日記・トードリリー04

 最近は昼間、ルフと話す事が多い。

 と言ってもボクには筆談しか為す術はないのだけれど。


 どうやらトードリリーというのは、鳥の名前から付けられた、遠い異国の花の名らしい。何だかちょっとややこしい。ただ花に喩えられるのは、やっぱり嬉しい。


 そして彼の国には花言葉というものがあるらしく、折角だから調べて貰った。 最近は本よりも薄い機械に、色々な画像や映像が映るらしい。訓練では情報の漏洩を嫌ってそういう機器を使わないから、実際に見て触れるのは初めてだった。


 ルフの曰く、トードリリーの花言葉は「永遠にあなたのもの」「秘めた意志」「秘めた恋」「恥ずかしがり屋」「永遠の若さ」だそうだ。


 当たっているのだろうか。

 いや、なんだってこじつければそれらしくなるに違いない。


 確かにボクには秘めた意志がある。やらなければならない仕事がある。――テロ。彼らの国ではそう呼ばれる、焼け石に水の様な無為な復讐が。


 もしそれをしてしまえば天国に昇るから、つまりは永遠の若さ――、という事にでもなるんだろうか。


 ――恋、それはあり得ない。多分。きっと。

 恥ずかしい――、うん。恥ずかしいさ、だって。


 ルフとの楽しい時間は、夜の訓練で塗りつぶされる。また真っ黒の憎悪に。


 朝がずっと続けば良いのに。夜が怖い。訪れる夜の憎しみが。


 それとも天国へ行けば、ボクはルフと一緒に暮らす事ができるだろうか。


 あはは。この国の国花の花言葉は愛だと言う。

 なんて皮肉だ。

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