第3話 お城にいくよ!
えーっと、ドコまで話したっけ?
あー、メルセラに会いに行こーって決めたトコまでか。物覚えいいなあ、もう俺様忘れかけてたよ。
んと、で、思い立ったが吉日ってことで、早速サーフで王宮の手前まで跳んでったんだよね。
ちなみにサーフの呪文は、術者をいったことのある場所に移動させる魔法で、大地の精霊と大気の精霊の力を借りる術なんだ。
一応こんなふうに軽々つかえちゃうのは才能が無いと厳しいんだぜ。
つーまーりー、俺様は自称ではない天才なんだってこと!
すごい?
話がソレタ、王宮な、王宮はいろんな色の水晶で飾られた大理石の宮殿ってやつで、なんかもうすっごいデカイんだよ。
円形の城壁に、それを繋ぐように四つの塔が東西南北に建ってて、塔の下に城門がある。
俺様の通う学校は南門の側だから、たどり着いたのは赤の塔。
北は黒玉、東は碧玉、西は黄玉、南は紅玉。
メルセラが契約した、原始精霊の力が宿る宝玉が塔の中に配置されていて、その強大な魔力が王都から根を張るようにカザの大地に浸透して、この惑星を災いから守護してるっていわれているんだ。
まあ、ほぼ伝説なんだけど、ずっと昔はとんでもない荒れた惑星だったらしいよ、カザ。
メルセラが精霊とガチで戦ったりしたとか。
火山とか嵐とか地震とか、とんでもない天災から俺達は守られてるんだよね。
今もまあ、邪法で局地的に被害を被る事はあるんだけどね。
赤の宝玉に力を注ぐのは、炎、原初の炎を司る大精霊、俺達は紅玉様って言ってるけど、実際に大精霊そのものを見たのってメルセラとか原始の時代に生きてた人達ぐらいらしいから、どんな姿してるのかとか、もはや伝説の存在なんだ。
一年ごとに各塔の精霊に感謝を捧げる祭りがあるんだけど、ぶっちゃけ家族サービスと地元のデートイベントってかんじ。
各地域で作る精霊像とか、祭の最後に盛大に燃やすしな!
あ、リンゴ飴たべたいなー。
と、つらつら考えながらも南の城門を潜ると、街の人間お馴染みの赤い制服を着た番兵さんがいる。
「こんにちは、お城に御用ですか?」
番兵は若いおにーさんで、美少女な俺様に優しく聞いてくる。
こういう時、女のほうが絶対得だと思うんだよねー。
「メルセラ様に会いたいんです。」
上目遣いにお願いしてみる。
おにーさん、微笑ましそうに目を細めたぞ。
「少し待っていてくださいね、城に確認してみます。」
そう言って懐から魔法石を出して通信を始めた。
うむ、この人はロリコンじゃないな。
メルセラとの謁見はそう難しい事じゃないんだけど、お茶にキマシタヨーって具合に叶うもんでもない。
その人が本当に必要とする時には会ってくれるらしいけど、兵士や魔導師達が優秀なせいで王に謁見する程の大事ってほぼ起きなくて、俺様の知る限りメルセラの顔を見た人っていないんだ。
吟遊詩人が唄うには、それはそれは麗しいカンバセってやつらしいよ。
興味あるー!
そんな事を考えてると、おにーさんが魔法石を懐にしまう。
「メルセラ様がお会いするそうです。」
「マジで?」
おおおおう、まさかの謁見可能!
「マジですよ。私が兵士になってメルセラ様が謁見するのは初めてです。
よかったですね。」
おにーさんがニッコリ笑う。
あー、この人はあまり動じないタイプなんだな?
まあそれはさておいて、王様に会えるぞー!
何か美少年に戻るとかより伝説の魔導師に会える方がときめくよ!
わくわくが止まらんよ!
意気揚々と門を潜って進む俺様を、おにーさんが見送ってくれた。
さあ、王宮に潜入じゃー!
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