第11話 時代は検索らしいが
で、洋のことなんかよりお前のことだよ。
どうだった、ファンシーショップ。あそこ基本男行っていい場所なのか。
俺さ、聞いたかもしんないけど気になる娘のためにちょっと欲しいものなんかあっちゃたりなんかするんだが……やっぱ気まずいか。まぁでも街子いれば『付き合い』で済むんだし。
へぇ、なんかみさきが買いまくってたって……うわぁ目に浮かぶようだなそれ!あれだろ、あのなんかリボン付けた猫。
え?リボン付けた猫って二種類いる?なんだそれ、間違えたらどうなんだか怖くて聞けねぇ……。
俺は昨日放課後洋とゲーセンでたむろしていたんだ、……え?それで不良っていつの時代のイメージだ!今はプライズだのプリクラだのきんきらなの。
そう、それで洋がどうなったか聞きたいか、ほら本人来た。
「ふう……」
目の下隈だらけで、かわいい弁当袋下げて。
「昨日は徹夜か?」
俺がからかうと
「いや、もうぐっすり。これでもうなぎさは俺のものだって思うと、なぁ」
果てさて、いつもの洋に戻っていた。
「何したの?」
高志、お前ナイスな質問です。
「聞きたいか?まぁその辺の空いた教室で座ってしゃべろうぜ」
洋が帰って来た。……ってなんだよ俺にやけてなんかねぇって。
「まず、松助、お前から聞いた話だけど、あいつは恋愛ってそもそもなんだかピンとこないと、そういうわけだな」
「あぁ」
今んとこそれがなぎさの答えで
「どんな好きかわかんない、ねぇ……」
洋はそうして薄ら笑いをしている、うわぁ何か下らないこと考えてる考えてる。
「つまり経験がないんだな?で、おそらくはコクられたこともたぶんほとんどないんだ」
洋は思いっきり椅子の背もたれに寄りかかってくつろいでにやけている、なんだそのなにかよからぬことしか(殴られた)
「なににやけてんだよ、まぁとにかく俺はやったよ、そういう時って検索するよな?で、検索したら普通上位から読むだろ」
うわぁ悪い笑顔だ、なにやったって、ほら。
「ちょっとな、悪戯で……俺の好みの恋愛の形を検索上位になるように……」
お前のそういう知識あれば確かに『いつかでかいこと』は出来るかもしんないな、洋。
「へぇ、どうやったの?」
高志が素直に聞いている。
「まぁ検索エンジンさんだますやり方が色々な、あと念のため相談サイトやなんかでちょろちょろと」
もう俺悩み事検索すんの止めた、だって洋だよ?
「さぁ、どう出る?なぎさ」
なんでどういう恋人同士になりたいのか口で言わないのかなんてつっこむなよ、わかったか?
ところがお昼休みタイム、いくら屋上で待っててもなぎさは来ない。
まぁ確かに約束はしてない、みんなでわいわいやることが多かったとはいえ、恋人同士にならないかという洋の誘いをなぎさが断ったのが昨日の今日って感じだし、やっぱ気まずいって言えば気まずいんだろ。
気が付けばチャイムがなって昼休みは終わり。
「まぁ放課後会えるだろ、気を落とすなよ」
俺はそう洋に声を掛けて屋上を後にした。
しかしなぁ、なんでそんなに洋ってなぎさ気にすんだろ?ギャルゲーみたいにフルコンプでも目指してるのかな。
あれ、なんかやっちゃうよな。
さぁてなんか色々あってひさしぶりぶりな気がする喫茶店レオ。
マスターは今日も渋くって何にも話さない。客は俺とお前と洋、街子はみさきと一緒らしいな、あ、気になるか?でも二人ともそうじゃないっていうかだいたいみさきにはなぎさが一緒だから。
それにみさきは……あ、街子が喫茶店に入って来た。
「みさきは?」
俺が声を掛ける。
「それが聞いてよ、ソフト部の主将の方ばっか見てて!あたし帰るよ!って言っても聞かないの。もう、女の子じゃないんだから」
なんつう、まぁ。
「ソフト部の主将ならしょうがねぇよ、プロ行くとか行かないって話だぜ」
女にモテるようなかっこいい女にあこがれる男か……俺の知り合いの外人クリスが日本来て何が驚いたって宝塚の男役に男ファンがいるってことらしいぞ、って関係ないか。
「で、置いてきたんだ?」
「生徒会のなぎさと一緒に帰るって」
……。
………。
「なんだその間の悪さは」
俺は慌てて突っ込んだ、だって今日は洋の作業の成果を見る日で。
「なんか約束してたの?」
街子はしぼむ俺をみてキョトンとしてる、
「約束はしてねぇ、ってかこないだなぎさあいつ約束ドタキャンしやがってさぁ!山野駅まで行ったんだぞ。あぁ腹立つ」
俺が街子に事情を説明する。
「仕方ないんじゃない。だってこないだ下級生がさ、ちょっと用あって職員室に行ったのよ。そしたらそこになぎさがいたらしくって」
「生徒会だろ?」
俺は状況を把握しようとする。
「それがそうじゃないの!なんかあんま聞こえないけど、お前の仕事のことだが……って言ってたって!生徒会の仕事かな?って思ったらしいんだけど、なんか写真とか、ホテルとか……聞こえたって」
はぁ?なぁ高志どう思う、洋は黙って聞いている。
「なぎさ、なんかやばい仕事してんのかなぁ?でもって、そのやばい仕事を生徒会の仕事で帳消しにしてもらってんじゃないの?って……」
