第6話

 「クロナ。僕のギルドに入る気はない?」


 唐突にルイから告げられた言葉。俺が?ギルドに?


 「いや、ないな」

 

 俺がギルドに入ってもたぶん迷惑かけるだけになるだろうからな。もとよりこの世界を自由にやりたいことしよう、と思っているからギルドに入って集団行動を取ることは出来ない。


 「理由を聞いてもいいかな?」

 「いや、俺はソロでぶらぶらする気だったからな。ギルドに入って、となるとギルドメンバーに迷惑をかけることになる。むしろどうして俺をギルドに誘ったんだよ」

 「んー……。僕のギルドは、この世界をゲームと思ってない人の集まりなんだよね。といっても僕を含めて5人しかいないんだけどさ」


 ゲームと思っていない、か。俺はさっきまで所詮ゲームっていう感覚がどこかにあったんだがな。当然のようにそう考えてしまっていた。それを気づかせてくれたルイには感謝しているが……。


 「クロナも、どうせ向こうに飽きたんでしょ?勝手に決めつけちゃってるけど、たぶん僕らと同じだよね?」


 ルイが悲しそうに笑う。


 「僕ら5人は理由はそれぞれあるけどさ、向こうの世界に飽きた、絶望した、そんなわけアリの集まりなんだ。だから、この世界に来た。クロナも、同じ目をしてる」


 目、か。だから目を見ていたのか。


 「あぁ、そのとおりだけど」

 「なら、一緒に行動なんてしなくていいからうちのギルドに、『縛られた翼』に入ってくれないかい?」

 「なぜ、そこまでして、俺を誘う」


 そう、それがげせない。ただ単に俺がこの世界をゲームだと考えていない、これだけの理由であるならここまでこだわる必要は無いはずだ。それがないからこそ、変に疑ってしまう。なにかあるんじゃないか?と。


 「なんで、か。実際にこの世界をゲームじゃないって考えてる人は少ないんだよ。だからかな。この世界を本気で、異世界として捉えてる人。そんな人は誘うことにしてるんだ」


 ならそれうちの家族全員に当てはまりますよ。まぁ親父......いや、ハイカか、ハイカとヒスイは入らないと思うけどな。シロナは入るんじゃないか?だってあいつはブラコンだからな。


 「まぁ、入っても俺にデメリットはないしな。正直所属だけさせてもらう、というのは心苦しいところでもあるからなにか手伝えることがあったら言ってくれ」

 「クロナ!じゃあ……!」


 ルイが目を輝かせて詰め寄ってくる……て近い近いから!


 「あぁ、はいるよ。俺に出来ることがあるなら声をかけてくれ」

 「えーと、なら。所属だけしてくれていいって言った手前頼みにくいんだけど……」


 早速か。まぁ、俺も言ってしまったものは仕方ないからな。出来ることはしよう。出来ないこと?出来ないことはする気ないぞ。


 「遠慮せずに言ってくれて構わないぞ」

 「実はね、ギルドを建てるに当たってクリアしないといけないクエストがありまして……。それをクリアするのを手伝ってもらえないかなぁって」


 はぁ、ルイは。そんな言い方ないだろう。


 「ルイ、俺は、すでにギルドの一員だ。手伝うじゃないだろう?俺達のギルドを、一緒に建てるために力を合わせるだけだ」

 「そう、だね。うん。なら、ギルドマスターとして言うよ。ギルドを立てるためのクエストを受けます。時間はゲーム内で明日の12時から。それまでに準備を済ませておいてください。集合はログインした時にいた、あの広場」

 「おう、任せろ」


 と、勇んでみたけど。俺実戦経験ないんだよな。どうしよう……。

 いいか、なるようになるだろう。

 ……弾買ったら集中フル活用で射撃練習と格闘の練習しよ。

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