第3話 砂城の星(1)
「先生って凄いんですよぅ! 全盛期には政界の大物や超有名芸能人だってぇ、ゴロゴロ顧客に居たんですってぇ。凄いですよねぇ」
まるで自分のことのように、得意げな口調でユリナさんが言った。先生が凄いことは解ったから、電車の中なのだし、もう少し静かにして欲しいものである。そんな私の願いも虚しく、ユリナさんは続ける。
「でもぉ、二、三年ぐらい前からぁ、急にお客さんを取るのをぉ、辞めちゃったんですぅ」
噂の先生は確か今年で三十八だから、三十五歳頃の話か。私は七年後、その年になっても、嫁や先日生まれた娘のため脳内を巡る電子虫のように、せかせかと働いているのだろう。
電車の中は通勤帰りの人たちで混み合っていた。そのほとんどの人が真剣な面持ちで瞼を下ろしているが、別に宇宙と交信しているわけではない。いや、電波のやりとり、という意味では間違っていない。
万年筆が日本にやってきてから、西暦の一番先頭の数字は一度変わり、年号は十度ほど変わり、総理大臣は経済に疎いので解らないけれど、多分三百回は変わっていると思う。昔はインターネットにしたって通話にしたって、大小さまざまな箱型の子機を携帯していたらしいが、今では全て脳内に飼っている電子虫を経由して行われていた。一見眠っているように見える彼らも、もしかしたら瞼の裏に昨晩ダウンロードした映画を映し出していたり、通販サイトで欲しい服を物色したりしているに違いない。
画像は電子虫が脳裏に写すものだ。勿論、目を開いたままでもそれを写すことはできる。しかしインターネットに不慣れな人間は、現実世界とインターネット画面との区別がつかず、視界が混乱してしまう。だから大体の人は、瞼を下ろして現実世界の景色をシャットダウンしてから、インターネットに接続する。
以前は「キーボードを見ずに打ち込める」というのが子機を使いこなす上での一種のステータスだったらしい。今は「目を開けたままでも現実とインターネット画面との区別がつく」というのが、電子虫を飼いならせているかどうかのステータスを表すものになった。
さらにその中でも「口を半開きにしているか、きちんと閉じているか」というのもポイントだ。
そんな時代になったにも関わらず日本人は、朝晩定時に電車にすし詰めにされるという儀式を、毎日律儀に行っていた。
「あぁ早く先生に会いたいですぅ」
「会ったところで、先生が君のことを占ってくれるかは解りませんよ」
「会えるだけで良いんですよぅ!」
巨体を揺すり、ユリナさんはコロコロと笑った。そうやって笑うと、年相応に可愛いな、と思わなくもない。
「先生ってばぁ、私が一人で押しかけてもぉ、『今は鑑定はやってないんです、御用のない方はお引き取りください』って門前払いなんですぅ。会って話してみたいだけなのにぃ」
先生だってもう充分稼いだだろうし、あとはゆっくりと余生を過ごしたいのだろう。そっとしておいてやればいいものを、ファン心理というのは計り知れない。
「だからぁ、浅葱さんにぃ、連れてってもらえるって聞いてぇ、私、超感激ですぅ」
興奮したのか、きゃぁあん、と両手を頬に宛て身をくねらせるユリナさん。その隣に座る男が、迷惑そうにこちらを見た。というのも、ユリナさんはオブラートに包んだ言い方では、ダイナマイトでワガママなマシュマロボディなのだ。ちなみにオブラートを身包み剥がした言い方では、デブだ。座席一人分から少々はみ出して座っている現状、ただでさえ隣の男は狭苦しそうなのに、そこで暴れられては堪らないのだろう。
申し訳ない、と男に視線を送りながら、私は言った。
「しかしユリナさん、よく先生の居場所が解りましたね。先生、未だに電子虫を飼ってないし、GPS登録もしてないでしょうに」
