第12話 その携帯、禁止にしていい?

 あ、来た来た。

 ちわーっす!どうも馬鹿です。え?天才は馬鹿になりたがるなんてあなたも変なことをおっしゃる、天才は英語赤点なんかとんないから。……はぁ?天才と言われた偉人にも苦手科目すげぇ悪かったのがいる?そうなの?

 まぁそれは偉人の話で俺ら凡人には関係ないから、というよりむしろ聞いた話、偉人とか俺ら凡人にはとても耐えられないような激しい人生送るから、むしろお断りいたしますとしか。やっぱ平凡サイコー!お前もそう思うだろ?

「?お前は頭悪くはないと思うけど」

何をおっしゃいますやらなぎささん、あなたと私、馬鹿という絆で結ばれた……ってかそういうお前はほんとう、好きな科目以外目も当てられない馬鹿なのな。

「お前は理解しようとするじゃないか、本当の馬鹿ってのは理解しようとすらしない気がする。それに雪とかに嫌がることもやんないだろ?そういう馬鹿もいるんだ。お前は成績はよくないけど、馬鹿じゃないぞ」

そうか修行が足んないですか。よし!もっと馬鹿になるぞ!

 そんなことばっかやってますとね、なんで集まったのか忘れそうになるんですけれど。

 洋の作業の結果?んでなぎさの外泊問題ね、じゃあ、おっ、洋来た。あいかわらずそのなんというか、独特なファッションですね、『ダサい』わけじゃないぞ、うん。

 あ、やべぇみさき忘れるとこだった。なぎさと一緒に来たけど、ゲーセンうるさいから苦手だってファンシーショップ見てるんだよな、確か。え?お前読んでくる?あんがと。

 おっ来た。なお街子はまた例のごとく『男の子だけで行ってきて』ってことで男しかいないぞ、今日。あ、俺今なんか変なこと言ったか?街子もなぁ、もうちょっと付き合えよ、もちろん変な意味じゃなく。

 んで……。

 波止場モールからファミレスは歩くとほんとちょっとつうか、むしろ目の前だから特に無駄話することもなく進むんです、歩行者信号は緑、交通ルールは守りましょう。

 ほら、全国チェーンのファミレス着いたぞ。

 お前のぶんのチラシの無料券、今渡しとくな。


 ファミレスはまだ昼前だし別にこんでない、なんか仕事なのかPC目の前に置いてカタカタやってるサラリーマンとか、どっかの制服の女子高生とか、まぁぼちぼちいる。……って女子高生?

「やぁ、今暇?俺友達と来ててさぁ……」

声を掛けるって考えたけれど実行に写すんだな、洋。やめろなんか笑われてるから。あぁでもそういう笑いでもないのかな、どうなんだろ、あれなんで隣座んの、おいまてまだ受付が……やってくれてるのねみさきサンクス、いやまてなんでそこで「俺らの中で誰がいい?」って話になるの、そしてなぎさはお前なんだって男と間違えられて「じゃあこの人」って言われてるんだよ!お前どうすんの!

「ごめん、別な娘にもそういわれてて、怒られるから」

ほう、そう逃げるのね。ってか女だって言えよ!お前まさかどっかで女ひっかけて遊んでるんじゃないだろな、別な娘ね……、う~ん。

「えぇ誰その娘~」

なんてぶうたれるその娘達に

「……ってか、こいつ女、女」

そういいながら洋はその娘達の内、髪の長い一人の娘の手を取ってなぎさの胸にギュッと押し付けた。

「洋セクハラ」

「ってか気づかないわけないじゃない、わざとだし。遊ぶ気ないってこと、じゃね」

なぎさには突っ込まれ女の子達には振られ、俺らはその娘たちとは離れた席に着いた。


「う~ん、いや、もうちょっとだったんだけどね」

おどける洋にあきれながらもなぎさは言った。

「でもよかった、誘ってくれて。なんか無視されたし学校では会わないし……」

あれ、なんでなんかちょっと涙ぐんでるんだよ、お前。まさかやっぱり

「……無視した?俺が?」

洋はなんかちょっと意外だというふうにキョトンとした顔をしている、……しらばっくれてるわけではないらしいのはわかる、昨日メールしたら「サイコーのサービスを思いついた、俺天才かもしんない、いやわかってたけど。てなわけで寝れない」って帰ってきたから単に夜更かしして今頭寝てんだろ。……馬鹿だなぁ。

「こないだ話しかけたんだけど?」

なぎさはちょっと小首をかしげて子犬というか子猫みたいな顔をして言った。でもいちおう言っとくけど可愛くない。

「あぁ、眠かったんだな。なんかもうちょっとでデカいことが考えられそうで考えられなくって、学校の授業なんてなんの役に立つんだ?って感じだし。商業高校行って、経理でも学んだほうがまだ役に立ったかな……」

あぁ、それどうなんだろ?俺商売やったことなんかないし、う~ん。

「でもさぁ、洋。お前はそこそこ頭いいし、有名な企業家の人ってけっこういい大学出たりなんかしてるから、いちおう勉強したほうがいいのではないかと、勉強しない俺がいうのもおかしいけど」

とだけ言っといた、なぎさはメニューを読んでなんか頼んでる。俺らはドリンクバーのみ。(真似すんなよ!)

