14 仮面屋



『探し物は見つかりましたか?』


 移動を始め、隣に来るなり詩織が思念で問いかけてきた。

 リリスには聞こえない、桜にだけ向けられた指向性思念。

 詩織の表情からは確信めいたものは感じられない。駆け引きをしようといった感じでもなく、ただ純粋に質問をしているといった様子。

 いやに勘の冴えた質問に引っかかりはするものの、これは確かめるチャンスだ。


『見つけたわ』


 一言答えると、詩織の表情にとても分かりやすい緊張が走った。


『……本当ですか? それは、いったいどこに――』

『すっとぼけるな』


 詩織の思念を桜は強くはねつけた。


『あんたが知らないわけがない。あんな場所に入り口があるのなら、雛は必ずあんたに教えている』


 詩織は所在なげに視線をさまよわせる。


『そう。やっぱりアレが……。つまり、あんたは私にずっと嘘をついてたのか』

『桜様っ、私は……!』

『もういい。もうあんたと話すことは何もない』


 思念を遮断し、詩織の前に出て桜は進む。


 会話のないまま移動が続く。

 リリスは桜の後ろに続く詩織の側に居る。

 どうにもリリスはまた桜には聞こえない思念で詩織と内緒話をしているようだった。

 何を話しているのか、意気消沈だった詩織は次第に立ち直り、神妙な顔になるやいなや真っ赤になってぶんぶんと顔を横に振りだしたりと、ころころと忙しく表情を変えている。

 端から見ていてとても楽しそうだった。


(やっぱり、リリスと二人きりがよかったなぁ)


 ふて腐れていると少ししてリリスが桜の元にやって来た。

 三人で話をしようということで、どうにもリリスは桜と詩織の仲を取り持とうとしているようだった。


「そいつと私がどうあろうとリリスには関係ないでしょ」

『いいえ、関係あるわ。二人の仲が悪いままだと、戦いになった時協力できない。みんなの命がかかってる。私には二人に仲良くなってもらう充分な理由があるわ』

「その時はその時で上手くやるから大丈夫よ」

『桜、そんなこと言わないで。ほんの少しだけでいいからお話しましょ?』

「リリス、いい加減にして。ついて来てもらうとは言ったけど、そいつと馴れ合うとまでは言ってないわ」

『桜……』

「ん?」


 上空から何かが迫り来る気配を感じ、顔を上げる。

 見上げた空からは丸くて白い何かがこちらに向かって落下していた。


「リリス、気をつけて。何か来る」

 

