第11話
現実世界、9時頃。なかなかに時間の感覚がおかしくなるものだな。ゲーム内では2日すごしていても未だに9時間しか経っていない、というのは奇妙なものだ。
さて、ここは現実世界である。戻ってきた理由は単純明快。ご飯を食べに来ただけだ。リビングへ向かうと、すでに俺以外の家族は揃っていた。
「待たせたか?ごめん」
「黒にぃ、9時集合だった。3分遅刻」
「白、それくらい誤差ってことで見逃してくれよ」
もとから、夜9時に集合してご飯を食べる。と決めていたのだが、どうにも打ち上げを楽しみすぎて若干過ぎてしまっていたようだ。ちなみにゲームでお腹いっぱいになってもリアルではしっかりとお腹がすいて感じる。落差が酷くてかなりお腹がすいているような気分になってしまうな。
「まぁ、シロノ、クロナも悪気があったわけじゃぁない。その辺にしてやれ」
親父が止めてくれる。というかゲーム内での呼び方でリアルもすでに違和感なく読んでくるんだな。
俺もそうするか。
「で、だ。まずは一番大切な話をしよう」
親父、いやハイカがそう切り出す。なんだろうか。少し身構えて続きが告げられるのを待つ。
もったいぶるなよ。
「......。夜ご飯は焼肉だ!another開始祝い!のめのめ!楽しめ楽しめ!ふはははは!!」
………。まぁ、そんな事だろうと思ってたよ?
◇
壮絶な争い(肉の取り合い)を終え、やっとゲームの話を始める。ご飯を食べながら話さないのはうちの家族がご飯とゲームをとてつもなく大切にしているからだろう。
ようするに二つのとてつもなく大切な事を同時に行うなんて、集中できないじゃないか!ということである。ようは馬鹿なんだよ、俺含めて。
「さて、では話をしていこうか。まずは俺からしていこう。まず、俺の種族だが、ドラゴノイドだ。どうだ!すごいだろう!?」
なぜか胸を張ってくるハイカ。いや、知らんがな。
「反応薄いな!いつも通りか!で、ステータスなんだが……詳細は言う気はない。一様言っておくと物理よりなステータスだ」
まぁ、家族といえど、ゲーム内で戦うこともあるだろう潜在的ライバルである。おいそれと手の内を明かすことはできないだろう。
「ま、理由は言わずともわかるだろう。そして今はヒスイとパーティを組み暮らしている」
次に話し出したのはヒスイだ。
「私は、ハイカが言った通り、一緒のパーティとして生活しているわ。種族はハイエルフ。とんでもなく魔法に偏ったステータスになっているわね」
簡潔に語られた。まぁ、特に語ることもなしという感じだろうか。
「なら、次は白。白は種族はヒューマン。ステータスはバランスいい感じ。あ、あとアルビノらしい」
なんだろうか、この俺だけ普通な感じの悲しさは。
泣いちゃうぞ?みんなレアな感じの種族の中、俺だけヒューマン。いや、さ?ね?酷くない?
「黒にぃ」
「あぁ。俺はヒューマンだな。ステータスはそこそこにバランスよく。なぜかとあるギルドに所属することになったが……ソロで行動してもいいことを条件にして入ったから実質ソロ、だな」
「ほう、クロナ。ギルドか。なかなかに楽しんでるようで何よりだ」
「黒にぃ。白も入る。入れて」
「あら、クロナは結構強くなってるのね」
特に種族に関しては言われなかった。ギルドに入ったということがインパクトがあって、他のことが気にならなかったのだろう。反応はそれぞれ大きく違うが。
「白、俺の一存じゃなんとも言えん。まぁ白は当初の目的通りにソロで限界を感じるまでやって見るのもいいんじゃないか?俺もソロでしばらくはやりたいからな」
「むぅ……。あとで、絶対に入るから」
あぁ、妹が可愛すぎる。俺主観ひさびさな妹との絡みである。甘やかしてしまいそうになるが、ぐっと堪えることができた。俺、良くやった!
「さて、そこでだ。当初の予定である1日に全員でpvp総当り戦でもしてみないか?」
「あら、いいわねそれ。乗った」
「白も問題なし。負けないからね」
「俺も特に問題ないな。まぁ、最下位は避けさせて貰うが。誰にも負ける気はもちろんない」
ハイカも面白いことを考えるな。俺の今のレベルはたしか6、結構高い方ではないだろうか。レベルで負けていても、負ける気なんてありはしないがな。
そんなこんなで突発的に決まったpvpリーグ。
これに備えてしばらくはレベル上げ、だろうか。あとはルイたちにpvpの手伝いをしてもらわないとな。あ、武器と防具も新調しないと。
やることが増えたな。やるからには出来ることはなんでもしてやる。
リアルでの拳はかわせても銃弾まではかわせないだろう、ハイカ。日頃かわされて貯まる一方のストレスを発散してやる!
そうと決まれば寝る間も惜しんでログインだな!
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