次の日。

しまった。ドアの鍵を開けっ放しで寝ていた。

私の勤め先は不動産会社で、メンバーは部長と先輩が1人、同期が私のほかに2人と後輩が1人だ。

「えーむずかしいーおしえてくださいよー」

また宮部がカリに甘えている。カリというのは先輩の竹田のことで、刈り上げているのでカリと呼ばれている。

カリもしかたない、というように

「だから用紙をセットして・・・」

と嬉しそうに説明している。

それを小耳にはさみつつお客の相手をしていると、部長が2人に声をかけカリを連れ戻した。

「面白いところですね」

とお客の若い男の人が言ってくるのだが、

「はあ。」

としか返せない。・・・と後ろから肩を叩かれた。

「稲瀬さんかわりにおしえてくれる?」

同期の宮部は相手によって態度がコロッと変わるので私は苦手だ。

「すいません、宮部さん自分でできますよね」

「わからないので教えてほしいといってるんだけど」

「いまこちらのお客様を、物件まで案内しないといけないので、清谷さんに教えてもらってください」

ではご案内しますので、と立ち上がり、私は車に乗った。


「では、1か月先の2月にご連絡いただくというのでよろしいですか?」

男がうなずく。わたしは

「こちらの番号に、連絡お願いします。」

といってポケットから会社の番号を取り出そうとしてないことに気づき、代わりに自分の番号を渡した。

男と別れ会社に戻るとお客はいなくなっていた。

「クミちゃんわたしココアね~」

宮部が遠慮なしに後輩を使う。わたしは

「じぶんでいれるから大丈夫」

と言っておく。

「俺は自販機でなんか買うけどほしい人いる?」

清谷が財布をひらひらとふると

「えっおごり?」

と宮部が飛びついた。


















































































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