 丸く白い大玉はちょうど桜達の進路先の屋根に落下し、ぼよんと柔らかく跳ねた。そして大玉はころりと後ろへ転がり、


「あんがっ」


 気の抜けた悲鳴を上げた。


「……見つけた。黒髪の女の子と、紫の妖精……!」


 大玉の下からくぐもった声と共に仮面をつけた女が這い出てきた。

 敵襲か。

 桜はリリスを側に寄せて構えを取る。


『待って桜、違うわ』


 リリスの制止で動きを止める。

 たしかによく見ると女の服装は浅葱色の和服。あの特徴的な黒装束ではない。

 敵の全員が黒装束を着ているという確証もないが、敵意や悪意を強く感じ取れるリリスが違うと断言したからには敵ではないのだろう。


 女は大玉から抜け出し、自身よりも大きなそれを背負い直した。

 どうやらその白い大玉はリュックであるようだ。

 女が顔につけている太陽と月の文様が描かれた白い仮面がこちらに向く。

 女の頭には白くて長い兎の耳のようなものが生えている。

 触り心地のよさそうなもふもふな耳がぴょこぴょこ動く。

 付け耳の類ではない。どうやら妖怪のようだ。

 リュックに押し潰されていたからか元からなのかは分からないが、右の耳だけ垂れ曲がっている。


 敵でないのなら相手にする必要はない。

 桜は女を避けて先へ進もうとするも、兎耳の女はよっととっと体をよろめかせ、再び桜達の進路を塞いだ。


「なに? なんか私たちに用でもあるの?」

「えー、そのー……私、仮面屋をやっておりまして」

「は?」


 ぱちんと女が指を鳴らすとばっと背負っていたリュックが音を立てて開いた。

 瞬く間に白いシートが拡がり、がんがんと組み上がって桜達の前に即席の露店が展開された。

 シートの上にはずらりと色鮮やかな仮面が並べられている。

 もしかしてこれは仮面の押し売りというやつか。


「悪いけど、私たち急いでるから」

『あの、桜? 私、この人の仮面、少し見ていきたいなぁーって』

「は、え……? 何で?」

『ダメ、かしら?』


 おねだりするようにリリスが訊く。


「ん……別に、ダメじゃないけどさ。でもリリス、今はそんなことしてる場合じゃ」

『もう平日神宮はすぐそこよ。桜が言った時間までまだ時間はある。せっかくだし、少しだけ見て行きましょうよ。ねっ?』


 リリスの言う通り時間の余裕はある。

 しかし、だからと言って悠長に仮面を見ている場合ではないはずだ。

 そんなこと当事者であるリリスが一番良く分かっているはずなのだが、何か考えでもあるのか。


「分かった。でも少しだけよ」

『うん! ありがとう、桜!』


 リリスは嬉しそうに並べられた仮面に飛んでいった。


(リリス、仮面に閉じ込められてたっていうのによく平気だな。トラウマとかになんないのかな。というか、あいつはどこ行……、……っ!?)


 思わず声を上げそうになった。

 探そうとしていた詩織は桜のすぐ隣に居たのだった。

 気配が全く感じられなかった。

 詩織はまた妙に大人しく、その場にしゃがんでじっとある一つの仮面を見つめている。


(存在感のない奴……。いや、もしかしてゆいしきの力を使っていたのか?)


 隣に居る。そう認識した今でも詩織の存在は希薄に感じられた。


『桜、見て見て。この二つの仮面、凄く綺麗よね』

「ああ、うん。そうね」


 生返事をしてしまい、桜はすぐにリリスが褒めた仮面に目を向ける。

 リリスが綺麗だと言った二つの仮面は、並べられた仮面の中で一際強く存在感を放っていた。

 白を基調に朱で彩られた鮮やかに咲き開く花を思わせる仮面と、黒を基調に深い青で彩られた穏やかに舞う蝶を思わせる仮面。

 そして先ほどから詩織がじっと見つめている仮面がその蝶の仮面だった。


 並べられた仮面の前にはそれぞれ値札が立てられている。

 個人で作成している一点物だからか、一番安いものでも二万円はしている。だがその二つの仮面には値札がついていなかった。

 仮面屋の女にそのことを聞くと、


「ごめんなさい。それは売り物じゃないの。その二つの仮面はね、私が今まで作った仮面の中で一番出来の良い仮面なんだ」

「じゃあ何で商品と一緒に並べてんのよ」

「それはもちろん見てもらうためだよ。これだけのものを造れる技術を私は持っていますってね。あと、いつかはこの仮面を誰かに譲りたいとも思ってるから」

『うん、……うん! 本当に見事な出来だわ!』

「ありがとう、妖精さん。なかなか見る目があるねぇ」

『もしかしてこの仮面、まんようかいにエントリーしたものかしら?』

「……あー、うん。そうなんだけど……はぁぁ……」

『あっ、ごめんなさい』

「いやそんな。私が未熟ってだけだから。でも私の仮面、他の仮面に負けてなかったと思うんだけどなぁ……。やっぱり無名なのが……でもなぁ、やっぱりそういうんじゃなくて……」


