第12話

 ひたすらにモンスターを狩る。狩る。一心不乱に狩りまくる。

 現在、俺はレベル上げに来ている。どこに?

 それは北門をでて北に半日かけて歩くと辿り着く山に、である。ここまで来るとほかの人なんて見かけることはない。奪い合いが起こらないのだ。

 この山を超えるとどうなるのかはしらない。

 そんな事は気にせずにひたすらにモンスターを狩りまくる。現在、山篭りを初めて中では2日だ。リーグが決まってからこれまで、リアルでいうと大体次の日の夕方ごろだ。

 きて最初に、まずはゴブリンの巣に強襲をかけて皆殺しにした後、ゴブリンの巣であった洞窟を寝泊まりする環境へと整理。と言っても、掃除した後に街で買ってきた布団をしいただけなんだがね。

 食べ物は買ってきていない。現地調達すればいいやぁ、という呑気な考えで来たからだ。その代わり銃弾を買ってきた。値切りに値切って、1万gで2万発買ってきた。上々な結果である。手持ちの弾はこれでのこり3万発ほど。これでとりあえずはいれるだけいようと思う。

 ちなみにゴブリンは素手で殺った。

 さて、ここらで1度俺のステータスを見直してみよう。

 名前 クロナ

 性別 男

 種族 ヒューマン

 ステータス

 LV8

 HP 220

 SP 150

 MP 110

 STR 52

 VIT 43

 INT 24

 MIN 30

 AGI 36

 DEX 38

 称号 ホームレス

 二つ名 なし

 スキル

 銃Lv7

 錬金Lv1

 鍛冶Lv1

 格闘Lv8

 精密射撃Lv3

 種Lv9


 という感じだ。DEXの伸び率が凄まじい。うん。

 スキルは使ったから上がってる、だけなのだが種が上がっている理由が全くと言っていいほどに思い当たらない。なんでだ?

 仮説としては戦闘行動によりスキルが上がっている、などが考えられるんだが。というかこのスキル、いつ発芽するんだろうね。結構謎である。

 そして!新しいスキルを獲得!その名も精密射撃!

 名前の通りの効果だ。気づかない距離からモンスターの頭を狙って撃ってたら手に入れてた。

 あ、そうそう。練気を使って投げた石が威力がかなり出ていたから不思議に思い、すこし実験してみたのだが、どうも石に気を送り込んでいたようだ。

 そして、これをもとに銃に送れば高い威力の銃弾が撃てる!と思ったわけだが……。無理だった。銃で殴るぶんには効果が出ていたんだが……。だが、銃弾に込めたら効果があった。キタコレ!とか大声で思わず叫んだほどだ。そのせいでモンスター集めちゃったけどね!死ぬかと思ったよ、割と真面目に。まぁ、銃声でも敵集めるからどっちにしても敵さん集まってたけど、気持ちの問題だ。

 おっと、話を戻そう。銃弾に込めれたんだが……どうやら物に流し込むのは一つが限界のようだ。残念である。銃弾に込めたあと、ほかの銃弾にも込めるとその前の銃弾からは込めた気が霧散していくようだ。謎である。

 そして、練気、練る気ということで気を込める時に長時間練り上げると威力も上がることが分かった。

 切り札の一撃を手に入れた形である。

 そんな感じで過ごしている。

 出てくる敵は、熊、あり、ゴブリン、コウモリ、フクロウ、芋虫、クモだ。熊が最強である。倒せるけどね!

