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まただ。

後ろでドーンと何かが押入れの扉にぶつかる音がする。

押入れのなかから。


それに気づいたのは夕飯をとりはじめたころだ。初めはコンビニの袋や水を流す音で気がつかなかったのだが、いきなり雷の様な音がとどろいた。

すぐに智樹にメールで知らせたので、家まで来てくれることになった。


わたしは音がする度ちぢみあがり、正座したまま動けなくなった。足が冷えきり、冬だというのに汗が止まらない。

正面にあるピアノと机の隙間が怖くて仕方がない。昔に読んだ怖い話で、「隙間女」というものがあった。家具と家具の間にいるその女と目が合うと、連れ去られてしまうという。挿絵の目が怖くてそのページをのりで貼り付けてしまった覚えがある。

みてはいけないのに隙間をみてしまう。どこかに目玉がないかさがしてしまう。昔からそうだ。


また雷の様な音がした。

扉は開いているのだろうか。閉まっているのだろうか。もし閉まっていたのなら気がつかなかったふりをして逃げ出したい。しかしもしとびらがあいていたら?わたしをつれさるかもしれない。わたしをつれさって、どこかにおいてきぼりにするかもしれない。いやだ、そんなのいやだ。おいていかないで。まって。いかないで。おいてきぼりにしないで。


突然、チャイムがなった。

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