「……そうかな、大学出てないとかもいるけど」

洋は納得しない、う~ん、何高志?

「確か大学に意味ないって言ってる人もいるよね。でも確かその人けっこういい大学行ってなかったっけ?」

高志、お前それほんとう?それなんかムジュンしてねぇ?

「……行ったけど役に立ってないのかな、大学」

そして俺らはケンケン、ガクガク。

 さぁて、またこんなことやってたら時間が経っていつの間にかなんで集まったのか忘れてしまうのがいつもの俺らなのですが

「ピピピ、ピピピ」

俺の携帯が鳴り、それを聞いて俺はやおら立ち上がり携帯を手に叫んだ。

「みなさん!今日は洋の作業の結果を見に来たんですよ!あと大富豪ね」

俺はですね、こんなこともあろうかと携帯にアラームを登録してたんですよ。ちょっと芝居ががった話し方かもしんないけど芝居なんて俺の人生そうやんないから大根でもいいだろ。

「……そうだっけ、作業って何?」

「!思い出した、俺何やってんだよ」

いつもどうりのなぎさとドリンクバーのコーヒーでやっと頭がしゃきっとしたらしい洋が俺に答えた、

「なんでもなぎさが洋に用だそうで……なぁ、なぎさ」

俺はにやにやが止まらない、相手がちょっと意外だけど、やっぱなぎさも女なんだなぁ。(しみじみ)

「……国連から日本の女性の扱いについて勧告があって」

あぁ!なんで今そういう話題?え?高志何?『照れてる?』なぎさが?嘘だぁ!

 

 なぁなぁ見てみ、メロンソーダにカルピス混ぜてアイス載せたの。

 って、高志があんまり変なこというから現実逃避しちゃったじゃないか!ったく。しかしあれですな、国連から日本の女性の扱いについて忠告とは、ここはやはり、あまりかかあ天下にするとあれですよと言われたのかなぁ。いや俺別にちゃんと俺養ってくれればそれでもいいけど。

「国連から?じゃあ定年退職したお父さんゴミみたいに扱われることもなくなったわけだ」

あれってけっこうシンコクな問題の気がするんだ、

「?いや、なんかJKビジネスと天皇かがどうこうって新聞には載ってたけど……」

いやぁなんですかねそれ、定年退職してゴミみたいに扱わられる男のほうが大問題なように思えますけど、なんでしょうね、女は小さいころは可愛がられて、学校入学からちやほやされて、んでちょっと仕事して、旦那働かせて自分は楽して、旦那定年退職したら熟年離婚して自分は悠々自適で……。うわぁ差別だよこれ!男なんてさぁ、小さいころから出来て当たり前みたいに扱わられて、学校入学から粗末にされて、あとはもう奴隷で、熟年離婚されて酒ばっか飲んでやけになってなんかやらかすという……なぁ男やだよ俺、お前なんでそんなんなの?男になりたいとか?

「それはない、単にスカート寒いし嫌いなだけだって前も言わなかったか?」

そうだったっけかな、まぁなんでもいいや。

「俺に用ってそれか?なんかもっとこうさ……」

洋がもってる黄色い炭酸はジンジャーエールとかグレープソーダなんだろうけど、どういう気のせいか昼間から酒喰らってる不良にしか見えない、つうかなんかそのセレクト親戚に一人はいる酒飲みのオジサンっぽいぞ、洋。

「あぁそうだった!」

なぎさはその言葉を聞くと真っ赤になってもじもじと急に洋の方を向かなくなった。やっぱ「そういうこと」なのね、っと見せかけてからの斜め上の展開こそいつもの俺らな気がするけど……。

「………」

なぎさもしかして本当に照れてる?これはなんですか三月だからまた雪が降るのではないでしょうか、なぁ高志?

「でさぁ街子ちゃんってさ……えっ何聞いてなかった」

ってみさきと何盛り上がってんの。まぁいいけど、

「そういやお前こそどうなんだ松助?」

洋が聞いてきた。プライバシー保護の観点から、その質問にはお答えかねます。

 で、なんやかんやガヤガヤになってしまうのもアリはありなんですが……まぁあんま大富豪とかウノとかでファミレス時間潰すと立ち入り禁止になってしますので

というかなんとなく始めたけど俺、大富豪、弱っ……将来がある意味楽しみです。

「なぎさ、俺になんか聞いてきたけど、あれから検索はしたのか?」

俺はまた大貧民で、なんかだいたいいつも大富豪の洋から来た3とかそういうどうしようもない数字を一枚ずつ場に出しながらこう言った。

「あぁ、それ?」

なぎさは富豪だったり貧民だったりほんとうに時には大富豪だったりと波があるが、問題はそういうことではなく

「……携帯で雪に聞いた」

無効化するな!洋の作業をぅ!うわぁなぜここでジョーカー!そして連番続きからの上がりってお前本当に空気読めないなぁ!

 ……洋、そりゃ苦笑いしかないだろ。


 


 

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