先生から依頼の電話を受けたとき、彼は居場所を告げなかった。検索すれば出てくるだろうと思って私も訊かなかった。しかしどこをどう検索しても出てこなかった。今日日検索に引っかからない人間など、世捨て人か犯罪者ぐらいなものにも関わらず、だ。
ユリナさんの話を聞いている限り、どうにも先生は隠居したいようだし、きっとあらゆるリストに個人情報を載せないようにしているのだろう。普通の民間人には難しいだろうが、政界人ともコネクションを持ち、莫大な金を持つ、と思われる先生なら、そんなことは朝飯前なのかもしれない。
個人の事情はさまざまだし、それならそれで構わない。私が口を挟むことでもないだろう。しかし依頼をするんだったら、自分の居場所ぐらいきちんと記載して欲しいものである。
「追っかけにはぁ、追っかけの情報網って言うのがぁ、あるんですよぅ。うふふふふ」
先生の居場所は引っかからなかったが、代わりに引っかかったのがユリナさんだった。
彼女は、先生の熱心な追っかけらしい。
ある日、図書館で先生の著書を知り、ウェブ上に数多あった「鑑定を受けた人々の経験談」に感動したが、その頃先生は既に引退していた。それからありとあらゆる情報網を駆使して、先生の居場所を突き止め、なんとかして謁見してくれないかと体当たりをしているようだ。彼女に体当たりされたら、どんな強固な鉄壁だって崩れ去りそうなものを、先生も中々堅牢な城を築いているのだな、と私は思った。
ともあれ私はユリナさんと連絡を取り、彼の居場所を教えてもらう代わりに、助手として仕事に同行させるという約束を取り付けた。
そして今、私たちは先生の元へ向かっている。
「間もなく――……」
「あっ、この駅ですよぅ。浅葱さん、降りましょう」
光のような速さで流れていた窓の外の景色が、徐々に輪郭を取り戻す。コンクリートのジャングルから電車に乗り込んだかと思っていたが、たどり着いた先は、本物の緑が広がる閑静な住宅街だった。こんな場所が今でもあるとは知らなかった。
電車が停まり、扉が開く。ホームに降りると同時に、ユリナさんが私の耳元に唇を寄せて囁いた。
「隣の男の人、えっちな動画、見てましたね」
「えっ」
電子虫が脳裏に映し出す映像は、当然その本人にしか見えないはずだ。
「どうして解ったんですか」
ハッキングでもしたのだろうか。電子虫も人が作ったものである以上、優秀な電子技師や電子虫飼育員の手に掛かればハッキングされてしまうこともままある。勿論ハッキングは犯罪で、皆セキュリティソフトを積んでいるとはいえ、何事も万全、ということはありえないのだ。
しかしユリナさんが取った手法は、もっと簡単なものだった。
「頭の中は隠せてもぉ、股間までは隠せませんよぅ」
「誰か教えてあげればいいのにぃ、うふふ」なんてユリナさんは言うが、私は全く気付かなかったし、気付いたとしてそんなことを指摘した日には、人身事故で電車が止まってしまうだろう。
のんびりと前を歩くユリナさんの後ろ姿を見ながら、女の目というのは怖いな、と私は思った。
駅前の並木道を歩いていく。電子虫を動かし、音声案内を受信してみると、どうやらこの辺りは国の保護地域になっているようだった。古来からある桜並木が続く、西暦二〇〇〇年頃を模した町並みで、学校の教科書や歴史モノの動画で見るような建物が並んでいる。
桜というものを初めて見たが、聞いていたより薄ぼんやりとしたぱっとしない花だった。ずっと見ていると気候もあいまって、なんとなく眠気が押し寄せる。
欠伸をひとつかみ殺したところで、前を行くユリナさんの足が止まった。
「ここですよぅ」
凄い先生のご自宅は、さぞかし凄いのだろうと思っていた。が、目の前には何てことのない、マンションが建っていた。