 何かのスイッチが入ったかのように仮面屋はぶつぶつと呟き続ける。


 神都は職人が集う街としても有名だ。

 そしてまんようかいは春の大祭期間中に開かれる、この国で一番規模の大きい伝統工芸展だ。

 そこでは様々な工芸品が持ち寄られ、品評が行われる。

 その中でも特に仮面は人気のある分野であり、四度ある大祭、その最後の儀式でかげが使う仮面もここで選ばれることになっていて毎年注目を集めている。

 見た目の美しさ、美術性があるというのももちろん大事だが、仮面は他にも耐久性や、仮面に織り込んだ術印の性能、機能性、実用性なども重要な審査ポイントとなっている。


「お姉さんは仮面が嫌い?」


 脈絡なく仮面屋が言った。

 お姉さんという呼び方から詩織に向けたものかと思ったが、仮面屋は桜の方を見ていた。

 自分がお姉さんと呼ばれていることにむず痒さを感じながら桜は答える。


「そう見える?」

「なんとなくね」

「……別に、嫌いって訳じゃないわ。ただ、嫌いな奴がずっと仮面つけてるから……それで苦手意識があるのかな」

「そうなんだ。じゃあ一度試しに私の仮面つけてみない? きっと気に入ってもらえると思うの」

「悪いけど、私今お金持ってないから、どんなに勧められても買ってあげられないわよ」

「……じゃあさ、物々交換とか、どうかな」


 声を潜める仮面屋。


「物々交換?」

「うん。多分ね、お姉さんが持ってるその袋の中に、私の欲しいものがあると思うんだ」


 ぴくぴくと仮面屋の兎耳が動く。

 仮面屋が顔を向ける先には桜の手に持つレジ袋。その中には割れたぼうの仮面が入っている。


(こいつ……)

「やっぱりその反応、当たりみたいだね」


 高揚感が滲み出た声で仮面屋は続ける。


「見てたんだ。しらみねしゅせんから、みなみさんどうおおはしでの騒ぎを一部始終ね」


 この仮面屋の女は南参道大橋付近で浮かんでいた飛空船で酒を飲んでいたところ、偶然あの騒ぎ、黒装束の男が仮面に触れ巨大な炎の獣へと変化する瞬間を目撃したのだそうだ。

 その光景を見て一気に酔いが覚めたと仮面屋は言う。

 きょじゅうが放ったマイナス質の霊気。人から魔物への変化。仮面屋はすぐにそれを可能にする幻の仮面、ぼうの仮面に思い至った。

 万葉会に出した自信作の仮面が入賞せず、最近の仮面造りにもスランプを感じていた仮面屋は何かきっかけを求めていた。

 亡化の仮面こそまさにそれだと仮面屋はすぐに酒船から飛び降りた。

 しかし川へと落ちたはずの炎の巨獣は煙のように姿を消していた。

 そこから仮面屋はあちこち街を飛び回り、黒装束の男と、あの場で巨獣を打ち倒した桜、そして黒装束に捕らえられていたリリスをずっと探していたのだそうだ。


「ねえお姉さん、その袋の中、見せてもらってもいいかな?」


 桜はしばし考えて、袋から仮面の破片を取り出した。

 取り出した瞬間、仮面屋はかじりつくように桜の手に迫ってきた。


「凄い……! 綺麗に割れちゃってるけど、分かるわ……! この存在感、強烈な圧……! これが、本物の亡化の仮面!!」


 仮面屋はハァハァと息を荒らげながら気持ち悪いくらいに体を震わせている。


「お願い! 私にこれを譲って!」

「綺麗に割れちゃってるけど?」

「関係ないわ! ただ私は伝説の仮面を直に触れて研究したいの!」

「……ちょっと待ってて」


 桜はぼうの仮面を袋に戻し、リリスを連れて仮面屋から離れた。

 詩織は即席の露店から離れず、まだじっと仮面を見ている。桜が動いたことにすら気付いていない。

 本当にあの蝶の仮面に夢中になっているようだ。


『仮面の中からみんな無事に出られたって詩織が確認してくれたんでしょ? だったらあげちゃえば? たしかに価値があるものだと思うけど、割れちゃってるし……それに、一度仮面に吸い込まれた身からするとやっぱり気味が悪いわ』

