫婦別姓についてどう思うかだけ聞きたい」
洋選手の先制パンチ、
「それなら抜け道がある」
なぜでしょう?洋選手のパンチが当たりません。パンチ当たりません。
「もし本当に姓を変えたくないなら、なんか本書いて、パンネームを本名にできるんだ」
なぎさ選手華麗なステップを踏んだ!洋選手スリップしてダウン!
なぜでしょう?というかそれ「あり」なんですかアナウンスのみさきさん。
「……小説家かなんかでそういうのは聞いたことがありますが、政治の世界ではどうなんでしょう?通名とはどう違うんでしょうね」
洋選手なんとか立て直しました。調子はどうですか?
「……なんだこれ、まったく考えが読めない。なぎさには結婚がまだ身近な問題として考えられないってだけの問題か?」
通名使用するというという立場にもとれますが……。
「そもそも結婚観がわからない、話題、変えちゃダメ?」
それはどうでしょう、審議入ります。
……。
………。
はい審議終わりました!(俺らとみてたやつらが話し合っただけ)「結婚の話題にからんでればOK」だそうです!
「よし、最終ラウンドだ」
さぁゴングが鳴りました。絶対に負けられない戦いがそこにあるとすれば、それは男と男のプライドをかけた(なぎさから私はいちおう女だとツッコミが入ったけどみんな無視した)真剣なものであるはずです。
「じゃあ事実婚とか同性婚ってどう思う?」
おっと洋選手大きく振りかぶった!
「?法律で守られてない結婚の意味がわからない。同性に至っては、結婚制度がない以外の問題がけっこうあるし、わかんない」
これも空振りだ!洋選手大きくスリップしてダウン!
「この試合はノーカウントだ!相手に戦意があるのかすら怪しいじゃねぇか!」
さて、アナウンスのみさきさん、これは判定ですかねぇ。
「そうですねぇ、判定を待ちましょう」
では判定へ、(見てる奴が口々になんか言ってるのを聞いた)おぉっと、でましたよ。
なぎさ選手に戦意がないとみて洋選手なんとか勝利!タイトル防衛しました!さすがキング・オブ・屁理屈!
あぁ客席からブーイング……やる気があるのかないのかと言われましても……。
私たちはアマチュアですし……。なにぶんそのへんは……えぇ……。
にしても今回はパン買っといてよかった。時々あるよな、対戦相手がやる気あるのかないのかわかんない試合。
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