第4話 契約

 契約の手順はとても簡単だった。

 まず配られた魔法陣の書かれた紙に自分の血を一滴落とす。

 そして契約の呪文を唱える。

 呪文といっても決まった物は無い。

 自分で考えて言って、それに答えてくれたら契約成立となる。

 契約に成功すると魔法陣の上に契約した精霊または悪魔が召喚されるので一人一人行うことになった。

 

 一番最初は田中がやることになった。

 これは田中本人が強く希望した。


「俺が一番最初にやる。そして神級の精霊と悪魔両方と契約してやる……フハハハハ!」


 と大声で宣言していた。

 俺はそれを聞いて何とも思わなかった。

 何故か、コイツには無理だろうなと思っていたのかもしれない。


 案の定というか何というか田中は契約はできたものの黒く丸い球体に蝙蝠のような羽が生えたストーンバットという魔物で下級悪魔だそうだ。

 それを見たとき田中は「そんなはずは……俺はチート以外ありえない……」といっていた。

 皆がかわいそうな人を見る目で見ているのに気づかないほどショックを受けていたようだ。


 田中の次に担任がやったのだがこれは驚いた。

 担任が契約に成功し召喚したのは茶髪で黒い目をした長身のだった。

 そう、帝王級以上にしか存在しない人型の召喚に成功したのだ。

 そのときの国王と兵士・メイドさんの驚きようは俺達クラスメイトの比ではなかった。

 今は全員担任と担任の契約に成功した男性を囲んで話を聞いている。

 俺は人のことなどどうでもよかったので行っていない。

 何故かマリーも行かず俺の隣に居る。


 正直大勢の人に見られながらやるのは嫌だった。

 だがら皆が担任に気を取られている今終らせることにした。

 マリーから縫い針のようなものを受け取って指先を刺し二枚の紙に血を落とした。

 後は呼びかけるような言葉だけだ。

 どんなのにしようかな?

 ……よっし、決まった!


「我契約者を求めし者 我が声に答えし者よ 我が血をもって契約の証とする」


 こんなもんだろ。

 さてどうなる?

 ……やった、精霊の魔法陣の方から煙が出てきてる。

 あれ? 悪魔の魔法陣の方からも煙が出てきてるような気がするんだけど気のせいかな?


 魔法陣から煙が出だすのは契約か成功した証拠だ。

 そして今まで契約してきた人たちと同じで煙が徐々に形を作り召喚される……それが普通だった。

 だけど俺の場合は違った。

 精霊・悪魔両方の魔法陣から徐々に出ていた煙はいきなりすさまじい量が出てきた。

 出てきた煙は精霊の魔法陣の方は太陽のように輝き、悪魔の魔法陣の方はブラックホールのように光すらも飲み込み漆黒と化していた。

 その現象は明らかに異常だった。

 それを行った自分ですら驚き戸惑っていたのだから、今まで羽田の話を聞いていた人達や羽田本人の驚きようは俺の比ではなかった。

 その二つの煙が徐々にを模っていき、完全に人の形になったとき煙は消えが跪いていた。


 俺は興奮している。

 魔法陣から煙が徐々に出てきたまでは良い。

 その後いきなり強く光りだして驚きながらも目をつぶって、光がおさまったようだから目を開けてみると跪きながらこちらを見る二人の男女が居たのだ。

 右に金髪金眼のメイド服の140cmぐらいの美しい女の子、左に黒髪黒眼の燕尾服の180cmぐらいの男性が居た。

 女の子の居る場所は精霊の魔法陣を置いたところで男性の方は悪魔の魔法陣を置いた場所だ。


「主(ご主人様)、これからよしくお願いします」


 そんなことを言われたら間違いようが無い。

 二人は俺の呼びかけに応えてくれた精霊と悪魔だ。

 女の子の方が精霊で男性の方は悪魔だろう。

 後精霊? の子が滅茶苦茶綺麗だ! かわいいでは無く綺麗なのだ!

 悪魔の方もかなりイケメンだ。

 男に興味なんて無いからどうでもいいが。


 それよりも人型ではあるが担任の時とは明らかに召喚までの過程が違う。

 これはそういうことなのだろうか?

 そうだとしたら田中あたりが特に五月蝿そうだ。

 とりあえずそれは後で聞くとして今は……


「こちらこそこれからよろしく。俺は朝野 耀っていうんだけど、二人の名前を教えてもらってもいいかな?」

「申し訳ございません。名前というものを持っていないので主の好きなようにお呼びください」

「私も名前はありませんのでご主人様の好きなようにお呼びください」

「そうなのか。じゃあ、俺が二人の名前を決めるけど良い?」

「もちろんです!」

「はい!」

「ううん……よし」


 俺は男性の方を指してセバス、女の子の方を指してルーチェと言った。

 二人とも滅茶苦茶嬉しそうな顔してる。

 ホントに俺の予想あってるのかな?


「お、おい。き、君、今何をしたのだ?」

「何って精霊と悪魔との契約ですけど?」


 国王が驚いた顔のまま聞いてきた。

 正直後にして欲しい。

 俺もまだ詳しくはわかっていないんだよな。


「では後ろの二人がそうだというのか?」

「そうですが何か?」

「バカな! ありえん。帝王級以上しか存在しない人型を二体同時に契約できるなどありえない! それにあの異常な現象まさか……」

「あの、疲れたのでいろいろ聞くのは明日にしてもらってもいいですか?」

「……すまなかった、では明日ゆっくり聞くことにしよう」

「はい。それじゃあ俺は部屋でゆっくりさせてもらいますね」

「ああ、わかった」


 全く疲れてはいないが、俺も知らないことをいろいろ聞かれるのはめんどくさかったからとりあえずこの場を離れることにした。

 さすがにこれはごまかしきれないのである程度は説明するつもりだ。

 俺のステータスに関しては気づかれても説明する気は無いがな。というよりステータスに関しては絶対に気づかれないようにするが。


 でもどうするか?