外見から察するに五階建てで各階五部屋程度の小さなマンションのようだ。茶色の古い外壁は町並みに溶け込んでいるものの、その入り口には赤いレーザーが張り巡らされ、防犯設備はある程度整っているらしい。
ユリアさんが入り口の脇にあるパネルに手を触れ、指紋認証を済ませる。そうして五〇一のボタンを押した。向こう側から、男の声が聞こえる。
「はい」
「万年筆屋、伊路地店でございます」
「遅かったね。電話したその日に来るものかと思っていたよ」
「申し訳ございません」
自分が住所を伝えずにいて、何を言うのだろうか。苦情の変わりにやんわりと笑みを浮かべて頭を下げた。
するとそれを合図にしたように、レーザードアが解除された。
エレベーターに乗り込み、扉が閉まり、一、二、三秒と待ったところで、扉が再び開く。目の前にはもう、五〇一号室の扉があった。ウォールナットで出来たその扉はどっしりとした重厚感があり、最後に開いたのはいつだろうと思わせるほど、来客を拒んでいるように見える。
私がノックしようと右手を持ち上げたとき、向こう側から扉が開かれた。
「いらっしゃい」
出てきた男はすらりとした細身で、銀縁の眼鏡を掛けていた。その奥にある瞳はやや神経質そうで、古き良き昭和時代の文豪、と言われても納得できる。三十八にしては丸顔のせいか童顔に見えるものの、順調に年を重ね、大人の余裕とも言える穏やかさが漂っていた。
ちょうど寛いでいたのか、身につけた衣類は藍色無地の浴衣姿で、足元は何も身につけておらず素足だ。しかし全く寒そうでもなかった。
「うわぁ本物ですぅ」
私の隣から黄色い悲鳴が上がる。
そちらを見ると、ユリナさんが右目を赤色に光らせて、しきりにウィンクをしていた。
単純に、カメラ機能のシャッターを切っているだけなのだとは解っているが、このような速度でウィンクをする人間は初めて見た。思わず私は一歩退いてしまった。よく「目にしっかり焼き付けるよう、瞬きもせずに」だとか言うけれど、彼女の場合は「脳裏にしっかり焼き付けるよう、高速瞬きをして」らしい。
そんな彼女の様子に、先生が露骨に嫌そうな顔をする。
「写真は撮らないで貰えるかな」
「あぁすみませぇん、つい、興奮しちゃってぇ」
そんな表情にも我関せずなユリナさん。「SNSにはアップしませんからぁ」なんて言っている。
彼女の非常識さを咎めるように、先生は私を見た。
「彼女は?」
「えぇと、助手です」
「私ぃ、どうしてもぉ、先生に占って欲しくてぇ、浅葱さんにぃ、ついてきちゃいましたぁ」
「……すみません、彼女には案内を頼んだんです」
会えるだけで充分だ、と言っていたはずなのに、結局こうなるらしい。
私が頭を抱えていると、先生は諦めたようなため息を吐いて、言った。
「君の事鑑定したら、帰ってくれるかな」
「えっ、見てくれるんですかぁ!」
「それで帰ってくれるならね」
「ユリナ、感激ですぅ」とユリナさんは頬を染めて満面の笑みを浮かべた。今にも感涙するのではないかと思えるほどの、喜びようだ。
「それじゃ、どうぞこちらへ」
「はぁぁい」
私たちが案内された部屋は、パイン材の丸テーブルがひとつと、同じくパイン材の椅子がふたつあるだけの、簡素な部屋だった。椅子には座布団が敷いてあり、机の上には黒いカバーの掛かったノートと、万年筆が一本転がっている。
片方の椅子に先生が腰掛け、もう片方の椅子にユリナさんが座る。椅子取りゲームに出遅れた私は、ぼんやりと立つ羽目になった。
「誕生日は?」
ユリナさんが生年月日を口にする。彼女が年上だという事実に、私は驚いた。見た目も言葉遣いもぐっと若く見えるのに。
先生はノートを開き、その上に「井」に似た記号を描いた。それから少し考えて、空いた九つの升目のうち、八つに何かの記号を書いていく。これはきっと専門記号なのだろう、形は整っているが、私には全く読めなかった。
