第3話

 「黒乃ぉぉぉ!!起きろ!!」


 気持ちよく寝ていると突然体に強い衝撃。これはあいつの仕業だな。


 「そぉぉい!!」

 「ふははは!俺には当たらん!」

 「チッ」


 やっぱり親父か。無駄に回避性能高いからとんでもなくムカつくな。というかなんで朝一に俺にボディプレスかけてくるんだよ。


 「それは今日がサービス配信日だからだ!」

 「いや、ナチュラルに思考読むな。ていうか配信といっても12時からだろ?」

 「ああ」

 「今何時よ」

 「7時だが?」


 いや、だが?じゃねぇよ。馬鹿じゃないのか?

 

 「起きる意味ないだろ!今日は夜更かししながらゲームするって決めてたんだけど」

 「俺がテンション上がってしまってな!つい」


 ついじゃねぇよ。親父がテンション上がったとかしらないから。


 「他のみんなは?」

 「ん?リビングにいるぞ。ゲームについて話し合いしようって感じになってるな。お前起こした理由も半分はそれだ」


 つまり半分はテンション上がったからなんですね。よし殴るか。


 「父さん、自然に殴ろうとするお前の将来が心配なんだがな」

 「いや、親父俺にニートになれって言って来てんじゃん」

 「そうだったな!」


 ああもう、うざい。無視だ無視。リビングいこ。

 二度寝を最初は要求してきていた体も、親父との絡みのせいで完全に目が覚めてしまっている。

 リビングに向かうと母さんと白が机に向かい合って話し合っている。


 「おはよう」

 「黒にぃおはよ」

 「黒乃おはよう」

 「俺には挨拶すらなかったのにな黒乃!」

 「うるさい親父」

 「挨拶のようにうるさいを使われた!」


 いや、事実いっただけだから。


 「ん、まずはご飯」


 白が言うと、母さんが朝ごはんを持ってくる。

 今日は……白米と鮭だな。


 「さて、まずは全員。キャラ名どうした?」


 ご飯を全員食べ終えたところで親父が切り出す。


 「白はいつも通り。シロノ」

 「俺はクロナ」

 「うん、お前ら兄妹はいつも通りだな。というかノとナを入れ替えただけというのはいつも思うが安直すぎはせんか?」

 「いいんだよ。それより親父と母さんは?」

 「私はヒスイよ」

 「母さんまさかの実名!?」

 「どうせ父さんもでしょう?」

 「ハイカだな、うん」


 おいおい……うちの家族ほとんど本名じゃんかよ。


 「まぁけど、どうせこちらの世界を捨てるんだから構わないと思わない?」

 「母さんの言う通り。にぃが気にしすぎ」


 あれぇ!?俺がおかしいのかな!?自分の常識が信じれなくなりそうなんだけど!


 「ま、そんな常識を疑っている黒乃は置いておくとしましょう。そんなことより、はじめてから方針は」

 「白はソロ」

 「俺もだ」

 「レベルを上げて物理で殴るのみ。……あれ?プレイスタイルじゃなかったの?」


 なんか親父だけよく分からないこと言ってるけど無視だ無視。ていうか親父、まだプレイスタイルどうなるか分からないからな。


 「つまり、私と父さんはパーティ。黒乃と白奈はソロでのプレイになるわけね」

 「ん、白は自分の限界に挑戦。無理がきたら黒にぃに付いてく。これは決定事項」


 決定事項らしい。まぁ、構わないがな。


 「俺はとりあえずはやりたいように、適当にさまよってみることにするか」

 「なんというか、協調性皆無よね」

 「白もともと引きこもりですから」


 白、そこドヤ顔で言われても困るからな。むしろ少しはそれ反省しろよ?

 そのあとも集合場所、その他もろもろ細かいところを決めて話し合いは終わった。決まったところで一番気にしなければいけないのは名前の呼び方だろうな。俺は気にしないが、白や母さ……ヒスイ、ハイカは家族だとバレるのは嫌だそうだ。正確にはヒスイとハイカは夫婦だとバレるのはいいらしい。白も俺と兄妹っていうことがバレるのもいいとのこと。何の差かね?

 そして、うちの家族は向こうの世界に入り浸る予定だからリアルでの呼び方もゲーム内と同じにする事になった。


 そんなこんなで11時半。ログイン三十分前。

 ヘッドギア被って待機するとしようか。

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