「あげちゃえば、じゃないでしょ。全部終わった後、リリス達はこの仮面から妖精を吸い込んだ術印調べて対策を練らないといけないじゃない」

『……そうだわ。その通りだわ。桜、そこまで考えてくれてたんだ』

「でもこの後あいつらと戦えば亡化の仮面は手に入る。今持っていてもこれは邪魔なだけ。でもその辺に捨てる訳にもいかない。この先なにが起こるか分からないし、だから保険としてあいつに預けておこうって思ったんだけど、どうかな?」

『ええ、賛成よ!』

「そう。なら念のため、リリスの力であいつが仮面渡しても大丈夫な奴か調べてくれない?」

『分かったわ!』


 妖精は対象の霊力から悪意や敵意などの感情を感じ取ることができる。

 そしてリリスはその力が特別強いと言われている。

 リリスなら亡化の仮面を渡しても悪用されないかどうか分かるはずだ。


 リリスは仮面屋の頭の上にちょこんと乗った。

 何をしてもリリスはかわいいなと桜は経過を見守る。


「どう?」

『大丈夫。悪い妖怪ひとじゃないわ』

「そう。ただの仮面バカね」


 それから桜は仮面屋に仮面をはずさせて素顔を確認。さらに名前と住所を聞き出した。

 仮面屋は今年の四月からここ、しん市で店を開いたばかりだということだった。それならば神都市に住んでいるリリスにとっても都合が良い。

 桜はその亡化の仮面を持っていれば厄介事に巻き込まれるかもしれないということを念入りに説明し、最後にリリスが必要とすれば全面的に協力することを約束させ、割れた亡化の仮面二つ分を仮面屋に渡した。


「うおおおおおおおおおおお!」


 仮面屋は亡化の仮面の破片を手元で浮かせながら大きく手を掲げ、空に吠えた。

 うるさい。


「本当にありがとう……! そうだ、物々交換って話だったよね。じゃあお姉さん、この子を受け取ってもらえないかしら」


 仮面屋が手に取った仮面は、先ほど売り物ではないと言った仮面屋自信作、紅白の花の仮面だった。


「さっきも言ったけど、仮面は一時的に預けるだけよ」

「預けてもらえるだけでも私にはもの凄く価値のあることだもの。それに私、あなたのことが気に入ったみたい。だから、この〈せんの仮面〉はあなたに使ってもらいたいって、そう思ったの。それと、預からせてもらうぼうの仮面は二つ分だからもう一つ、仮面を受け取って欲しい。せんの仮面の対として作った〈ちょうの仮面〉。できれば蝴蝶の仮面はずっと熱心に見てくれてる緑のお姉さんに渡してもらえると嬉しいんだけど」

「……分かった。じゃあ有り難く、いただこうかな」


 桜は鮮花の仮面、そして蝴蝶の仮面を仮面屋から受け取った。

 ちょうの仮面をずっと見ていた詩織が、仮面が消えたことに遅れて気付き、はっとしてこちらを見る。

 呆れながら桜は蝴蝶の仮面を詩織の前に出す。


「桜様? あの、これは?」

「あんた、本当に話聞いてなかったのね。いったいどうしたっていうのよ。さっきからぼーっとして」

「……いえ、少し。それで、どうなされたのですか?」

「この仮面、もらったのよ。だから、あんたに」

「え……? 桜様が、私に、ですか?」

「いや、別にそういうんじゃなくて。ぼうの仮面持ってた奴の片方はあんたが倒したんだし、あんたが受け取るのが妥当なんだって」

「この仮面を……私に……」


 詩織はまた不思議そうな目で仮面を見る。


「なに? いらないの?」

「いえ、そんなっ、とても嬉しいです。ありがとうございます、桜様」


 仮面を渡すと、詩織は蝴蝶の仮面をそっと両手で包み込むように抱きしめた。


 さっそく桜と詩織は仮面をつけることになった。

 右手に持つ紅と白に彩られた花の仮面を見る。こうして近くで見るとその華やかさと同時に細部まで緻密にこだわって作られていることが分かる。陶器の質感もさらさらしていてとても良い感じだ。