「悩み事や相談したいことは何かな」
「それがですねぇ、私今ぁ、アタックしてみたい人が居てぇ、……」
ふと、先生の使っている万年筆が、私の愛用と同じものだということに気付いた。黒色の太い軸にゴールドクリップという、古典派万年筆「operator Ⅱ」だ。私のものは一般的な中字だが、先生の使っているものは縦の線が太くなり、横の線が細くなるという、いわゆるカリグラフィペンである。
実はこの「operator Ⅱ」、伊路地店の先代店主、つまり私の義父が開発に関わった万年筆でもある。
万年筆というのは最後の仕上げとして、ペン先を特殊なヤスリで研ぐのだが、その工程は熟練の職人しか行えない。しかし製造元のお偉いさんと縁があったとかで、若かりし頃の義父がその大役に抜擢され、製造終了まで間、何本もの「operator Ⅱ」を研ぎ、世に送り出してきた。その滑らかな書き味は現在でも充分通用する、最高峰の書き味だとも言われており、私としても鼻が高い。
余談だが、「operator Ⅲ」の開発の話も浮かんだことがあった。しかし時代の流れのせいか、「operator Ⅱ」が思うように売れなかったこともあり、その計画は途中で頓挫してしまった。義父はそのことに未練たらたらだったのをよく覚えている。
具体的にどのくらい未練があったかというと、私が「operator Ⅱ」のペン先調整を頼んだとき、金色のペン先に刻印されている「Ⅱ」の文字に縦線を一本付け足して、「Ⅲ」の文字に変えてよこしたぐらいだ。お蔭様で私の「operator Ⅱ」は、仲間内では「バッタモン」だと呼ばれている。
「なるほどぉ、それじゃぁ、頑張ってアタックしてみますぅ」
「検討を祈るよ」
鑑定が終わったらしい。
満足そうにユリナさんが席を立ち、「それじゃぁ私はぁ、約束どおりぃ、帰りますぅ」とお辞儀をした。まだ夢見心地のように、ぽぅっと頬を染める姿は、やはりどこか愛らしく感じる。私はデブ専ではないはずなのだが。
うきうきとして部屋を出て行く背中を見ながら、またどこかで会えると良いなと、ぼんやり思った。
「邪魔な人間は帰ったことだし、早速、仕事の話をしようか」
先生がノートを閉じ、万年筆の蓋を閉めてため息を吐く。邪魔な人間を連れてきたことに少しばかり腹を立てているようだったが、そうなったのは自業自得だろう。私は知らん振りをした。
「浅葱くんに、ある事件に関する僕の回顧録を書き写して欲しいんだ」
「回顧録、ですか」
金持ちには別段珍しいことではない。「自伝を写して欲しい」と言われるのかとさえ思っていた。
パーソナルコンピューターの台頭で、手書き文字の文化というのは衰退の一途をたどってきた。そんな中ささやかながらに生息していた手書き派も居たが、電子虫には息の根を止められた。
人とのやり取りは全て電子虫が取り次ぎ、活字は勿論のこと、現実世界同様、あるいはもしかしたらそれ以上に美しい映像だって一瞬で相手の脳裏へ送ることが出来る。そんな中では筆記具などというものは、時代遅れの産物でしかなかった。
そうして手書きをする機会がどんどん減って行った結果、今日の日本では、人が読めるようなマトモな文字を書ける人間はほとんど居ない。
勿論今でも文字を書こうと思えば、誰にだって書ける。辞書を引き、脳裏に映し出した活字を真似て書くことも出来るだろう。しかし筆記具の持ち方、使い方、姿勢、目の動きが正しくなければ、「美しい手書き文字」は書けないのだ。
伊路地店も、二代ぐらい前までは万年筆を販売する店だったらしい。今ではすっかり他の文具店同様、店員が雇い主の文房具として働く店になっている。
ただ、その中でもうちの店は「operator Ⅱ」の栄光もあり、万年筆に特化した店になった。インクが織り成す濃淡の美しい手書き文字で、時に手紙を綴り、時に本を書く。そういった商売をしている。
