第6話何故

そう、変化では無く、変身なのだ。

自分の中の別人と身体を共有し、尚且つ、その変身によって超人的な身体能力を発揮する者

人格が入れ代わり肉体的にも変身を遂げる、一体何者なので在ろうか、そして、一番の特徴は争いの果てに倒した者の体液を口に生えた牙から吸い取る、まるで吸血鬼の様に・・

「茜、もうバイトに行く時間だよ」

「ハイハイわかりましたよ美月さん、全く・・何でこんな日に限って早いシフトかなあ・・いてて」そう言い茜が腰を抑えながらベッドルームから出て来た。セミロングの髪はボサボサ、当然ノーメイク如何にも起きぬけと言った様子だ。朝食はルームメイトの美月が作った。綺麗にテーブルに並んで居る、今朝のメニューは、夕べ焼いて置いたパンにベーコン、レタス、フライドエッグ&スライスチェダーチーズを挟みサンドイッチに、それとカップスープ。上等な朝食だ。

「月のモノが重いのね茜は」

「そうなのよ、毎月毎月嫌になるわよ本当に、いてて」そういい茜は腰を抑える。

「美月は軽い方なのねきっと、辛そうな処を見た事が無いもの」

「そんな事は無いわ、意外と重いのよ、私の月のモノって」何やら思い詰めた様子になる美月

その様子も今の茜には圧力すら感じられる程の様子だった。

「それはそうと新しいバイト決まったの?この間バイト辞めたって言ってたじゃん」

「ああ、今日面接なんだ、大丈夫よ、今月も家賃は半分出させて頂きます、迷惑は掛けないわ」

「ああ、それは心配して居ないよ、只美月が大丈夫なのかな?って心配したの、キツい様なら遠慮無く言ってね?」

「有り難う茜、でも遠慮なんてしていないわよ、ちゃんと言うわ、友達だもの」

「エヘヘ、何か照れるけど嬉しいよ、美月に友達って言って貰えるとさ」

「そお?でもそうだもの、茜は大事な私の友達よ」そう言い美月は少し思い出していた、かつて同じ台詞を言った時の事を・・・

「どうしたの?」と、不意に茜に聞かれ美月は我に還った。

「ううん、何でも無いの、少し昔の事を思い出して居たの」

「昔の?ていっても美月私とそんなに年齢変わんない感じじゃん、私も今月で三十路に突入だけどさ、そういえば美月って幾つなの?」

茜が又も不意に聞く。

「えっ?な・・何故急に?」

何処かしどろもどろな様子の美月、が、それを面白がってかさらに執拗に美月に聞いた。

「そ、そうねえ、大体茜と同じ位かしら

、ははははは」などと誤魔化す様子の美月

本当は四十路越えて居るけどね、などと胸に呟く美月であった。

「それよりさ、早く食べて行かないとバイトに遅刻しちゃうわよ?」

「そうそう、頂きまーす」

などと明るく振る舞う茜、そんな茜を頬を少し上気させて見つめる美月

「なーに?そんな目で見つめて、いやねー」

などと茜は茶化した。

「何か今朝の茜はとても素敵・・・良い匂いがするわ・・・」

少し、先程までの美月とは雰囲気が違った様子、茜を見つめる眼には何処か艶さえも帯びている

「匂い?何にも付けて居ないわよ?あっ、生理臭そんなにキツい?」

「イイのよそれが・・その匂いが好きなの」

などと熱を帯びた声で言う美月、そんな美月に多少引き気味な様子の茜

「そっ、そうなんだ・・・まあ、何でも良いけどさ・・」

そう言い、そそくさと朝食を食べ出す茜

それを何故かうっとりと見つめる美月であった。

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