「その人が?」
今まで口を開かなかった洋が口を挟んだ。
「……言ってはないけど」
街子は咎められてしょぼんとしてる。
「お前あれ持ってるか、こないだの週刊誌」
洋は俺にふってきた。
「あぁ持ってる」
ご都合主義って言うなよ!話が進まない奴だな。ほらよく、ゲームでイベント起きないでキーアイテム無かったからだ!ってのがあるだろ?俺それリアルであったら嫌だから、こないだから持ち歩いてんだ。
俺のカバン中どうなってるんだって……携帯ゲーム機にその週刊誌、ちょっとしか入ってない財布、今日買った漫画雑誌で一杯だけど。なお成績をあげるのはもうあきらめてるので教科書は入ってない。
「そうか、じゃあこの週刊誌に乗るようなことをしてるってなぎさの告白は本当だったのか……。とりあえず読んどくか」
洋の提案で、みんなでその『ARISAのプライベートショット』が載った号の週刊誌を読むことに。
ちなみにお前、袋とじ破かないで覗いたりしねぇ?俺はやる。
ほらこのARISAがさぁ、普通プライベートショットなんていったら水着の写真だろ?でもそうじゃないの、 清楚なワンピースで、隠すべきものを隠し、しかも満面の笑顔。
しかして……。
「さて、何の特集乗ってるんだろな、と」
俺がせっかくARISAを堪能してるのにって指が痛い挟むな!
洋は最初にある目次を声に出して読んだ。
「ARISAプライベートショット、現首相のここがやばい、賢く投資してセミリタイア特集、女子高生援助交際の実態、銀座ホステス覆面座談会あの政治家の裏側……この雑誌なんつうか親父向けポルノ雑誌だな。あとはコラム、いくつかライターの人が書いてるやつ」
なぁ、ずっとこないだみさきが言ってたこと覚えてるか?『なぎさが可愛い服着てどっか行ってて、疲れて帰ってくると、次の日ARISAが週刊誌に……』ってやつ。
俺は頭悪いしわかんねぇけど、俺の知ってるなぎさがするようなことがこの週刊誌に乗ってるってこと自体がそもそもないんじゃないかと思われますが……高志お前どう思う。
あ?なんでって……そりゃあんだけ校則校則うるさいのに自分でそれ破るか?男らしくない、そりゃ買い食いとか寄り道とかはするかもだけど……。
「じゃあ順に言う、まずはARISAのプライベートショット、まぁ一番なぎさには関係ない」
洋が推理しだした、まぁなぎさとARISAじゃなぁ。
「現首相のここがやばい、なんかデモの写真が載ってるけど」
洋は雑誌を指でなぞる、デモの写真からなぎさを探しているんだろうか?
「デモは行かないって、写真撮られるとやばいんだそうだ」
俺はなぎさに聞いたままを言った。
「女子高生援助交際の実態……」
あえて一つの項目を飛ばして、洋がそれにひっかかる。
「あいつと売春について口論しておくべきだったか?」
いや洋お前あのな、やめようぜそういうなんつうかちょっとの小遣いで女の子をどうこうしようって考え、俺だから童貞なのかもしんないけどやっぱそういうのはショウバイとかじゃない自分を本当に愛してくれる人と……。
いや待て?
「以前俺が『じゃあお前売るか?』ってなんかの話の流れで聞いたら『そもそも売り物じゃない』って言ってたな、なぎさ」
「どんな流れだ、それ」
俺を軽く小突きながら、洋はやはり納得しない。
「そもそも今の女子高生ビジネスってなんつうかもっとこう、あざといんだよ。お話するだけとか聞いたことあるぞ?」
俺の中でなぎさが怒ってる『そんなとこつくったり行く大人が悪い』って。
俺はその声に黙るしかない、俺が大人なら、もっと色々わかるんだろうけどな。
「だから、売春じゃないけど……やめだやめやめ!俺なんかムカムカしてきた。作業の結果はわかんねぇし。次、銀座ホステスって駄目だこの雑誌!記者が行きたいだけじゃねぇだろうな?だいたいホステスが客の秘密ばらしてどうするんだ、なぎさにゃ関係ないな、うん」
洋はなにかに納得してる、何か考えがあるのかな?うわぁ悪い笑顔、こりゃまたろくでもないことしか考えてないと思われます。
「松助、お前なぎさに携帯で『日曜ファミレスで大富豪大会やるぞ』ってメール送れ、俺もう帰る」
「おい、一つ残ってるぞ、投資がどうこう」
俺が疑問を口にする。
「高校生の投資は違法じゃねぇよ」
洋はそう言って、ちょっと悲しそうな顔で喫茶店を出て行った。
俺らだけでただだらだらと、あ、洋のぶん請求されたって日だったな。
んでなぎさの外泊問題どうなったって……。
お前意外とそういうこと覚えてるんだな、明日日曜日だしお前も来るか?うんそう、日曜日に聞くつもりなんだって、洋から聞いた。
それにしても
「なんだこの集計!事件化するいじめは減ったなんて言ってんの誰だよ!」
なぎさはほんとう、なんにも変わんないな。
「ほら今日は半日だろ、生徒会もないんだろうし帰れよ」
俺がなぎさを帰るよう即したのはこいつがこういうこと怒ってるとだいたい俺が絡まれてめんどくさいことになるからだ、わかってるよな?