あくまで「雇い主の文房具になる」のが私たちの仕事であって、中身を考えるのは雇い主本人である。
ただ、自伝を写させる金持ちなどは、贅を尽くした手書きの本が作りたいのではなく、単純に自慢話を聞いてほしいのだろう。何日も延々話を聞かされ、数百ページにも及ぶ超大作を書かされたことも一度や二度でなかった。そして完成品を受け取ると、中身を見もせず本棚に仕舞いこむ。お決まりのパターンだ。
「製本はいかがいたしましょうか。それによって料金も変わってきますけれど」
きっとこの先生もその類だろう。出来れば豪勢に本革の表紙を使用して、中身も絹のような手触りの良い中性紙を選んで欲しいものだ。そうすれば製作中の私の心も少しは晴れるし、料金的にも美味い仕事になる。
そんな私の願いに反して、無情にも先生は首を横に振った。
「製本はしなくていいよ。代わりに原稿をそのまま、僕が指定した人へ届けてくれないか。必ず、受け取ってもらうようにして」
「そういったご配送は私の仕事ではありませんが」
「報酬は僕の財産の半分」
私は思わず彼を見た。見てしまった、というべきだろう。視線が合うと、先生は大物の魚を釣り上げたときのように、にんまりと笑った。
私は逡巡する。
配送するだけなら、居場所を電子虫に検索させれば良いだけだ。ただ、今回の依頼主みたいに住所不定だと、また骨の折れる作業になることは間違いない。
それに加えてに先生は「必ず受け取ってもらうように」と言った。電子メールといったいわゆる「虫の知らせ」ではなく、物理的な郵便物だ、というだけで警戒されるような世の中である。見ず知らずの人間から配達された郵便物を、何の疑いもなく受け取ってくれる人間が、この世に居るとは思えない。
ここは具体的な金額と、宛先人を訊いてから決めるべきだろう。
私が口を開いたとき、追い討ちを掛けるように先生は言った。
「それと、君が追っている犯人の居場所を占ってあげよう」
犯人。
罪を犯した人。
私がこの仕事に着いてから十年もの間、ずっと追いかけている人のことだ。
「なぜ、それを?」
「仕事を依頼するんだ。事前に、君のことを少しだけ調べさせてもらった」
「……私はそろそろ、犯人なんてはじめから居ないのでは、と思い始めていました」
ずっと追いかけている、とはいえ、未だ、彼または彼女の顔も名前も知らない。
勝手に私が思い込んでいるだけで、本当は警察の言う通り、ただの事故で義父は亡くなったのかもしれない。
結婚して、子供も生まれたことだし、私もそろそろ義父の死因に執着するのはやめるべきなのだろう。
そう思い始めていた。
「犯人は、居るんでしょうか」
「犯人は居るかもしれないし、居ないかもしれない」
「……」
「それを見てあげるのが、報酬だと言っているんだ」
先生は眼鏡の奥で笑った。
「原稿が完成するまで、回顧録以外の具体的なことについては教えられないが、どうかな」
占い師など、私は信じているわけではない。どうとでも受け取れる答えを、適当に並べる詐欺師のようなもの、そう考えている。
しかし目の前のこの男は、きっと悪魔に魂を売ったのだろう。
それの代償に、人の未来を見、そして人を動かす能力を手に入れたに違いない。
そうでなければ、こんな魅惑的な瞳で誘うことなどどうして出来よう。
私まで悪魔に魅入られないうちに、ノートへ視線を落として言った。
「解りました、引き受けます」
「ありがとう。それじゃあ早速、話をしようか」
瞼を下ろして、現実世界をシャットダウンさせる。そうして録音スイッチを押した。
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