告白
イエスか、ノーか
どちらにしても以前の二人にはもう戻れない。Mの反応を祈るように待つ私。
私は今告白している。Mは大学のゼミで親睦を深めた女性だ。
もちろん顔が好みだった。しかしそれは最初だけだ。交友を続ける過程で、彼女が「役者になりたい」という夢を持っていること、そのためにあらゆる努力をしていることを知った。
そして私は、そんな彼女のまっすぐな瞳に魅了されていったのだ。
今日、彼女は役者としての大きな一歩を踏み出す。東京の大手プロダクションに拾われ上京するのだ。それを知ったのが一か月前。ずっと悩んできたが、気持ちに区切りをつけるためにも私は思いの丈をぶつけることに決めた。
審判の時が来た。ホームに電車が来る。彼女が口を開く。心臓は早鐘を打った。
―結果はこうだ。売れっ子女優になった彼女は、現在私の隣で幸せそうに寝息を立てている。
売り出し中にスキャンダルが発覚するのはご法度だが大丈夫、早々気づかれはしないだろう。いろいろ困難はあるが今はこれでいい。
私は初めて、自分が女に生まれたことに感謝している。
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