第15話
クソゴリラ相手に負けた後、街まで逃げ帰った。得たものは武器の喪失とゴリラが賢いと分かったことだけ。損失でかすぎるだろ?
初期武器だからそこまで大きな損害では無いのだが。あー……にしても悔しい。あんなゴリラ相手にまんまと騙されたのが悔しい。適当に街をぶらついているとウィスパーコールが来た。ん?ルイか。
『どうした?』
『ああいや、山篭りしてたクロナが街に帰ってきてたからどうしたのかなぁって。今みんなギルドホームにいるから来てもらっていいかな?ちょっと話し合いしていてね』
『なんかあったのか?』
『大したことではないんだけどね。クロナが北に言ってる間にも僕らは南を探索しててね。気になるやつがいたと言うか』
ま、まさか……南の荒野にもゴリラが!?
『まじかよ、ゴリラ荒野にもいんのか』
『ゴリラ?まぁいいよ、すぐ来てくれる?』
『おう、ちょうど戻る理由もあるし……俺の方でも聞きたいこともあるからな。5分でいく』
それで通話は切れた。うぅむ、ゴリラって荒野にもいるものなの?又は別に四方面にボスがいるってことか?いや、考えずとも行けばわかるか。
「おーす、来たぞ」
ギルドホームに着いた。中はかなり真剣な表情のみんながいた。
「おかえりクロナ。あ、座って。呼んだ理由はね、荒野にてボスモンスターが発見されたからなんだ」
ルイに促され、席に着く。丸テーブルを囲うように全員が座っている。
ルイの話では荒野を徘徊する大きな蠍のようだ。4mほどの大きさらしい。荒野を探索してるパーティが蠍にやられる、という話が出ていて、探索をして確認したところ『大王甲冑蠍』というなんともカッコイイやつがいたらしい。どこぞのクレバーゴリラゴリラゴリラとは大違いだな。大王だもんな、おりこうさんなゴリラとは違うよな。
「という訳なんだ。今のプレイヤーの見解は東西南北にボスがいる」
「まぁ、俺もそう思うわ。エリンに聞いてみたら分かるんじゃないか?あの人達ここに前から暮らしてるんだし、なんか知ってると思う」
「うん、ボクたちもそーおもうよー。けどねクロニャくん、ほかの人たちの見方は、しょせんNPCだろ?この一言に尽きるんだよにゃー」
「そ、シエルが言う通り。クエストクリアで情報を集めることが出来ると思ってる人が多すぎるんだよね。そんなことないのに」
「まぁ、その話は置いておきましょう?私たちが話を集めればいいことですから。ところでクロナ君は聞きたいことがあるんですよね?」
「ああ、けどその前に一言。俺北のボスとさっきやり合って負けてきた。で、聞きたいことなんだけど」
「ちょ、ちょっと待って!え、ボスとやり合ったって?え?」
負けてきた当たりからリザから凄まじい視線を感じるけど気にしたら負けだと思う。俺無茶してないし!
「うん、負けたけど」
「クロナ、一様確認するけれど死んではいないわよね?」
「おう、無茶してないぞ。唯一の勝機逃したから逃げてきた」
「ならいいわ」
「クロナ、どんなボスなんだ?」
「んー……ゴリラ」
ほかに説明出来ないわ。あえて言うならシルバーバックのゴリラ。
きっと群れのボスだったんだろう。群れの仲間は猿共。
「いやぁ、ゴリラ強いわ。一発殴られて何十メートルぶっ飛ぶとか、いやほんとにあれ強いわ」
「何十メートル……よく生きてるなクロナ。俺もそれ数メートルくらい飛ばされるかもしれんな!」
「大丈夫じゃないか?俺空中にいる時に殴られたからぶっ飛んだだけだからな。まぁ、あんなゴリラのことは置いといていい?」
「いや良くないよ!」
あ、ルイが復活した。やっぱダメか。
「ゴリラの情報をわかる限りでいいから教えて欲しい」
「おう、名前は『クレバーゴリラゴリラゴリラ』。名前の通り小賢しいゴリラ。片腕を吹き飛んだ。以上」
「……は?」
「え、いやほんとにこれ以外知らない。あ、殴って攻撃してくるよ」
「……片腕っていうのは?」
「俺がさっきやってきた、頭に当たればやれたんだがな」
「……」
あれ?全員が黙った。え?俺が悪いの?いや、でもあれなら勝てるだろ。
「なぁ、黙るのやめてもらっていい?」
「う、うん。クロニャくんなんかあれだね。プレイヤーでトップレベルで強いんじゃないかな……。蠍はボク達5人で倒しきれなかったどころかHP3割ほどしか削れずに逃げてきたんだけど」
「いやだって、大王だぞ?ゴリラとかクレバーだけど名前ふざけてるんだぞ?」
「いえ、関係ないと思いますけど」
「まぁ、なんだ。一つ言いたいのは、あのゴリラには手を出さないでほしい。俺がやりたい。当然情報出さないでほしい」
「まぁ、それはクロナが見つけたことだからクロナが決めたらいいよ」
「ありがとな。で、聞きたかったことなんだけど種スキルってみんな成長してる?」
「うん、全員βの時のスキルに進化してるよ。というかβテスターだと凄い成長早いみたい。クロナは?」
「さっき発芽した。type特殊とかいうの。ほかにどんなtypeあるんだ?」
「んー……僕はtypeスキルっていう特殊なスキルが追加されていくタイプ。シエルはtype身体、身体能力の向上とか、もろもろが強化される。ロックもtype身体だね。ラウェルナはtype魔法、文字通り魔法型だよね。リザはtype創造、生産職のタイプだね。特殊は色々ありすぎてよく分からない。他にもtype召喚とかtype顕現とかいう似て非なるtypeもあるよ。typeアーツ、type妨害、type支援の10種がtypeの分類かな。特殊は当たり外れが酷いことで有名だけどね。当たりが多いのは身体と魔法かな。まぁ種スキルは宿主にとって最大級の秘密だから詳しい話はでないんだよね。当然僕もギルドメンバーのスキルの一部は知っていても全部を知ってる訳では無いし」
はー、ややこしい。俺のは俺にとっては当たりだけどほかの人からしたら大ハズレもいい所だろうな。
「おけおけ、あとはリザに話あるから話し合い終わったらちょっといいか?」
「私?構わないけど……」
「ありがと、俺からは以上。話し合い続けよう」
この後、1時間ほど話し合いが続いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます