〈6〉

やった!智樹だ。

私はほっと安心してたちあがり、そろそろと部屋から立ち去る。寝室のドアを音をたてないように閉めて玄関に向かう。

「稲瀬!」

えっ?なんで清谷がいるの?

「智樹、風邪ひいてただろ。」

「ああ、うん」

メールでは来るっていってたのになあ。

「でもなんで代わりにきたの?」

「いや?智樹に頼まれてたから。」

「ああ、そうなんだ」

いつの間に親しくなってたんだろう。


清谷は押し入れからする音を聞いて、すぐに通報した。

「押し入れの中を調べるので、二人は外に行きましょうか」

眼鏡をかけた刑事に言われて外に出ると、すぐに

「お二人はどういう関係ですか?」

と聞かれたので、亜美は同僚ですと答えようとすると、清谷がさえぎり

「義理の兄弟です。私の弟の妻です。」

と答えたので私は目を丸くした。

「どういうこと?」

「どういうことって、そりゃあ」

「なんで智樹の兄って言ったの?」

「・・・だって本当だし。」

清谷の探るような言い方で本当なのだとわかった。

こんなに身近にいて、なぜ亜美が兄弟であることを知らなかったのか不思議だ。


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