 鮮花の仮面を顔へ近づける。視界が仮面で閉ざされる。

 ぴったりと仮面で顔を隠した桜は次に霊力を仮面に軽く流す。

 この手の仮面には通常、顔に仮面を固定させるための術印が用意されている。


 鮮花せんかの仮面には九つの術印が施されていた。

 桜は一番目の術印に微量の霊力を流し起動させる。術印が起動し、仮面が顔にとても自然な状態で張り付いた。

 これでもう手で支えなくても仮面が落ちることはない。


『二人ともすっごくかっこいいわ!』

「うん、すごく良い感じ。サイズもぴったりだし、まるであなた達の為に作ったかのような嵌まり具合だわ。うーん、後は衣装さえ合わせられれば完璧なんだけどなー」


 桜は二番目の術印を起動させる。

 すると仮面を付けて真っ暗だった視界がすっと透過していき、全てクリアになる。目の前に居たリリスと仮面屋が映り込む。


「どうかな、お姉さん?」

「ええ、いいわね。気に入った」

「良かった。あ、三っつ目の術印使えば声が通るようになるから」


 仮面屋に言われた通り三番目の術印を起動させる。すると仮面に空気が通るようになり呼吸がしやすくなった。

 声を出してみるも、全くこもらない。


「それで四つ目が~」


 仮面屋は仮面に施された術印の説明をしていく。

 四番目の術印が仮面の重みをなくすもので、五番目が特定思念を送受するもの。六番目は仮面の耐久強化。七番目は暗視等の視覚補助。八番目は仮面の発光。この発光の術印が一番こだわっていているらしく、仮面の真の美しさが発揮されるとのこと。

 使ってみてくれと頼まれたが、無駄に霊力を消費したくないため断った。

 それにどうにも先ほどからちらちらと周囲の視線を集めている。これ以上目立つ訳にはいかない。


 九番目の術印は霊力の貯蔵域であり、かつその貯蔵した霊力を使って仮面に施されている八つの術印の中から指定したものを起動し続けてくれるというものらしい。

 見た目だけでなく中々使い勝手もよさそうだ。


 とりあえず桜は九番目の術印を使って一番目から四番目の術印を起動させた。

 顔に仮面の質感はあるものの、仮面をつけていない状態とほとんど変わらない。意識しなければ仮面をつけていることを忘れてしまいそうだ。


「桜様……素敵です」


 蝴蝶の仮面をつけた詩織が桜を見て言う。


「そう? ありがと。あんたもなかなか似合ってるわよ」

「あ……ありがとうございます!」

『良かった。何だか良い感じだわ』


 小さく、嬉しそうにリリスが言ったのを聞いて桜は納得した。


(そういうことか)


 リリスは桜と詩織の仲を少しでも良くしたいと考えていた。

 だが桜は詩織と会話をしようとしない。このまま進めば十分とせずに目的地に到着する。

 だからこの突然現れた仮面屋で何か切っ掛けを作れはしないかとリリスは考え、この状況であえて仮面を見ていこうなどと提案したのだろう。

 余計なお節介だなと思うものの、あまり不仲な姿を見せてもリリスに心配をかけてしまうだけだと桜は少し反省した。


「預かった亡化の仮面は結界できっちり気配遮断して守りきるから安心してよ。これでも私、二級の霊術師資格持ってるからさ」


 仮面屋の展開式露店がリュックの姿へと戻っていく。


「私が作った仮面は今すっごく良い表情をしてる。ありがとね。あなた達に出会えて本当に良かった。今度時間がある時、店に来てよ。歓迎するからさ」


 じゃあね、と仮面屋は体よりも大きなリュックを背負い立ち去った。

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