 こいつらを殴りつつ、蹴りつつ、撃ちつつ、そんな感じでさらに2日を過ごした。なんかあれだよね、山篭りすると強くなってるような気分になれるよね。

 こうしてリーグの日の、リアルで1日前。

 今日でとりあえず街に戻る予定だ。だがその前に目の前の問題をどうにかしないとな。目の前に現れた、このゴリラを。


 時は2時間ほど遡る。

 俺は朝ごはんとして、木の実を集めに森を散策していた。すでにそこそこの数を集めていたがあと少しほしいなぁ、というところでいい匂いを嗅ぎつけた。山篭りしてるうちに空腹を凌ぐために鼻が良くなった気がする。


 「スンスン……こっちか?」


 匂いのもとへと歩いていく。果物のようなあまーい匂いだ。食欲がそそられる。

 すこし行くと、確かに果物(らしき木の実)を実らせた木があった。なぜか周りに猿もいるが。

 猿か、初見の敵だな。あ、あいつら木の実食ってる。俺の朝ごはん!!

 全部で……5ひき、だな。やれるか?いや、やらねばあの旨そうな木の実がとられる!!やるしかない!

 猿の頭に照準をつけ、撃つ。精密射撃のお陰で補正が入っている。銃弾は見事に猿の頭に命中。さながらザクロのように爆散した。のこり4ひき。

 いきなり攻撃されて混乱しているのか、周りを見ながらウキウキ叫んでいる。ちなみに名前はアングリーモンキーだそうだ。日本語に訳すとオコリザルだな。ポケットなモンスターに出てきそうな感じだな。見た目はDDなコングの衣服なしなんだが。

 ウキウキ騒いでいる間にもう1ひき仕留めた、のこり3ひき。

 猿がこちらに気付いて走ってくる。激しく動く中、ここから頭を正確に狙うのは難しいからあとは近接戦闘だな。

 猿達に向かい、こちらも雷脚を発動させて走る。

 走る速度に若干のばらつきがあるためになぜかジェットストリームアタックのようになっている。

 ふむ、マッシュガイアオルテガと呼ぼう。順番は覚えてないから先頭から適当にマッシュガイアオルテガだ。

 牽制として銃弾を2発ほど撃ち、そのまま突っ込む。

 マッシュを蹴り飛ばし、ガイアが殴りかかって来たところをスウェーバックで避ける、そしてオルテガな殴りかかってきたのを銃口で受け止め、1発打ち出す。オルテガの右腕が手首から先、飛んでいった。

 マッシュが復帰してこちらに来るが、そちらに右手のリボルバーを向けて、打ち出す。その間に自動小銃をガイアの頭につけて、撃つ。のこり2ひき。

 マッシュが怯んでいる隙にリボルバーを上に投げてオルテガが痛みで苦しんでいるところに向けて殴りかかる。アッパーカットのように決まった掌が爆発し、オルテガの頭が有り得ないくらい後ろに曲がった。死んだな。ラスト1ひき!

 こちらへと怒り心頭の様子で向かってくるマッシュをその場に立ち止まり迎え撃つ。

 殴ってくる右手をしゃがんでよけ、振り上げられる足を受け止める。そのまま足を弾き、バランスを崩したところを足払い。そしてそのまま倒れ込んだマッシュの鳩尾を全力で蹴り、右手を上に向ける。

 その手に投げたリボルバーが収まる。


 「終わりかな」


 呟きながらマッシュの頭に向けて1発。あ、レベル上がった。経験値かなり美味かったのか。

 たぶん本来は5ひきが連携して来たんだろうなぁ。


 「ウホーッ!!」


 突如聞こえた鳴き声。これは……後ろか!!

 全力で前に飛ぶ。飛んだと同時にさっきまで俺がいた場所に拳が叩きつけられる。おいおい、怖いな。

 一瞬でも迷ってたら死んでたな。

 いたのはゴリラ。マッシュガイアオルテガって来てたから……誰にしよう。シャア?でも見た目はドズルなんだよな……。くだらない事を考える。

 余裕、なわけではない。くだらない事を考えでもしないと逃げたくなってしまうからだ。


 「ド畜生。最終日にこんなやつと会うとか運良すぎだろ......!!」


 文句をいいながらゴリラへと発砲する。それが戦闘の合図となった。

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