よしっ、わかったか。ならいい、ダッシュでかえ(襟ぐりつかまれた)
「……なんで逃げるんだ?私なんか松助に……いや洋にはしたけど、それともいじめ問題そんなめんどいか?」
なぎさがなんか泣きそうなので
「いや、俺らお前そんなにはお前嫌ってない、つうか携帯見たか?」
「あ、そういえば朝から見てない、なんか鳴ってたけど」
「見ろ!」
「日曜ファミレスか、その日は……」
「空いてるよな?つうか来てくれ!この通り!」
俺はなぎさに懇願した、だって洋あいつきっとあんなこといってたけど好みの恋愛の形検索上位にするなんてきっとめんどくさい作業してまでモノにしたいならさ、きっとそれは本気でホンキなんだ、って日本語おかしいけどさ、だってあいつただ遊ぶ目的ならもっと何か楽しいことするはずだろ?もっと可愛い娘にちょっかい出すとか、そんなさぁ、なんにも自分得しないことしてまで……。
いやどうだろでも、検索上位にしちゃえば恋に悩む女がみんな自分の好みの恋愛の形を……ってちょっとは考えた、でもそれあのなんつうか、なぎさに向けて書いてるなんでネットじゃそんなのありえないのかもしんないけど、なぎさが読むかもしんないってだけで洋が書いたんだってことを考慮して欲しいつうか、駄目だ俺頭悪いから、なんだ高志?えっ、トイレ?行って来い!
……駄目だよなぁ、駄目なんだろやっぱり?
俺はなぎさと洋が
「私考えたんだけど、わかんないから怖いってのは割と普通だよな?」
あぁやっぱり駄目なんだろ、ったく女なんてみんな言い訳ばっか、だってだってって
「……でさ、洋はあるのかな?そういう経験」
おっ意外な展開ですが、そのできればでお願いしますが成人指定は受けない範囲での展開をお願いいたしたいのですが、だってネットって結構あのほら、無修正なあの、あれやこれが、そうそのAV(アニマルビデオ)!
「……あるだろうけど、まさかお前洋に何を」
「大丈夫だといいな、上手くできるかな?」
なぎさがちょっとはにかんでいる、う~ん、そうやってればまぁちょっとは女らしいんだなってお前何いうんだ気持ち悪い。なんともはや、で、『そういうこと』をしたいってことは、やっぱ『そういうこと』ですかね、はい。
高志、俺とまともコンビだけじゃなくザ・恋人いないズ組むはめになったな。
お前もファミレス来い、ポテトの券おごるから。
さぁて!
あそうそう、ファミレスってその波止場モールからちょっといったとこのやつだから、だんぜん波止場モールいっちゃって構わないから、どこのファミレスかわかんなくってテンパった?悪い悪い、以後もたぶんそこと思われます、ドリンクバーと何品かで何時間もそこいて出入り禁止にならなければ。
高志からの電話にそう答えたあと、俺はいちやはく波止場モールに来て金もないのにゲーセン行ってシューティングのハイスコア更新しようとしてでも考えたらそんなシューティング上手くないしそうだ脱衣麻雀だと思いきやそんなのは俺と洋が通っているような一昔のゲーセンにしかないんですよ、であるからしてね、アイドル育成ゲームは俺を破産させる気ですかと、あ、洋はいないけどなぎさもなんか一緒だった。
「……やっぱわかんない、友達と恋人、どう違うのか、でも、ま、う~ん」
何かを考えるかパズルをやるかどっちかにしてほしいものですが、もうその宝石積み上げるゲームは慣れているから考え事しながらでもできるのね、じゃあちょっとネタ的に面白いのでレバーを右に……。
「って!何勝手に動かしてんだ!あぁ大連鎖が、そうだ松助」
駄目になったはずの大連鎖を発動させながらなぎさは俺に変なことを聞いてきた
「男も女もされて嬉しいことってそんな変わんないよな?」
「……多分な」
なぎさが変だ、っていつものことだった。でもなんつうか、恋する女の子の態度のそれじゃない気がする、悪戯考えてる悪ガキみたいな……あんまいい予感しない、洋の作業の結果はどうなったのでしょうか。
俺ちょっと気になって検索してみたりなんかしたんだけど……あ、お前もやった?じゃあわかったな、俺ら何にも見てない、OK?
どんななったかってそりゃ
「(とても言えないので言葉にならない)」
まぁいいさ、まずは結果な。
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