 あまりにも弱すぎるから城から追い出すというテンプレを引き起こそうと思っていたのに、それはもう無理だろうしな。

 でもな、この世界を自由に冒険してみたいのは絶対に変わらない。

 なら無理やりにでもこの国から出るしかないな。





「じゃあ二人についていくつか質問するね」


 部屋に戻ってきてまずマリーには席を外してもらった。

 何か頼みたいことがあれば指輪で呼ぶ約束をさせられたけど。


「「はい」」

「まずセバスは悪魔で、ルーチェは精霊ってことでいいのかな?」

「「はい」」

「次に二人は神級と呼ばれている存在じゃないかと思ってるんだけどどうかな?」

「はい、私は神級悪魔で間違いありません」

「私も神級精霊で間違いありません」


 予想していたけどやっぱりそうだったか。

 にしても精霊と悪魔に一体ずつしかいな神級を俺一人が契約してるって相当ヤバイんじゃあ無いだろうか?

 でも契約した以上は手放す気は無いけどな。


「じゃあ最後に、二人ともかなり迷惑をかけると思うけど仲間になってくれるかな?」

「「はい!」」

「ありがとう。後、俺のスキルに[眷属化]ってのがあるんだけど二人に使ってもいいかな?」

「「もちろんです!」」

 

 ……許可は貰ったもののどうやって使えばいいんだ?


<使用対象を見て[眷属化]と念じれば発動できます>


 うん、ありがとう。

 ホント便利だよね[メーティス]。

 [眷属化]……[眷属化]。

 成功したんだろうか? 何の反応も無いんだが。


<成功しています。ステータスを見てみてください>


 成功してるんだ!

 ステータスに反映されてるってことかな?

 兎も角[メーティス]が言ってるんだから見てみるか。

 

 眷属にすると眷属になった者のステータスも一緒に表示されるのね。

 兎に角眷属の二人のも含めてどんな力か見て行こうかな。

 もしものとき自分の力を正確に把握してないと危険だしね。

 どれどれ……



名前 朝野 耀 

性別 男 


Lv 1

HP 15/15

MP 12/12

攻撃力 10

防御力 15

敏捷性 15

魔力 14

運 13


称号

 【異世界人】【勇者】【神(仮)】【神級精霊の契約者】【神級悪魔の契約者】


眷属

 『セバス』『ルーチェ』


▼スキル

 [火魔法 Lv1][水魔法 Lv1][風魔法 Lv1][土魔法 Lv1][光魔法 Lv1]


▼固有スキル

 [勇者][眷属化] 


▼エクストラスキル

 [精霊魔法 神級][悪魔魔法 神級]


▼オリジナルスキル

 [完全鑑定][完璧偽装][スキル・魔法コピー][ステータス自乗]

[経験値自乗][メーティス][ステータス略奪][スキル成長促進]




名前 セバス

性別 男


Lv 1

HP 35/35

MP 38/38

攻撃力 40

防御力 40

敏捷性 39

魔力 38

運 100


称号

 【神級悪魔】【眷属】


▼スキル

 [火魔法 Lv1][水魔法 Lv1][氷魔法 Lv1][風魔法 Lv1][土魔法 Lv1][雷魔法 Lv1][闇魔法 Lv1]


▼エクストラスキル

 [悪魔魔法 神級]




名前 ルーチェ

性別 女


Lv 1

HP 35/35

MP 40/40

攻撃力 38

防御力 38

敏捷性 40

魔力 40

運 100


称号

 【神級精霊】【眷属】


▼スキル

 [火魔法 Lv1][水魔法 Lv1][氷魔法 Lv1][風魔法 Lv1][土魔法 Lv1][雷魔法 Lv1][光魔法 Lv1]


▼エクストラスキル

 [精霊魔法 神級]



【神級精霊の契約者】

神級精霊と契約することで与えられる称号。

エクストラスキル[精霊魔法 神級]を手に入れる。


【神級悪魔の契約者】

神級悪魔と契約することで与えられる称号。

エクストラスキル[悪魔魔法 神級]を手に入れる。


【神級悪魔】

神級悪魔に与えられる称号。

ステータスの上昇値を五倍にする。

エクストラスキル[悪魔魔法 神級]を手に入れる。


【神級精霊】

神級精霊に与えられる称号。

ステータスの上昇値を五倍にする。

エクストラスキル[精霊魔法 神級]を手に入れる。


【眷属】

眷属になった者に与えられる称号。

眷属になったものは主に対する敵対行為は絶対に出来ない。

どれだけ離れていようと主と念話によって会話することができる。

ステータスの上昇値を五倍にする。


[精霊魔法 神級]

神級の精霊魔法を使うことができる。


[悪魔魔法 神級]

神級の悪魔魔法を使うことができる。


 てな感じかな。

 魔法に関しては各属性の魔法を使えるようだし。

 にしても二人ともステータス高くない!

 運に関しては三桁だよ!

 まだ俺と同じ1レベなのに……いや、頼もしい味方ができたと喜ぶべきかな?

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